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長安のライチ

CINEMA

長安のライチ

長安的荔枝
The Lychee Road
監督:ダー・ポン
2025年 中国

以前、中国の長距離トラックドライバーのドキュメントを観たことがあるけど、命懸けの中国物流の果てしないスケールを思い出す。唐の時代、嶺南(広州あたり)から長安まで、生のライチを運ぶ皇帝勅令プロジェクト。『熱烈』のダー・ポン監督が、今回も見事なテンポでエンターテインメントとして盛り込めるだけ盛り込んで、明晰な数学的思考で社会の歪みを問うに至る。素晴らしく面白かったし、改めておぼえる友情・努力・物流の有り難み。

12日の殺人

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12日の殺人

La Nuit du 12
監督:ドミニク・モル
2022年 フランス

上質で引き込まれる、ドミニク・モル監督作。実際の未解決事件をモデルに描いているミステリー。ポン・ジュノ『殺人の追憶』に近い印象。刑事の執念の実らなさが重なる。

センチメンタル・バリュー

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センチメンタル・バリュー

Sentimental Value
監督:ヨアキム・トリアー
2025年 ノルウェー・フランス・デンマーク・ドイツ

頑張らなければ親に似る、という話もあるけれど、父親から見た娘の面倒くささ、娘から見た父親の面倒くささ、そんな親子のしがらみの物語を、過剰に加速させずに綴られていく。老い先短いタイミングだけに父親は結構狡い気もするけど、演じたステラン・スカルスガルドは見事だった。上映後のトークゲスト伊藤亜和さんが、映画の姉妹の違いを的確に述べていて、そういう話も含めてとてもよかった。

恋愛裁判

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恋愛裁判

監督:深田晃司
2025年 日本

ある意味、深田晃司監督プロデュースといえる劇中アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」の完成度が素晴らしく、それだけで見応えがある。agehaspringsに依頼したという最重要な曲のクオリティが全部良過ぎて、たまたま今日だけ上映後の舞台挨拶&LIVE中継が観れたけど、期間限定でも音楽番組出まくるとか、そういう展開を期待してしまった。普段はアイドルの立場にいる仲村悠菜の芝居、役者の立場にいる小川未祐のアイドルワーク、それぞれの慣れない立ち位置を感じさせない上手さが目を引いた。

罪人たち

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罪人たち

Sinners
監督:ライアン・クーグラー
2025年 アメリカ

ブルースと悪魔。対立と結合。ブッ飛んだ快楽的面白さ。『クロスロード』とか『ヘアスプレー』とか、エルヴィス・プレスリーの少年時代とかを思い浮かべながら、最終的にいちばん近いと思ったのが『デビルマン』だった。永井豪は偉大だ。

万事快調〈オール・グリーンズ〉

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万事快調〈オール・グリーンズ〉

監督:児山隆
2026年 日本

最高に面白い、最高にけしからん、最高の女優チームが輝く、最高の映画だった!!! 南沙良・出口夏希・吉田美月喜に対する、安藤裕子の異様な闇オーラも凄かった。児山隆監督は長編2作目だけど、ショーン・ベイカーに通じる大きな才能を感じる。

ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ

CINEMA

ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ

監督:阪元裕吾
2024年 日本

わたくしの、そして髙石あかりの地元、宮崎でのオールロケで、知ってる景色が色々出てくる楽しさを差し引いたとしても、今作は映画・ドラマシリーズを通じてに限らず、阪元裕吾監督作としてベストだと思う。孤独で不器用なキャラクターで、激強になるまで鍛錬しまくった池松壮亮の存在が大きく、死なすには惜しいと思えるほど敵役として素晴らしかった!

蜘蛛女

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蜘蛛女

Romeo Is Bleeding
監督:ピーター・メダック
1993年 イギリス・アメリカ

ゲイリー・オールドマン主演のノワール。怪演なのは翻弄するレナ・オリンの方で、刑事役のゲイリー・オールドマンがずっとダメで、メタメタのボロボロにされて、面白い。愛人役で出てたジュリエット・ルイスが、河合優実に見えてハッとしたけど、90年代のジュリエット・ルイスとは通じるものがあるのかもしれない。

見えざる手のある風景

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見えざる手のある風景

Landscape with Invisible Hand
監督:コリー・フィンリー
2023年 アメリカ

2036年とかの近未来にエイリアンに高度なテクノロジーで経済的に支配された地球という設定のSF。近未来というより、ほぼ現代の風刺や暗喩に満ちた内容。エイリアンの造形と動き、支配層たる意識と言動・態度の可笑しさ。格差の下層に落ちた人間の皮肉と可笑しさ。めちゃめちゃ面白い!!!

レッツ・ゲット・ロスト

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レッツ・ゲット・ロスト

Let’s Get Lost
監督:ブルース・ウェーバー
1988年 アメリカ

写真家ブルース・ウェーバーが監督したチェット・ベイカーの傑作ドキュメントを劇場で。無茶苦茶だった私生活のことも元妻とかから語られたりするも、スタイリッシュなモノクロ映像と途切れない音楽で、どうにも魅力が優ってしまう。年の割には皺々だけど、58歳で亡くなる晩年まであふれる人間としての可愛げ。演奏、歌唱する姿の至高さ。