SUMMER SONIC 2003 [ 2003.08.02-03. 千葉マリンスタジアム&幕張メッセ ]
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SUMMER SONIC 2003 [ 2003.08.02-03. 千葉マリンスタジアム&幕張メッセ ]

直前に長引いた梅雨が明け、慣れる間もなく灼熱の陽気が一気に照りつけた今年のサマーソニック。とにかく暑かったが、空調の効いたメッセ室内やスタジアムスタンド後方の日陰エリアといったエスケイプゾーンをうまく活用し、フジロックでもらった環境うちわを装備していたので、殺されるような危険は回避できたと思う。でもメッセからスタジアムまでの移動は何気にフジロック以上の距離があって、かなり過酷なものだったなぁ。メインステージもメッセでやるのって、ダメだろうか? 外がよいならGLAYが10万人集めた横の大駐車場ではダメか? 駐車場だと騒音の苦情が来るだろうけど。

■第1日
Mew – indoor stage
新人バンドの中でも人気と評判が大きかった彼らだけに、暑かったということだけでなくこのインドアステージにはたくさんの人が集結。ラジオでかかりまくっていた唯一知ってる曲からスタートしたので、会場も大いに盛り上がる。ボーカルがあの高音男性ボーカルだけにドリーミーなのだが、メンバー全員が黒ずくめで、音もゴスな印象を受けた。コクトーツインズが黒ずくめでやってるような、性急じゃないプラシーボのような、どこか優雅なファンタジックな雰囲気がこのバンドはいいのかもしれない。最後の曲のコード進行の繰り返しと背景スクリーンの映像の絡みは素敵に思えたが、全体的に映像の方は室内に漏れた光で見えにくかっただけでなく、評判にするほど完成度は高くなかったと思う。

Polysics – sonic/factory stage
今年新たに新設されたイベントホール内に設置された対面式ステージに移動。マイ・モーニング・ジャケットが始まる前には向かいのステージでポリシックスが演奏中だったのだが、これがとにかくやかましくて酷かった! ちょっと苦情の2、3件では済まされないレベルの騒音にしかなってなくて、何考えてエンジニアもあそこまでヴォリューム上げてやってるのか訳分からない。もう絶対にポリシックスのライブを観るのはイヤだと思った。

My Morning Jacket – sonic stage
レコードでは枯れた歌モノとして素敵な印象らしいが、出てきたのはガツガツにロケンローな頭振り乱してアツ〜い演奏をするアメリカン・ガイズ! 軽く呆気に取られながらも構わずステージ上では激しく燃えた演奏を続けるガイズ達。ボーカルはニール・ヤング直系のものだったりするのだが、すっかりバンドもクレイジーホース状態でロッキンに刻み続けるのだった。スティックを天に突き上げたり、ドラムのアクションは特に面白かったなぁ。しまいには立ってたし。そんな感じでレコードとは違った印象なのかもしれないが、演奏は抜群に上手くて楽しかったです。

Cheap Trick – outdoor stage
テクテクとスタジアムへ向かっていると既に「甘い罠」を演奏している音が! 後半から観戦となったチープ・トリックですが、しっかり下のグラウンドに降りて存分にベテランの味を楽しませていただきました。今にして思えばパワー・ポップの元祖といえる存在の彼ら。ヴェルヴェットのスーツを着ていたリック・ニールセンが観ているこっちも暑そうだったが、お約束らしいピックばら撒きはスタジアムのステージからもたっぷり披露。マイクスタンドにもびっちりピックが貼られていたのも笑ってしまった。極めつけの5ネックギターも最高! あれは目立てばOKな代物だけに、やっぱり弾きにくそうだったのが良かったなぁ。そんな「サレンダー」で暑さも忘れて盛り上がったチープ・トリックでした。わーお。

