バトル・ロワイアル
監督:深作欣二
[ 2000年 日本 ]
目が覚めるような映画だった。暴力描写が問題となり、国会でも話題になるほどだったが、文部省選定作品にならずとも映画は見事に大ヒットした。不謹慎かもしれないが、中学生がクラスメイトを殺しあうのは、とてもおもしろかった。矛先をルールを作った大人に向けても、かなわないと思い知るやその矛先は瞬間的に仲間たちに向けられる人間の性。愛や友情も次々と裏切られていくのは極限の精神状態だからであろうか。映画は確かに極限の状況だが、実際の社会でも自殺や殺人に追い込む危険な要素はいくつもあって、そうした事件は多発しているからこそ、積極的に見せるべきだったように思える。中には「いま、そこにある危機」を想定した肉体修行を積む寺門ジモンのような人間も5人くらい増えちゃうかもしれないけど、これは人を信じるなと言っているのではない。人を信じられない世の中にするなと言っているのだ。ラストの「走れ。」というメッセージに目の覚めるような感動を覚える傑作だと思う。
posted on 2001/09/29