

殺し屋1
監督:三池崇史
2001年 日本
正月早々、イヤーなもの見ちゃったなぁ。派手なスプラッターはそれはそれでめでたいように思いたいけど、ここまで生々しく痛々しいのは辛くて気持ち悪かった。殴る・蹴る・撃つの暴力より、切る・刺す・ちぎるのオンパレード。ひえー、もうやめてー! とにかく悪趣味なショッキング映像をここまで見せられては拒絶反応を示さざるを得ない。そこが三池崇史の狙いだったのか。映画の暴力シーンに麻痺している現代人に本気で目をそむけさせるほどリアルな感情としての痛みを感じさせることへの挑戦。それかただ単に登場人物の死亡率、出血量を日本映画史上最高にしたかっただけなのか。ピーター・ジャクソンの『ブレイン・デッド』はOKだけど、これは苦手です。もう二度と観たくないと思った。


カラテ大戦争
監督:南部英夫
1978年 日本
ザッツ昭和エンターテインメント! これは凄い。かなりきてます。梶原一騎と大山倍達の原作の映画化作品なのだが、これを観るとどうして香港のカンフー映画のように日本にカラテ映画が根付かなかったのか不思議だ。ブルース・リーやジャッキー・チェンのようなスターが生まれなかったのが原因か。確かに主演の真樹日佐夫(梶原一騎の実弟)は石原裕次郎チックでちょっとおっちゃんだけど、えいやー!エイヤー!と敵を蹴り飛ばすサマは爽快。いまだからこそあまりに斬新に見えすぎるのかも知れないけど、これはサイコーです。極限流カラテ(いわゆる極真カラテ)の師匠役には大滝秀治が! 存在感ありますな。


BAVARIAN FRUIT BREAD / HOPE SANDOVAL & THE WARM INVENTIONS
今年もクリスマス・イブを迎えてしまいました。ひとりお部屋で暗い音楽祭をということで、基本姿勢の体育座りで早速ホープ・サンドヴァルのアルバムを聴いてみましょう。どよーんとしたアコースティック・ドリーミーな世界と甘美なホープの歌声は基本的にマジー・スターと同じ。あー、沈む。どんどん沈んでいくよぉーと思ったら、白昼夢の果てにすっかり昇天してしまいました。これは例えようのない美しさです。2001年を幕引きするにふさわしい、代表的な一枚。


THE ORBIT OF ETERNAL GRACE / GRASSHOPPER AND THE GOLDEN CRICKETS
先日のマーキュリー・レヴのライブでグラスホッパーコールが2回も起こった。おそらく同一人物から発せられたものと思われるが、もっとグラスホッパーが認知されてもいいんじゃないかと僕自信も思うわけで、彼のソロ作を紹介。名義はなんかバンドっぽいけど、実質ソロと言って差し支えないでしょう。ほとんどの曲ひとりで書いてるし、ヴォーカルも彼だし、楽器もサックスとかいろいろやってるし、まさにグラスホッパーづくし。音のほうはマーキュリー・レヴと比べたら地味というかインディー色が濃いけれど、不思議な温もりが充満してて、ちょっぴりスペイシーなところもあって、ゆる〜くって、好きな人にはたまらないと思いますよ。僕はLPで持っているのですが、最後は自分で回転を止めるまでループが延々と続くという仕掛けもあり。ジョナサン・ドナヒューはミックスで、デイブ・フリッドマンも同じく一部裏方で参加しております。


