ストレイト・ストーリー
CINEMA

ストレイト・ストーリー

監督:デビッド・リンチ
THE STRAIGHT STORY [ 1999年 アメリカ ]
1998年の夏に東京から実家のある宮崎まで青春18きっぷを使って3日かけて帰ったことがあるけど、それさえも異様に速いと思えるほど、この映画の旅はゆっくりとしたスピードで進んでいく。そもそも旅にスピードを求めるべきではないのだ。人生を旅と置き換えるなら、そのスピードはいかがなものか。僕は僕なりのスピードで目的地にむかって、この映画の主人公のように自力でたどりつきたい。リンチの前作『ロスト・ハイウェイ』から一転、『パリ、テキサス』のハリー・ディーン・スタントンが兄役で登場し、ゆっくり静かに言葉を交わし空を見上げるラストも秀逸な素敵に思える作品だ。

posted on 2001/01/01
アメリカン・ビューティー
CINEMA

アメリカン・ビューティー

監督:サム・メンデス
AMERICAN BEAUTY [ 1999年 アメリカ ]
いつの時代であれ、人は他者とのコミュニケーションなしには生きている気がしないし、幸せになることはできない。その根本的な認識さえ麻痺してしまうほど、現代社会には時が過ぎていくたびに新たなモラルやルールや価値観が創り出され、他者とのコミュニケーションを成立させるにはあまりに複雑化してしまっている。時が流れるスピードはどうすることもできないが、それでも自分の人生をなんとかしていきたいというポジティブな気持ちに、この映画は思わせてくれる。

posted on 2000/12/30
デッド オア アライブ 2 逃亡者
CINEMA

デッド オア アライブ 2 逃亡者

監督:三池崇史
[ 2000年 日本 ]
力と翔。前作が敵対する関係だった分、ふたりの本当の共演シーンは世紀の決闘ラストシーンのみで終わってしまったが、今回は三池版「コインロッカー・ベイビーズ」ともいえる完全なるバディ・ムービーとしてVシネ界の最強タッグが存分に楽しめる。予定調和のレベルを軽く超えた豪快で強引なもっていきかたは、今作でも随所に散りばめられ、(SHOW&笑&衝)=ショウ撃度も凄まじい。力のハジけっぷりといい、翔のヌケ具合といい、ふたりとものびのびしてて、ヤクザ映画とのギャップがとても気持ちいい。ラースの『キングダム』とともに続編が待ち遠しく思えるほど、トリコになる作品だ。

posted on 2000/12/28
ダンサー・イン・ザ・ダーク
CINEMA

ダンサー・イン・ザ・ダーク

監督:ラース・フォン・トリアー
DANCER IN THE DARK [ 2000年 デンマーク ]
奇跡の映画だった。かつて「奇跡の映画」といわれた『ベルリン 天使の詩』以来、そう評するに誰も抵抗はしないだろう。最初のミュージカル・シーンが始まったときのゾクゾクっと瞬時に覚醒するほどのカタルシス。両目から涙をたれ流しながら傍観することしかできないラスト〜最後から2番目の歌。ストーリー自体は、いたってシンプルなものだが、喜怒哀楽という四字熟語以上の感情の大きな振れ幅は、ビョーク=セルマの歌と音楽による効果があまりに大きい。一世一代の役をビョークはフィルムに刻んでいたし、ビョークとともに迫真の演技で対抗したカトリーヌ・ドヌーブも本当に素晴らしかった。セルマの母親像はあまりに極端なものではあったが、だからこそ真実の感動があったのだろう。ラースは映像作家として、また究極のものを作り上げてしまった。目を赤くして放心状態で劇場をあとにすることは避けられない、猛烈な感動作だ。

