ダンサー・イン・ザ・ダーク
CINEMA

ダンサー・イン・ザ・ダーク

監督:ラース・フォン・トリアー
DANCER IN THE DARK [ 2000年 デンマーク ]
奇跡の映画だった。かつて「奇跡の映画」といわれた『ベルリン 天使の詩』以来、そう評するに誰も抵抗はしないだろう。最初のミュージカル・シーンが始まったときのゾクゾクっと瞬時に覚醒するほどのカタルシス。両目から涙をたれ流しながら傍観することしかできないラスト〜最後から2番目の歌。ストーリー自体は、いたってシンプルなものだが、喜怒哀楽という四字熟語以上の感情の大きな振れ幅は、ビョーク=セルマの歌と音楽による効果があまりに大きい。一世一代の役をビョークはフィルムに刻んでいたし、ビョークとともに迫真の演技で対抗したカトリーヌ・ドヌーブも本当に素晴らしかった。セルマの母親像はあまりに極端なものではあったが、だからこそ真実の感動があったのだろう。ラースは映像作家として、また究極のものを作り上げてしまった。目を赤くして放心状態で劇場をあとにすることは避けられない、猛烈な感動作だ。

posted on 2000/12/24
BOWIE AT THE BEEB / DAVID BOWIE
ALBUM

BOWIE AT THE BEEB / DAVID BOWIE

デビッド・ボウイが好きだ。本当に大好きだ。かといって、盲目的に全肯定するつもりはない。芸歴が長いので、信じ難いほど素晴らしい作品もあれば、救い難いほどヒドイものもある。今作は1968年から1972年にかけてイギリスのラジオ番組「BBCセッション」用に録音された音源をまとめた2枚組。まさに、信じ難いほど素晴らしい作品を量産していた時代の貴重なテイクが37曲である。珠玉。

posted on 2000/12/22
死亡遊戯
CINEMA

死亡遊戯

監督:ロバート・クローズ
GAME OF DEATH [ 1979年 アメリカ ]
世界的な知名度から言っても東洋一のスーパースターとしては無敵であり伝説でもあるブルース・リー。映画がどうこうという以前にブルース・リーという圧倒的な存在があれば、もはやそのすべてが肯定される。ほんとでもすごいです。全世界のド肝を抜いたカンフー・アクションは当然として、その他の動作、顔、表情、髪型、ファッション、ヌンチャク・・・、彼のそのキャラクターを構成するすべてが完璧なのだ。今作での有名すぎる黄色い全身タイツは、元々悪者の部下のコスチュームなのだが、それを着て敵のアジトに乗り込んで最後の決闘をするブルース・リーを見てると、あまりに見事でタイツ姿が神々しい。これを観た誰もが、一度試着ぐらいならしてみたいと思っているはず。残念ながらブルース・リーはこの映画の完成をみることなく他界したため、一部吹き替えによって完成したいわく付きの作品。さらにこの運命は、まさに今作の劇中のシーンのように(映画アクション・スター役のブルース・リーは撮影シーンで敵によって空砲から実弾にすりかえられたピストルで撃たれてしまうという場面がある)、息子ブランドンにも引き継がれてしまう。

posted on 2000/12/17
HELPLESS
CINEMA

HELPLESS

監督:青山真治
[ 1996年 日本 ]
うーん、なんなんだろうなぁ、というのが正直な僕の印象。退廃、退屈、やるせなさ。病んだ世の中への突発的な怒りと暴力。主演の浅野忠信がNIRVANA『NEVERMIND』のTシャツを着ている、そんな映画。

posted on 2000/12/16
MORE LIGHT / J MASCIS + THE FOG
ALBUM

MORE LIGHT / J MASCIS + THE FOG

掛け値なしにカッコいい、ロック・アルバムだ。これは本気で惚れ惚れするぞ。ダイナソーJR.もオルタナもなくとも、とにかくJは帰ってきた。さらに強度を増した爽快なノイズ・ギター・ミュージック。相変わらずのヨタった歌唱で吐き出される愛しい愛しい極甘なメロディ。やはり、Jは本物の怪物だった。来年2月の来日公演も決定。昇天確実、行くべし!

