アモーレス・ペロス
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
AMORES PERROS
1999年 メキシコ
新作『21グラム』も気になるアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督のデビュー作。『赤い薔薇ソースの伝説』や、もっと昔のアレハンドロ・ホドロフスキ監督作品など、カルトな名作はいくつかあったが、現在、かつてないほどメキシコ映画に注目が集まっている切っ掛けは、この作品の成功と、ガエル・ガルシア・ベルナルという若きスターを生み出したことによるところが大きい。荒々しくパワフルでエネルギッシュに見せつけながらも、緻密なカット割りテクニックと3つの物語が交錯する巧みに計算された構成は本当に見事だ。胸を抉られそうなほど直情に訴えかける痛みや喜び、悲しみ。残されたほんの小さな希望を持って生きる人間の生の奥深さ。この映画の凄みを強烈に感じながら見入ってしまう。闘犬がいろいろ絡んでくるだけに、犬好きは注意が必要かもしれません。