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リアル・ブロンド

CINEMA

リアル・ブロンド

THE REAL BLONDE
監督:トム・ディチロ
1997年 アメリカ

ブラボー!! マジでブラボーですよ!! この映画が公開されたときはウディ・アレンの後継者とかいわれて気にしてはいたんだけど、今日になって観て、いやはや素晴らしかったです。ウディ・アレン狂な僕からしても、まんまウディ・アレンな映画でしたが、故意的にマネようという意図であったとしても(ニューヨークが舞台の恋愛群像劇で精神科医もちゃっかり出てくる)、この巧さと完成度では認めざるを得ないでしょう。トム・ディチロ、スゲーよ!と思っていたら、調べたところ『ジョニー・スウェード』(ブラピ主演の空からブーツが降ってくるニック・ケイヴもヘンな人で出てくる奇妙な映画)をデビュー作として撮ってた人でした。な〜るほどねぇ〜。

黒猫白猫

CINEMA

黒猫白猫

CHAT NOIR, CHAT BLANC
監督:エミール・クストリッツア
1999年 フランス・ドイツ・ユーゴスラビア

なにかとせわしない東欧の田舎町。老若男女、ヘンな人がたくさんでとにかく楽しい映画だった。その生のエネルギーと躍動感はなにゆえに?と思ってしまうけど、そんな疑問が頭に浮かんだ時点で僕らは負けているのだろう。生活とはそもそもこの映画のようにエネルギーに満ち溢れているものなのだ。正にも負にも振れ幅が少ない生活はつまらない。思いっきり笑ったあとで、そんなことをひとり思う。それにしてもじいちゃんサイコーだったな。

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

CINEMA

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

BUENA VISTA SOCIAL CLUB
監督:ヴィム・ヴェンダース
1999年 ドイツ・アメリカ・フランス・キューバ

今月のSWITCH北野武号に山本耀司のインタヴューが掲載されていて、北野武と「今時の若い奴より、俺達の方が未来があるよな」といった話をしたと書いてあるのが、ものすごくグサッときた。この映画に登場する伝説的なキューバの老演奏家たちが、とにかくカッコよくて感動的なのは、いまもなお生き生きと人生の歩みを続けているからだ。キューバという国家を背景に生きる姿・表情・言葉・エネルギー。素晴らしく気持ちよいキューバ音楽とともに、強い憧れを抱いてしまう。2000年の単館作品興収ナンバー1を記録。

ストレイト・ストーリー

CINEMA

ストレイト・ストーリー

THE STRAIGHT STORY
監督:デビッド・リンチ
1999年 アメリカ

1998年の夏に東京から実家のある宮崎まで青春18きっぷを使って3日かけて帰ったことがあるけど、それさえも異様に速いと思えるほど、この映画の旅はゆっくりとしたスピードで進んでいく。そもそも旅にスピードを求めるべきではないのだ。人生を旅と置き換えるなら、そのスピードはいかがなものか。僕は僕なりのスピードで目的地にむかって、この映画の主人公のように自力でたどりつきたい。リンチの前作『ロスト・ハイウェイ』から一転、『パリ、テキサス』のハリー・ディーン・スタントンが兄役で登場し、ゆっくり静かに言葉を交わし空を見上げるラストも秀逸な素敵に思える作品だ。

アメリカン・ビューティー

CINEMA

アメリカン・ビューティー

AMERICAN BEAUTY
監督:サム・メンデス
1999年 アメリカ

いつの時代であれ、人は他者とのコミュニケーションなしには生きている気がしないし、幸せになることはできない。その根本的な認識さえ麻痺してしまうほど、現代社会には時が過ぎていくたびに新たなモラルやルールや価値観が創り出され、他者とのコミュニケーションを成立させるにはあまりに複雑化してしまっている。時が流れるスピードはどうすることもできないが、それでも自分の人生をなんとかしていきたいというポジティブな気持ちに、この映画は思わせてくれる。

