

ライブ・フレッシュ
CARNE TREMURA / LIVE FRESH
監督:ペドロ・アルモドバル
1997年 スペイン
ひとつの事件を契機に生まれた男女五人の複雑な多角関係。恋愛憎悪の生死を決する劇的なクライマックスまで、ドラマの展開は実にスリリングかつ巧妙だ。主人公たちを翻弄する美しい女性エレナ役を演じたフランチェスカ・ネリはイタリア女優だったが、冒頭で主人公の母親を演じたお馴染みペネロペ・クルス以下、アルモドバルがアントニオ・バンデラスをハリウッドに送り込んで以降も、スペイン男女優陣のすばらしさは特筆に価する。


交渉人
THE NEGOTIATOR
監督:F・ゲーリー・グレイ
1998年 アメリカ
おすぎですぅCMのさきがけとなった『交渉人』だけど、おすぎが特別薦める理由がわからない。そこがおもしろいのだが、あれは見事なキャスティングだったと思う。みんな意表つかれたし。映画はたいへんおもしろかった。IQの数値は正確に計れなかったけど、かなり高い方だと思いますよ。ケビン・スペイシーの配役はまっとうすぎる気もするが、相変わらずの憎らしくないインテリぶりでよかったです。


ブレア・ウィッチ・プロジェクト
THE BLAIR WITCH PROJECT
監督:ダニエル・マイリック&エドゥアルド・サンチェス
1999年 アメリカ
実にしょうもない一品。映画館で観なくて本当に良かったと思うが、いままで観たいという欲望にそそられていたのは事実であり、認めざるをえない。噂が噂を呼び、僕もまんまと自ずから観てしまったわけだ。チームワークのない三人のヒステリーを延々見せられイライラしっぱなしだったが、これこそ製作者の思うツボなのだろう。


イヤー・オブ・ザ・ホース
YEAR OF THE HORSE
監督:ジム・ジャームッシュ
1997年 アメリカ
「バッファロースプリングフィールド・アゲイン」なんて曲がこの前の新作に入ってたりしてたけど、やっぱりライブはクレイジーホースで観てみたいと猛烈に思うのであります。いったいいつになったら来てくれるのだろう。R.E.M.も来ないけど、それ以上にニール・ヤングは来ていない。キュアーが来ないのはキュアー(ロバート・スミス)自身の問題だと思うが、ニール・ヤングの興行が打てないのは、これはちょっとどころでない日本の恥だと思う。この映画がどのくらいヒットしたのかわからないけど、もうほんとお願いだから日本に呼んでください。


U-571
U-571
監督:ジョナサン・モストウ
2000年 アメリカ
ベルリンだったか映画祭に招待され、その場の記者会見においてロシアの原潜事故への哀悼の意を毅然と語ったハーベイ・カイテルは猛烈にかっこ良くみえた。彼の存在は映画をより深く引き締まった意味あるものにしていたように思う。第二次大戦中のドイツ潜水艦を舞台にした戦争映画として、その迫力とスケール十分な映像は、さっすがハリウッドと感心しきり。話の展開がやや走りすぎかと思えるが、鑑賞に堪えうる立派なエンターテインメント作品として評価したい。


サン・ピエールの生命
LA VEUVE DE SAINT-PIERRE
監督:パトリス・ルコント
1999年 フランス
ジュリエット・ビノシュ、ダニエル・オートゥイユ、エミール・クストリッツア(監督としてご存知の方も多いと思うが、今回映画初出演)といった三人の抑えた渋い演技が印象的な愛と犠牲の中世劇。悪くはないが、いまいち決定力に欠けるか。ここまで毎回作風を変えられると、ルコントってどういう監督なのかよくわからなくなってくる。


ブラッドシンプル/ザ・スリラー
BLOOD SIMPLE
監督:ジョエル・コーエン
1999年 アメリカ
コーエン兄弟『ビッグ・リボウスキ』(別称『びっくり棒、好き』)以来の新作は自身1983年の長編第1作を再編集したもの。ストーリー・テリングの巧さは先天的な才能であろう。スリリングな展開で、緊迫した描写が最後まで飽きさせることなく続く。特に生き埋めのシーンはゾッとした。11月4日からシネマライズで公開だが、元はビデオ屋に行けばあるでしょう。フランシス・マクドーマンドが非常に若い。


オータム・イン・ニューヨーク
AUTUMN IN NEW YORK
監督:ジョアン・チェン
1999年 アメリカ
リチャード・ギア=モテモテ・リッチなオジさん(オジさま)。ウィノナ・ライダー=キュートな22歳、重い心臓病持ち。こんなお二人のラブ・ストーリーです。期待度ゼロという期待を見事に裏切らない映画です。


マルコヴィッチの穴
BEING JOHN MALKOVICH
監督:スパイク・ジョーンズ
1999年 アメリカ
ジョン・マルコヴィッチは知らなくとも、その狙った邦題にそそられて面白半分に観に行った客は、この映画をどう思うものだろうか。確かにシュールなお笑い多々あれど、こうもシリアスな人間ドラマが展開されようとは。ジョン・マルコヴィッチともうひとりの本人役の活躍に心から拍手を送りたい。
