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新感染 ファイナル・エクスプレス
監督:ヨン・サンホ
Train to Busan
2016年 韓国
ロメロ死すとも、ゾンビは死せず! 人間怖い! 子役凄い! 怪しい彼女、怪しい! KTXまた乗りたい! なかなかに雑だった『ワールド・ウォーZ』とは大違い! 『シン・ゴジラ』が描かなかった、国家災害パニック下での、市井の民の熱く愚かな人間ドラマ。『FLU 運命の36時間』以来の韓国産感染パニック娯楽映画の傑作!!!!! 釜山へ行こう。
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ブルーに生まれついて
監督:ロバート・バドロー
Born to Be Blue
2015年 アメリカ・カナダ・イギリス
伝説的ジャズ・トランぺッター、チェット・ベイカーの半生を描いた作品。事実でないモノも盛り込みながら、音楽とドラッグに沈没する破滅的な生き様をやさしく映している。生涯ヘロインを絶つことができず、相当なろくでなしだったようだが、だからこその彼の音色なのだろう。チェット・ベイカーを初めて知った、エルビス・コステロ「Shipbuilding」でのトランペット・ソロは、いま改めて聴いてもゾクゾクする。
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弁護人
監督:ヤン・ウソク
The Attorney
2013年 韓国
ノ・ムヒョン元大統領の弁護士時代がモデルになっていて、ソン・ガンホが演じている。ソン・ガンホにハズレなしと言われて10年以上経っていると思うけど、今作も必見の素晴らしい作品だった。80年代韓国軍事政権時代の国家保安法違反の冤罪事件・釜林事件。日本も国家が転覆しようがしまいが共謀罪法案が成立した以上、同じような状況になりうることを、この映画は訴えてくれているようにも思える。
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コンビニ・ウォーズ ~バイトJK VS ミニナチ軍団~
監督:ケヴィン・スミス
Yoga Hosers
2016年 アメリカ
ケヴィン・スミスおなじみのジェイ&サイレント・ボブが、同じくいい塩梅のユルい女子高生に置き換わった感じで、めっちゃ面白かった! 美しきリリー・ローズ・メロディ・デップがとことんカワイイ!!!!! ハーレイ・クイン・スミスとのコンビもはっちゃけまくりで最高!(なんと幼稚園がいっしょだったそうな) 今作は実名クレジットのジョニー・デップもこのキャラクターが相当お気に入りのようで(『Mr.タスク』のあと、監督にまたやりたいと電話したらしい)、娘との共演も含めて楽しくて仕方がない感じの怪演をみせております。ちなみにデップファミリー、元パートナーのヴァネッサ・パラディに加えて、息子ジャック・デップと総出演。もうみんな楽しいのか、次回作も決定してます!
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Mr.タスク
監督:ケヴィン・スミス
Tusk
2014年 アメリカ
ケヴィン・スミス監督による悪趣味ホラー・コメディ。ケヴィン・スミスだから観たような作品ですが(ちょっとエグいけど、ちゃんとおもしろかったです)、なんとジョニー・デップが変名で出演。さらにヴァネッサ・パラディまんまなデップの娘リリーローズと、監督の娘ハーレイ・クイン・スミスがコンビニ店員役で出演。さらにさらに、そのコンビニ店員ふたりを主演にしたスピンオフ作品『コンビニ・ウォーズ』が現在公開中!(こっちはヴァネッサ・パラディも出てるそうな) そんなわけで、ケヴィン・スミスファン&ジョニー・デップファン必見の注目作でした!
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ハクソー・リッジ
監督:メル・ギブソン
Hacksaw Ridge
2016年 アメリカ・オーストラリア
汝、人を殺すなかれ。宗教映画の側面も大いにあるものの、このメッセージは万人にとって最重要なものだと思う。わが祖父も戦死した、終戦まであと3カ月の沖縄戦。もはや戦局は決定的だったはずなのに、民間人も含めてここまでの死者を積み上げた戦場。一方的ではなく、米軍にとっても地獄だったことは十分にわかった。
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メッセージ
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
Arrival
2016年 アメリカ
メインビジュアルの例のソレは、日本では「ばかうけ」と言われてますが、物語の近さからエヴァンゲリヲンの使徒のようで、バリバリの緊張感・恐怖感・好奇心とともに見入ってしまいました。この作品についてはアレコレ事前情報なしに観るのが最適だと思うので、観た人と感想を話し合いたいと思う気持ちでいっぱいです。過去作全部傑作のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、今回も傑作でした!!!
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LION ライオン 25年目のただいま
監督:ガース・デイビス
Lion
2016年 オーストラリア
ググるかググらないかは、あなた次第のこのご時世、タイトル通りに事が進むものの、物語のインパクトは絶大! 実話なせいか最後に本人の写真や映像が出るけど、感動作であればあるほど本人登場はちょっと醒めてしまうかも(犯罪ものだと生々しくてみぞみぞしがちですが)。ルーニー・マーラーはミレニアムシリーズのリスベットの面影がないくらい、可愛さ全開だった。
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ムーンライト
監督:バリー・ジェンキンス
Moonlight
2016年 アメリカ
ラブストーリーとしては、至極まっとうな純愛映画だったと思う。ただ、ゲイの黒人男性同士の恋愛と彼らの成長を描いた意義は、アメリカ映画として大きかったのだろう。そしてこの物語が『ブロークバック・マウンテン』のような悲恋ではなく、未来のあるかたちを示したことに、いろいろあるけどそれでも世の中は良くなっていっているのではないかと思わせてくれる。
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T2 トレインスポッティング
監督:ダニー・ボイル
T2 Trainspotting
2017年 イギリス
ちょっとどころではないくらい感動してしまった。大学生だった時代、宮崎の小さな劇場で前作を観てから20年。人生をちゃんと選んできたかはわからないけど、いまもサヴァイヴして生き残っていることは、よかったんじゃないかと肯定的に思えると同時に、20年のあいだに亡くなった友人のこともいろいろ思い出してしまった。ダニー・ボイル監督にとって、昨年の『スティーブ・ジョブズ』に続く大傑作だと思う。