デッド オア アライブ 2 逃亡者

CINEMA

デッド オア アライブ 2 逃亡者

監督:三池崇史
2000年 日本

力と翔。前作が敵対する関係だった分、ふたりの本当の共演シーンは世紀の決闘ラストシーンのみで終わってしまったが、今回は三池版「コインロッカー・ベイビーズ」ともいえる完全なるバディ・ムービーとしてVシネ界の最強タッグが存分に楽しめる。予定調和のレベルを軽く超えた豪快で強引なもっていきかたは、今作でも随所に散りばめられ、(SHOW&笑&衝)=ショウ撃度も凄まじい。力のハジけっぷりといい、翔のヌケ具合といい、ふたりとものびのびしてて、ヤクザ映画とのギャップがとても気持ちいい。ラースの『キングダム』とともに続編が待ち遠しく思えるほど、トリコになる作品だ。

ダンサー・イン・ザ・ダーク

CINEMA

ダンサー・イン・ザ・ダーク

DANCER IN THE DARK
監督:ラース・フォン・トリアー
2000年 デンマーク

最初のミュージカル・シーンが始まったときのゾクゾクっと瞬時に覚醒するほどのカタルシス。両目から涙をたれ流しながら傍観することしかできないラスト〜最後から2番目の歌。ストーリー自体は、いたってシンプルなものだが、喜怒哀楽という四字熟語以上の感情の大きな振れ幅は、ビョーク=セルマの歌と音楽による効果があまりに大きい。一世一代の役をビョークはフィルムに刻んでいたし、ビョークとともに迫真の演技で対抗したカトリーヌ・ドヌーブも本当に素晴らしかった。セルマの母親像はあまりに極端なものではあったが、だからこそ真実の感動があったのだろう。ラースは映像作家として、また究極のものを作り上げてしまった。目を赤くして放心状態で劇場をあとにすることは避けられない。

死亡遊戯

CINEMA

死亡遊戯

GAME OF DEATH
監督:ロバート・クローズ
1979年 アメリカ

世界的な知名度から言っても東洋一のスーパースターとしては無敵であり伝説でもあるブルース・リー。映画がどうこうという以前にブルース・リーという圧倒的な存在があれば、もはやそのすべてが肯定される。ほんとでもすごいです。全世界のド肝を抜いたカンフー・アクションは当然として、その他の動作、顔、表情、髪型、ファッション、ヌンチャク・・・、彼のそのキャラクターを構成するすべてが完璧なのだ。今作での有名すぎる黄色い全身タイツは、元々悪者の部下のコスチュームなのだが、それを着て敵のアジトに乗り込んで最後の決闘をするブルース・リーを見てると、あまりに見事でタイツ姿が神々しい。これを観た誰もが、一度試着ぐらいならしてみたいと思っているはず。残念ながらブルース・リーはこの映画の完成をみることなく他界したため、一部吹き替えによって完成したいわく付きの作品。さらにこの運命は、まさに今作の劇中のシーンのように(映画アクション・スター役のブルース・リーは撮影シーンで敵によって空砲から実弾にすりかえられたピストルで撃たれてしまうという場面がある)、息子ブランドンにも引き継がれてしまう。

HELPLESS

CINEMA

HELPLESS

監督:青山真治
1996年 日本

うーん、なんなんだろうなぁ、というのが正直な僕の印象。退廃、退屈、やるせなさ。病んだ世の中への突発的な怒りと暴力。主演の浅野忠信がNIRVANA『NEVERMIND』のTシャツを着ている、そんな映画。

スペース・カウボーイ

CINEMA

スペース・カウボーイ

SPACE COWBOYS
監督:クリント・イーストウッド
2000年 アメリカ

NASAがない時代にアメリカ空軍パイロットとして「ライト・スタッフ」のごとく大活躍していた4人の年老いた男たちが、宇宙への夢を現代に実現させるお話。『スタンド・バイ・ミー』のように微笑ましいチーム・プレイが、イーストウッドの年齢であってもそれはとてもステキに思えた。宇宙への憧れ、男はロマン。自分も高校時代に「空を見る会」の会員だったのを思い出してしまった。「オレは昔、空を見ながら育ったのさ・・・」というセリフを将来発することを真に許される、これが会発足の理由である。友達同士、会員数わずか3、4名。ごくまれに「昨日の夕焼けサイコーだったよな?」などといった空の話題で楽しいおしゃべり。虹が出た日は大騒ぎしたものだ。