The Jon Spencer Blues Explosion – outdoor stage
ジョンスペまでの間、一旦メッセに戻り休憩。お笑いステージで鉄拳やパペットマペットなどを観て過ごしたのだった。夕方となり外の暑さもだいぶ和らいだところで登場。サマーソニック初年度のトリを務めたものの、直前のジェームズ・ブラウンが唯我独尊持ち時間無視のフルセット演奏の煽りを食らい、演奏時間縮小を余儀なくされたわけだが、今日はほぼ定刻に始まった。ジョン・スペンサー、髪が幾分短くスッキリしてて、さらに男前な印象。ユダはそんなに変わってはいないが、比べてラッセルはさらに太ってないか? しかしまぁ、三人の演奏が始まるとグイグイ惹き込まれていくもので、本当にカッコいいなぁ〜と思いながら観ていましたよ。なんか今回抜群に冴えていたと思う。

Devo – sonic stage
ラストは今回のサマーソニック最大のお目当て、D!E!V!O! 日本語ラップもここまで歌詞のレベルが低くていいものかと不安に思えたキック・ザ・カンクルーが終わると、DEVOの曲がインストでSEとして流れ、期待が徐々に高まっていく。ステージ前にはエナジードームをかぶったうらやましい人達もぽつぽつと確認。そして、いよいよ暗転するとスクリーンにオヤジ(ジェネラル・ボーイ)が映し出され、DEVOのいままでの映像コラージュが流れ出し、ついにメンバー登場で大興奮! メンバー全員が黄色いジャンプスーツにエナジードームをかぶったスタイルだ。年相応のオッサンと化し、マークとボブ2号はすっかり体が肥えていたりしたが、それでも無茶苦茶かっこいい!! DEVOによるDEVOたるステージパフォーマンスにひたすら感動の嵐が最大瞬間風速を記録しながら吹き荒れまくり。もはやたまのライブ出演でしか活動してないものの、よくぞ日本に来てくれたと感謝せずにはいられない。そりゃもう、ウィー・アー・ディーヴォ!と大喜びで叫ぶさ。とてつもなくたまらないライブ体験でした。

Blur – outdoor stage
素晴らしかったDEVOの余韻に浸りながら、同時進行だったスタジアムのブラーを最後に一目確認しようと移動。アンコールだけながらスタンドから見届ける。わかっているけど、グレアムはいなかった。新曲が2曲続き、耳馴染みがないだけにそこは気にならず、相変わらずズシリと響くデイヴさんのドラムに感心したりしていたのだが、ラスト定番「THIS IS A LOW」を聴くに、やはりグレアムのプレイではないとわかってしまう分、ショックだった。ただデーモンもそのことはきっと重々承知だろうけど、決して表に出さずにステージを務め上げる姿勢は凄く立派だった。さすがはプロに徹したエンターテイナー。それでもやはりブラーとして観るなら、1997年の武道館公演が忘れられない者として、グレアムにはステージだけでも復帰して欲しいと夜空に打ち上がる花火に願わずにはいられなかった。嗚呼。

例年のサマーソニックであれば、ここでまた2時間以上かけて自宅まで日帰りとなるところだが、今年は某氏主催の夜の部開催ということで、広島からの参戦者を迎えて近くのホテルにて宴会宿泊とあいなりました。「黒真珠」なる産地沖縄以外では手に入りにくいという泡盛が非常に美味でありましたが、アルコール度数43度の威力も見事に発揮され、降霊ののち屈する者もしばしば。そうして楽しい夜は更けていったのでした。

■第2日
The Polyphonic Spree – outdoor stage
9:05にセットされていた目覚ましよりも早く起床。2日目はチケットが完売してるとあってか、朝から続々と人が詰めかけてきている。昨日に引き続き猛烈な日差し。ポリフォニック・スプリーは日陰のスタジアム2階席から朝食のおむすびをほおばりながら観戦。総勢23名の白装束集団はここからでもかなり壮観で、一緒になって楽しまずにはいられない全身の思いを込めたパフォーマンスにすっかり虜になってしまいました。白装束で背中に日の丸という問題人物然とした格好でも、白い目で見るものは皆無の大歓声。これぞまさに幸せだと泣きたくなる音楽だと感銘を受けた次第です。

Rooney – indoor stage
ブロンディまで特にスタジアムで観たいものがなかったので、とりあえずメッセに移動してそこでやってたルーニーを観る。なんか全然興味が持てなかったので、途中でトイレへと退出してしまった。ポリフォニック・スプリーの後だけに、かなりの薄味にしか見れなかった。

