EUREKA
CINEMA

EUREKA

監督:青山真治
[ 2000年 日本 ]
台詞の言葉数こそ少ないが、だからこそ発せられる言葉のひとつひとつが重く、鮮明に心に響く。セピアな色調(クロマチックB&W)でプリントされた目にやさしい見事な映像は、主人公達を、映画を繊細なまでに深く深くさらけ出す。変わらない日常を生き続ける僕たちも、傷を負った主人公達の共同生活や旅姿を追いながら、ただ逃げているだけの日々を送っているのか、漠然とでも何かを始めようとしながら生きているのか、自らの存在意義、探し求めているものは何なのか、自らの哲学を問い考える。物語終盤、ジム・オルークの「ユリイカ」が流れる特別で秀逸なシーンを思い出しながら、また考える。変わらない日常でありつづけようが、行きようと意志を持った瞬間にすべてが色づきはじめるマジック。3時間37分の長尺を気にしてはいけない。静かな感動が波打つ、2000年代を代表する傑作。九州人として、九州が素敵に懐かしく思えた映画でもあった。

posted on 2001/01/21

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