

劇的な瞬間 / 斉藤和義
どうやら今年中のアルバムリリースはなさそうなので、シングルで我慢。シングルとしては「アゲハ」以来の曲なんだけど、「劇的な瞬間は僕が僕じゃないようで」だなんて、彼のキャリアの中でもベストと言えるんじゃないかと思えるほどの大名曲だぞ、これは。5月のライブでも披露してたけど、改めて聴くとさらに意味あるものとして浸透してくる。一人じゃないって思えることこそ、いちばん大事にしていきたいと思った。


真夜中のサイクリング / 岡村靖幸
和製R&Bなるものが流行して、そのどれもが一様につまらないのは、その歌声にセクシーな要素が欠落しているからだと思う。歌唱力があるからといって、R&Bなんぞともてはやしてはいけない。演歌や歌謡曲と称するのが妥当だろう。R&Bとは非常に性的な音楽であり、ヴォーカリストはその歌声で異性の感情をメロメロにする力がないとダメなのだ。久しぶりにこのシングルを聴いて、カップリングの「なごり雪」のカヴァーを聴くと、やはり岡村ちゃんしか本物はいないなぁと当たり前のように思ってしまう。そういう点で男として憧れてしまいます。


The STANDARD / 奥田民生
『30』以来のアンディ・スターマーとのコラボレートとなった民生の新曲は、ひたすらにひたすらに胸を打ち胸を締め付ける。「人々は実に様々な理由をつけるからラブソングは売れる」とは「悩んで学んで」の歌詞であるが、ここにあるのは純粋に真っ直ぐに向かってくるものしかない。言葉少なく、愛は多くを語らずも、こうして珠玉のラブソングが生まれるのだ。


スカート / CHARA
ジェームズ・イハのソロについて、否定的な意見というのを僕は聞いたことがない。スマッシング・パンプキンズも解散してしまって、とっととソロ作を作れよ!と思うファンをよそに、なーんか自分のブランドデザインやったり、やきもきさせているところに今回のシングルである。やはり、いま求められているのはシンプルに良い曲に良いメロディだと思う。それを実現させるにCHARAのイハの起用は圧倒的に正しかった。アンディ・チェイス、岡村ちゃん、その他ポップ職人がごっそり参加したアルバムにも、良い曲に良いメロディがあふれていることだろう。


CRYSTAL / NEW ORDER
歓喜のニュー・シングル。表題の新曲だけならアルバムまで待っても、往復ビンタ執行猶予つきで許されたかもしれないが、1998年レディングのライブ音源を耳にしてしまっては即購入するしか術はなかった。「TRUE FAITH」「TEMPTATION」に、JOY DIVISION時代の「ATMOSPHERE」「ISOLATION」である。まさに歓喜のシングルである。もはや、フジロックの土曜日はなにがあろうと出陣するしかない。「ATMOSPHERE」はビリー・コーガンが歌ってしまうのだろうか? 興味は尽きないが、新曲についてひとこと。モナコとエレクトロニックをうまく2001年風にブレンドした感じ。当たり前だけど、まるで違和感のないニュー・オーダーでした。ジャケットはもちろん、ピーター・サヴィル。


MY EVER CHANGING MOODS / THE STYLE COUNCIL
ポール・ウェラーは本当に大好きなアーティストのひとりだけど、しいて言えば僕はジャムがいちばん好き。でも先日この曲を久しぶりに聴いて、大名曲だなあと再確認してしまいました。「激情と気変わりがオレをとらえて離さない」というポール・ウェラーそのものといえる歌詞。彼の意志はいまも頑固一徹つらぬかれているわけで、ファンとして、それ以上に尊敬してます。


STEREO NIGHTS / 石野卓球
いきなりスコーンと抜けちゃってる感じがするほどドリーミーなエレクトロポップでびっくり。電気の『イルボン2000』が売れなかったことへの嘆きなのかヤケなのか、そういう気もしないでもないが、トラックの完成度はさすがであります。ロシアの有名なエル・リシツキー「USSR」をパロったジャケットも元が元だけにインパクトがあって素晴らしいです。


日なたの窓に憧れて / スピッツ
東京へ出てきて3年が経とうとしている。東向きの部屋で3年が経とうとしている。引っ越したいとずっと考えている。日なたの窓に憧れている。落書きだらけの夢を見ている。今日、何度となくこの曲を聴いている。


飛べない鳥 / ゆず
いまやスタジアムクラスの恐ろしい人気を誇り、街並みに溢れかえるフォロワーを見れば明らかなように、ゆずは世紀末における日本の音楽的現象にまでなってしまった。知ったのは、つい3年前だ。ナマったらしい応援歌は他人に任し、とうとうこんなにも素晴らしい名曲を作り上げてしまった。日本代表、今年のベスト・シングル。


花のランランパワー / THE 真心ブラザーズ
倉持陽一、桜井秀俊、真心の両人ともミレニアム婚を果たし、2枚組ライブ・ベスト盤も先頃リリースされた昨今、そのアルバムには見事に収録されなかった93年の迷曲。彼らのフォーク・デュオ時代、いまとなってはゆずのはしりのようなものだが、当時アルバム4枚も出してのシングルがこれである。苦労してきたんだなぁ〜としみじみしちゃうけど、歌は元気いっぱいいっぱいぱい! 出だしからコーラスなのだが、歌詞が「ランランラリルレロリララン ナンナンナニヌネノニナナン ダラダラ キビキビ グニャグニャ」って、すごくないか? これは思わず歌ってしまいますよ。アニメ「コボちゃん」のオープニング・テーマで、ジャケットに描かれたコボちゃんの後ろで陽気に歌っている二人のイラストも植田まさしによるものなのだろうか? それにしても、自分で所有しておきながら、なんで持ってんだろうと不思議に思う。