Blondie – outdoor stage
再びスタジアムへ。太陽がいちばんギラギラしている時間帯ながら、今度はスタンディングエリア前方まで進んで、出番を待つ。ここまで頑張ってしまったのも、今日のお目当てブロンディのせい。氣志團もセカンドアルバムのジャケットでブロンディへの愛をまんま表現していたが、こんなクソ暑い時間にデボラ・ハリー(58歳!)がステージに立って歌っていると思うだけでも感動してしまうではないか! 確かに数年前に復活を果たしアルバムをリリースし、今回は新作が控えている状況ではあったものの、正直ここまで現役モードをアピールするとは思わなかった。いきなり初っ端新曲だったし、過去の曲も今のバンドの音としてリアレンジが施されていたりして、新旧ともども遜色なく、自信と貫禄に溢れた素晴らしいステージングに拍手喝采。「DREAMING」〜「HANGING ON THE TELEPHONE」の最初の盛り上がりで既にノックアウト状態でした。気が付けばポリフォニック・スプリーのメンバーらしき人物数名もセキュリティピットに降りてきて大喜びで楽しんでいる様子。まだまだ聴きたい曲がありすぎて、再来日の実現を願いたい!

Stereophonics – outdoor stage
すっかり体力を消耗してメッセに戻る気力もなく、INTERPOLを諦め、スタジアム2階席で休憩。結局そのまま最後まで2階席で過ごしたのだが、これはこれでいいものだったと思う。グッド・シャーロットをかき氷食べながら眺めてたけど、こういうスタジアムで人の流れを管理するのは大変だなぁと思ったものです。確かにサマーソニックは今年も相変わらずフジロック以上の場内整理員がいながらもケチな導線で入退場が面倒だったり混雑が多発したりしてたけど、この施設だと仕方ないのかもしれないなぁ、なんて人の流れを見渡してると納得。あれだけの人数をスタンディングエリアに流し込むのって、絶対脅威だよな。いろいろボーっとしつつステレオフォニックスも眺めて見てましたが、なんか随分サポートメンバー多かったですね。女性コーラスまでいたし、どうなっちゃったの? 渋みや風格といったところが確かに本国イギリスでは大物バンドの域でもあるし強調されてきてるのだろうけど、3ピースで勢いのあった頃のほうがよかったなぁ。

The Strokes – outdoor stage
アルバム一枚にしてロックスターの座を手に入れた近年最大の成功バンドではあれど、このストロークスに関しては全くの未聴という無関心を通してきてしまった。初めて彼らの楽曲をライブを通して味わったわけだが、若さと人気は認めるが、彼らがカッコいいとは大して思えなかったのが正直なところ。かなり単調だけどわざとなのか曲を短くしてキャンディポップと言っていいくらいキャッチーに聴かせることに成功しているとは思う。「マイウェイ」を布施明ヴァージョンでちょこっと歌ったところは面白かった。

Radiohead – outdoor stage
スタジアム2階席もほとんど人で埋まった、満を持してのレディオヘッド。本年度のベストシングルと言っていいくらい素晴らしい「THERE THERE」のイントロがズンドコ鳴り出して、ついに開幕。もうサマーソニックというフェスの雰囲気を消して、明らかに別世界にいざなっていた無意識に真剣に向き合わずにはいられないステージは、まさに最高のエンターテインメントでもあった。「アツイデスネ〜」なんて日本語を普通のトーンで話し掛けたり、決してロックスターを気取らないものの、ロックスターとしてのオーラが半端じゃないトム・ヨークの存在感がなんとも不思議で興味深い。ジョン・グリーンウッドも比類ないレベルのギターヒーローとしてとにかく弾きまくって欲しいのに、本人はそこまでギターにこだわるつもりはないらしく、ギターをぶらさげながらでも鍵盤やつまみをいじってばかりだったりする。しかしながら、なんとなくだが彼のエゴがギターに向かわなかったのはレディオヘッドにとって大きかったのではないかという思いもする。アンコールの「CREEP」はまさかという思いと異様なフラッシュバック感覚でヒクヒク泣いてしまったわけで、自分のレディオヘッドに対する思いも無意識に巨大化していたんだなぁと思い知ったのでした。