MERCURY REV 2001.12.18. 新宿リキッドルーム
ジョナサン、今回も華麗に舞ってました。一歩間違えればエスパー伊東になっちゃいそうなアヤしい舞いっぷりですが、そんなことより素晴らしい音楽に感謝感謝。グラスホッパー、今回もいいギターをたっぷり聴かせてくれました。サウンドにおけるバンドの核はやはり彼のギターでしょう。泣きのギターソロも立派にこなしつつ、ビール瓶使ってスライドノイズとまさに職人。口元に海苔がついてるようなヒゲ生やしてますが、そんなことより素晴らしい音楽に感謝感謝。サマーソニックではスケールにただただ圧倒されてしまったわけでしたが、今回は間近でじっくりマーキュリー・レヴ・サウンドの全身浴に浸りまくり。気持ち良くておもしろかった! 昨年はヨ・ラ・テンゴ、一昨年はフレーミング・リップスと年末は素敵なライブが観れて、最高! 2002年も期待してますよ。
1.THE FUNNY BIRD 2.CHAINS 3.TIDES OF THE MOON 4.TONITE IT SHOWS 5.CAR WASH HAIR 6.DELTA SUN BOTTLENECK STOMP 7.HOLES 8.FRITTERING 9.LINCOLN'S EYES 10.PLANET 11.NITE AND FOG 12.LITTLE RHYMES 13.YOU'RE MY QUEEN 14.GODDESS ON A HIWAY 15.SPIDERS AND FLIES 16.OPUS 40
encore
17.CHASING A BEE 18.SAW 19.HERCULES 20.THE DARK IS RISING


MY NAME IS BLUE / 小島麻由美
いつだったかタワーレコード新宿店でのインストアライブにギリギリ歌が終わったところで会場に到着という、非常に惜しすぎるビターな思い出が残っている。一体なにが歌われ披露されたのか、全ては闇の中。クヤしい! きっとこの新作からの曲も彼女は歌ったのだろう。「甘い恋」の悩殺フレーズ「♪甘い恋 vs 生活 甘い恋 vs 生活・・・」に瞬間ノックアウト。この歌いっぷりこそ、彼女の真骨頂。またまたトリコになりました。


POLARIS / POLARIS
フィッシュマンズのベーシストだった柏原譲が男達の本当の別れから、ついに本格始動ということで注目も大きいポラリス。オオヤユウスケをフロントに据え、ドラムの坂田学とともに三人体制で発射したポラリスの第一弾は期待を遥かに上回る胸を打たれる内容になっている。そしてこの気持ち良さよ。録音とMIXはZAKが担当。「光と影」はいきなりの大名曲となった。


クラムボン 2001.12.08. 渋谷AX
あっぱれ感動ドラマチック! もう本当に素晴らしいライブでした。ギターレスでも実力十分。公言通り全てをぶちまけ、その全てを受け取った。メンバーも観客も胸いっぱい大満足といった最後の表情も良かったです。ドラマチックとロマンチック。いい言葉だなぁと思った。人生、ドラマチックにロマンチックにはりきって楽しみましょ。
1.残暑 2.ロマンチック 3.まちわび まちさび 4.シカゴ 5.ジョージ 6.ドギー&マギー 7.はなればなれ 8.レインボウ 9.雲ゆき 10.君は僕のもの 11.恋わずらい 12.モノクローム 13.便箋歌 14.ララバイ・サラバイ 15.心象21 16.サラウンド
encore
17.華香るある日 18.090


気狂いピエロ
PIERRO LE FOU
監督:ジャン・リュック・ゴダール
1965年 フランス
作品を重ねるごとに映画表現の解体が進むゴダール。近年の作品は編集と音のコラージュ的なるもので観てもさっぱり分からず、ストーリーを追うことを放棄しがちだが、いわゆるそうした彼の映画へのアナーキズムの原点といえるのが、この作品といえるのではないか。若々しい名優ジャン・ポール・ベルモンドとアンナ・カリーナ、元恋人との逃避行、鮮やかなトリコロール・カラー、気狂いピエロの詩、映画監督サミュエル・フラー、殺し、裏切り、愛と破滅。当時のゴダールの全てが刻まれた、彼の作品の中でも、これは必見の名画です。


融 / 空気公団
ふと彼らの公式サイトを見ると、ピアノの小山いずみがバンドを脱退したというアナウンスがされていた。ピアノ、良かったのになぁ、めちゃめちゃ・・・。余計に音楽がしんみりと聞こえてきてしまいますが、このアルバムは本当に素敵なお歌がいっぱい詰まってて、大好きです。先日来日したベル&セバスチャンにも通じる一点の曇りもない姿勢がこの空気公団からも感じられて、聴いてると心が洗われるようなセンチメンタルであたたかくて優しい気持ちになれるのです。