posted on 2000/12/24
死亡遊戯
CINEMA

死亡遊戯

監督:ロバート・クローズ
GAME OF DEATH [ 1979年 アメリカ ]
世界的な知名度から言っても東洋一のスーパースターとしては無敵であり伝説でもあるブルース・リー。映画がどうこうという以前にブルース・リーという圧倒的な存在があれば、もはやそのすべてが肯定される。ほんとでもすごいです。全世界のド肝を抜いたカンフー・アクションは当然として、その他の動作、顔、表情、髪型、ファッション、ヌンチャク・・・、彼のそのキャラクターを構成するすべてが完璧なのだ。今作での有名すぎる黄色い全身タイツは、元々悪者の部下のコスチュームなのだが、それを着て敵のアジトに乗り込んで最後の決闘をするブルース・リーを見てると、あまりに見事でタイツ姿が神々しい。これを観た誰もが、一度試着ぐらいならしてみたいと思っているはず。残念ながらブルース・リーはこの映画の完成をみることなく他界したため、一部吹き替えによって完成したいわく付きの作品。さらにこの運命は、まさに今作の劇中のシーンのように(映画アクション・スター役のブルース・リーは撮影シーンで敵によって空砲から実弾にすりかえられたピストルで撃たれてしまうという場面がある)、息子ブランドンにも引き継がれてしまう。

posted on 2000/12/17
HELPLESS
CINEMA

HELPLESS

監督:青山真治
[ 1996年 日本 ]
うーん、なんなんだろうなぁ、というのが正直な僕の印象。退廃、退屈、やるせなさ。病んだ世の中への突発的な怒りと暴力。主演の浅野忠信がNIRVANA『NEVERMIND』のTシャツを着ている、そんな映画。

posted on 2000/12/16
スペース・カウボーイ
CINEMA

スペース・カウボーイ

監督:クリント・イーストウッド
SPACE COWBOYS [ 2000年 アメリカ ]
NASAがない時代にアメリカ空軍パイロットとして「ライト・スタッフ」のごとく大活躍していた4人の年老いた男たちが、宇宙への夢を現代に実現させるお話。『スタンド・バイ・ミー』のように微笑ましいチーム・プレイが、イーストウッドの年齢であってもそれはとてもステキに思えた。宇宙への憧れ、男はロマン。自分も高校時代に「空を見る会」の会員だったのを思い出してしまった。「オレは昔、空を見ながら育ったのさ・・・」というセリフを将来発することを真に許される、これが会発足の理由である。友達同士、会員数わずか3、4名。ごくまれに「昨日の夕焼けサイコーだったよな?」などといった空の話題で楽しいおしゃべり。虹が出た日は大騒ぎしたものだ。

posted on 2000/12/14
デッド オア アライブ 犯罪者
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デッド オア アライブ 犯罪者

監督:三池崇史
[ 1999年 日本 ]
絶句・・・・・・。ウワサには聞いていたけど、このラストって・・・、いやー、興奮しました。オチでまさか、クゥあぁぁー、書かない方がいいですね。哀川翔VS竹内力。竹内力が悪役の表情に徹していた分、刑事哀川翔が人間味のある演技で想像以上に格好いいが、ラストであんなことが起こせるのは竹内力以外に考えられないわけで、それだけの凄みが竹内力には備わっているということだ。とにかく必見!と僕も言わさせていただきます。

posted on 2000/12/08
アンドロメディア
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アンドロメディア

監督:三池崇史
[ 1998年 日本 ]
話題の三池崇史が過去に撮ったアイドル映画。メインにSPEED、サブにDA PUMPという布陣。このいたしかたないキャスティングではあっても、しっかりアイドルたちを引き立たせた立派におもしろい映画だった。ファン以外の一般の目で観ても楽しめるという点で、さすがだなと思う。ファンタジーが強すぎて、僕は泣くには至らなかったけど、ストーリーをまとめてラストは美しく感動的。もちろん、角川映画ではありません。

posted on 2000/11/24
イディオッツ
CINEMA

イディオッツ

監督:ラース・フォン・トリアー
IDEOTERNE / THE IDIOTS [ 1998年 デンマーク ]
カメラは手持ちでなくてはならないなどといった10のルールに則って映画を製作する「ドグマ95」という組合がある。ラースはそれの代表にもなっており、この作品は「ドグマ95」の2番目の作品として制作されたものである。一言で言えば、今作はドグマの教則映画で、退屈なものだった。『奇跡の海』のように慈悲深い激愛でもなければ、『キングダム』のように黒々しいギャグに暴走するでもない。内容的にもどっちつかずで、いまいち振り切れないシコリが残る。いままでオクラになっていただけに、ラース作品だから観たいという人たちも多いと思うが、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』と同じ期待を『イディオッツ』にかけるのは、よした方がいいだろう。2001年3月23日より恵比寿ガーデンシネマにてレイトショー。

posted on 2000/11/19

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