posted on 2000/12/15
スペース・カウボーイ
CINEMA

スペース・カウボーイ

監督:クリント・イーストウッド
SPACE COWBOYS [ 2000年 アメリカ ]
NASAがない時代にアメリカ空軍パイロットとして「ライト・スタッフ」のごとく大活躍していた4人の年老いた男たちが、宇宙への夢を現代に実現させるお話。『スタンド・バイ・ミー』のように微笑ましいチーム・プレイが、イーストウッドの年齢であってもそれはとてもステキに思えた。宇宙への憧れ、男はロマン。自分も高校時代に「空を見る会」の会員だったのを思い出してしまった。「オレは昔、空を見ながら育ったのさ・・・」というセリフを将来発することを真に許される、これが会発足の理由である。友達同士、会員数わずか3、4名。ごくまれに「昨日の夕焼けサイコーだったよな?」などといった空の話題で楽しいおしゃべり。虹が出た日は大騒ぎしたものだ。

posted on 2000/12/14
THE HOUR OF BEWILDERBEAST / BADLY DRAWN BOY
ALBUM

THE HOUR OF BEWILDERBEAST / BADLY DRAWN BOY

10月のライブではボロボロだったと書いてしまったが、今年を振り返って2000年を代表するアルバムの一枚として、やはり今作は外せない。美しさと完成度ではズバ抜けたものがあって、一生手放すことができない作品だ。せつない冬に聴くとまた余計にセンチメンタルにしんみり浸ってしまいます。

posted on 2000/12/09
デッド オア アライブ 犯罪者
CINEMA

デッド オア アライブ 犯罪者

監督:三池崇史
[ 1999年 日本 ]
絶句・・・・・・。ウワサには聞いていたけど、このラストって・・・、いやー、興奮しました。オチでまさか、クゥあぁぁー、書かない方がいいですね。哀川翔VS竹内力。竹内力が悪役の表情に徹していた分、刑事哀川翔が人間味のある演技で想像以上に格好いいが、ラストであんなことが起こせるのは竹内力以外に考えられないわけで、それだけの凄みが竹内力には備わっているということだ。とにかく必見!と僕も言わさせていただきます。

posted on 2000/12/08
花のランランパワー / THE 真心ブラザーズ
SINGLE

花のランランパワー / THE 真心ブラザーズ

倉持陽一、桜井秀俊、真心の両人ともミレニアム婚を果たし、2枚組ライブ・ベスト盤も先頃リリースされた昨今、そのアルバムには見事に収録されなかった93年の迷曲。彼らのフォーク・デュオ時代、いまとなってはゆずのはしりのようなものだが、当時アルバム4枚も出してのシングルがこれである。苦労してきたんだなぁ〜としみじみしちゃうけど、歌は元気いっぱいいっぱいぱい! 出だしからコーラスなのだが、歌詞が「ランランラリルレロリララン ナンナンナニヌネノニナナン ダラダラ キビキビ グニャグニャ」って、すごくないか? これは思わず歌ってしまいますよ。アニメ「コボちゃん」のオープニング・テーマで、ジャケットに描かれたコボちゃんの後ろで陽気に歌っている二人のイラストも植田まさしによるものなのだろうか? それにしても、自分で所有しておきながら、なんで持ってんだろうと不思議に思う。

posted on 2000/12/07
フューチュラマ / スーパーカー
ALBUM

フューチュラマ / スーパーカー

先行の「FAIRWAY」「White Surf style 5.」、この2枚のシングルが良すぎたせいか、アルバム自体にはそれほどときめくことはなかったが、彼らの潜在能力をアッピールするには十分すぎる作品だ。完璧すぎるアルバムや達観しすぎの境地に達するのは、まだ早いというか、花は咲いてもピークはまだ先と思わせるところがすごい。時代の担い手、サウンド・イノベーターとしての期待。歌えるヴォーカリストがいないのが、むしろスーパーカーの強みのように思う。

posted on 2000/12/04

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