放心状態で見上げた打ち上げ花火が2日間のサマーソニックの終わりを告げる。帰り道が辛いのは昨夜近場に泊まったせいなのか? 暑かったせいもあるけど、明らかにフジロックより疲れてしまったサマーソニック。多摩方面まで帰る電車賃、労力、時間を考えると、2日間行く場合はもう日帰りできないなぁとつくづく実感してしまいましたね。来年もラインナップ次第ですが、期待しておこうと思います。今年はとにかくDEVOに尽きる。ありがとう。できればまたカム・バック! ところで、レディオヘッドのウラでちょっと気になってた21世紀ドアーズはどうだったんだろう?

Mew set list
1.AM I WRY? NO 2.156 3.BEHIND THE DRAPES 4.SYMMETRY 5.SHE CAME HOME FOR CHRISTMAS 6.SHE SPIDER 7.SNOW BRIGADE 8.COMFORTING SOUNDS

Cheap Trick set list
1.HELLO THERE 2.BIG EYES 3.TOO MUCH 4.I WANT YOU TO WANT ME 5.BEST FRIEND 6.CLOCK STRIKES TEN 7.MY OBSESSION 8.DREAM POLICE 9.AIN'T THAT A SHAME 10.SURRENDER 11.SCENT OF A WOMAN

Devo set list
1.THAT'S GOOD 2.GIRL U WANT 3.WHIP IT 4.(I CAN'T GET NO) SATISFACTION 5.MONGOLOID 6.UNCONTROLLABRE URGE 7.BLOCKHEAD 8.JOCKO HOMO 9.SMART PATROL/MR.DNA 10.GUT FEELING/SLAP YOUR MAMMY 11.GATES OF STEEL
encore
12.FREEDOM OF CHOICE 13.COME BACK JONEE

Blur set list
1.AMBULANCE 2.BEETLEBUM 3.GENE BY GENE 4.FOR TOMORROW 5.GOOD SONG 6.MOROCCAN PEOPLES REVOLUTIONARY BOWLS CLUB 7.TENDER 8.CARAVAN 9.OUT OF TIME 10.CRAZY BEAT 11.SONG 2 12.TRIMM TRAB 13.BATTERY IN YOUR LEG 14.THE UNIVERSAL
encore
15.ON THE WAY TO THE CLUB 16.WE'VE GOT A FILE ON YOU 17.THIS IS A LOW

Blondie set list
1.DIAMOND BRIDGE 2.DREAMING 3.HANGING ON THE TELEPHONE 4.CALL ME 5.END TO END 6.MARIA 7.TIDE IS HIGH 8.GOOD BOYS 9.RAPTURE 10.GOLDEN ROD 11.ONE WAY OR ANOTHER

Stereophonics set list
1.HIGH AS THE CEILING 2.MADAME HELGA 3.NOTHING PRECIOUS AT ALL 4.BARTENDER AND THE THIEF 5.SINCE I TOLD YOU IT'S OVER 6.MAYBE TOMORROW 7.MR. WRITER 8.LOCAL BOY IN THE PHOTOGRAPH 9.CLIMBLING THE WALLS 10.I'M ALRIGHT 11.HAVE A NICE DAY 12.HELP ME

The Strokes set list
1.NYC COPS 2.HARD TO EXPLAIN 3.新曲(1) 4.THE MODERN AGE 5.SOMEDAY 6.新曲(2) 7.SOMA 8.BARELY LEGAL 9.新曲(3) 10.LAST NITE 11.TAKE IT OR LEAVE IT

Radiohead set list
1.THERE THERE 2.2+2=5 3.MORNING BELL 4.EXIT MUSIC 5.NATIONAL ANTHEM 6.BACKDRIFTS 7.SIT DOWN, STAND UP 8.NO SURPRISES 9.BONES 10.KID A 11.GO TO SLEEP 12.JUST 13.PUNCH UP AT A WEDDING 14.PARANOID ANDROID 15.IDIOTEQUE 16.EVERYTHING IN IT'S RIGHT PLACE
encore
17.PYRAMID SONG 18.WOLF AT THE DOOR 19.KARMA POLICE 20.CREEP
posted on 2003/08/14

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