鬼が来た!
監督:チアン・ウェン
鬼子來了 [ 2000年 中国 ]
2000年のカンヌ国際映画祭グランプリ作品に香川照之が準主役として出演していたことで少し話題になった作品(ちなみに同年カンヌの実質ナンバーワンの賞であるパルムドールは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』だった)。監督のチアン・ウェンは本業はむしろ俳優のようで、『鬼が来た!』は監督第2作にあたるのだが、これは監督として物凄く立派であることを見せるには十分すぎる内容だ。単なる反戦、反日といったスローガンを掲げただけの戦争映画ではなく、あくまで戦争や死というものを独自の距離で見つめた映画。相当なリサーチをしたそうだが、中国映画において太平洋戦争中の日本軍がここまでしっかり冷静に描かれていることに驚かされる。農村を舞台に軍人と農民の奇妙な関係を笑いと緊張感で巧みに描きながら、戦争の狂気も暴き出すテンションに思わず凝視。香川照之も上手いが、軍人というより戦国時代の武将といった風格で、軍服着て日本刀持ってるからということだけではなく、戦における武士道とか大和魂といった精神的な部分を圧倒的に見せつける日本軍隊長を演じた澤田謙也が強烈な印象を残す。
posted on 2003/07/23