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AND ALL THAT COULD HAVE BEEN / NINE INCH NAILS

ALBUM

AND ALL THAT COULD HAVE BEEN / NINE INCH NAILS

厳寒の1月、ニンの初来日をNKホールまで観に行ったものだけど、あれから2年も経ったんだなぁと思わせる2000年USツアーを収録したライブアルバム。この人の場合、音もヴォーカルも達者すぎるお方なので、ライブといっても原曲とそんなに変わることはないのだが、幾分生バンドの要素が加味されて、肉体的なダイナミズムが味わえる。少なくとも、あのライブを観た人は余計に盛り上がってしまうのではないだろうか。ステージをのたうちまわる豚、トレント・レズナーの姿は強烈な印象を残すものだった。RADIOHEADを存在で打ち負かすことができるのは、年を取ってきてるとはいえ、この男しかいないと思うのだが。「癒し」という生ぬるい言葉が蔓延する世の中を一蹴する本当に傷ついている人が求める音楽がここに凝縮。律義に全キャリアを網羅したベストな選曲にしてしまうトレントが好きだ。

HORSES / PATTI SMITH

ALBUM

HORSES / PATTI SMITH

そろそろ馬も打ち止めか。パティ・スミスの代表的ファーストアルバム。白シャツにサスペンダー姿の有名すぎるロバート・メイプルソープによるジャケット写真だけでも、十分すぎる価値があるわけだが、冒頭で際立つTHEM(ヴァン・モリソン)のカバー曲「GLORIA」(去年のフジロックのパフォーマンスも素晴らしかった!)といい、トム・ヴァーレイン(テレビジョン)の参加やプロデューサーのジョン・ケイルといった人脈など、1975年当時のニュー・ヨークの伝説が生まれるべくして生まれたような、宿命的なパワーが宿っている。

BRINGING DOWN THE HORSE / THE WALLFLOWERS

ALBUM

BRINGING DOWN THE HORSE / THE WALLFLOWERS

さらに馬で引っ張ってみました。ボブ・ディランの息子、ジェイコブ・ディランのバンドのセカンドにして大成功をおさめた作品。さすがに顔が似てるけど、その声質や音楽性から父親よりブルース・スプリングスティーンを彷彿とさせる、どこか懐かしい趣のある良質なアメリカンロック。代表曲「ONE HEADLIGHT」は自作の編集CD-Rに入れたくなるような名曲だと思います。

アメリ

CINEMA

アメリ

LE FABULEUX DESTIN D’AMELIE POULAIN
監督:ジャン・ピエール・ジュネ
2001年 フランス

観ようと思った頃には既に若者のファッションになってしまっていて、なかなか観れずにいたこの映画。結局4度目の挑戦で渋谷シネマライズと決別し、新宿の映画館にて、ついにそのシートをゲットすることができた。映画はまさに素敵な現代ファンタジー。主人公のアメリが誰もが振りかえるような美女ではないにせよフランス的キュートなルックスで、自分の恋を実らせようとあれこれ直線的に行けない、もどかしいほど遠回りして作戦立てたり妄想でウキウキしたり涙を流したりする姿は最高にいとおしい! おじいさんが応援するのもわかるし、同じく不器用なニノもアメリを追いかける彼の気持ちに共感。同じ匂いを持ったふたりがお互い惹かれ結ばれる、このことが何より素晴らしいと思ったし、前向きにさせてくれる。話的に過去のジュネ監督作と比べると毒が薄くなりがちだけど、常連ドミニク・ピノンその他脇役たちのサイドストーリーがしっかりオチまであったり充実してたのが彼らしいし、ニノ役のマチュー・カソヴィッツが自分の撮る映画は陰鬱なのに、こんなに好青年を演じているところがまたニクイ。年は越してしまったけど、観れて良かったと思えたのが良かった。

SPIRITUALIZED 2002.01.08. 渋谷AX

LIVE

SPIRITUALIZED 2002.01.08. 渋谷AX

ケビン・シールズがプライマル・スクリームで余生を送っている現在において、このスピリチュアライズドのライブ体験というのは、それこそマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン以上の意味があると思うのだが、初来日のリキッドが嘘のように会場はガラガラ・・・。東京の恥ですよ、これは。なんだか悲しい気分で開演を待ちながら、あのジャケットのお面がプリントされたTシャツは何枚売れたんだろう?などと考えたりしてしまったものだけど、いざ始まればこれほど贅沢なものはなかったわけで、ほんと観なかった人は後悔してください。ラッパのファンファーレに導かれていった2時間半の世界は体験した人にしかわからないでしょう。前回以上にフリーキーに冴え渡る轟音ノイズと目潰し光線が凄い! うるさすぎて轟音モードに入るとジェイソンの声はほとんど聞こえないんだけど、実に計算された演奏で素晴らしいのなんの。グガー!!って状態から急転直下で「SHINE A LIGHT」のイントロに入ったときは、まさに至福昇天ですよ。相変わらずボケーっと突っ立って、手だけはいそがしく動いてるジェイソンだったけど、彼のヴォーカルは頼りなくも心に響くものがあって大好きだ。大仰極まりない音楽かもしれないが、彼らのレベルで発せられては、どうにも気持ち良くて最高としか言いようがない。次回の来日公演があるのか、それが気がかりだ。

SET LIST
1.COP SHOOT COP 2.ELECTRICITY 3.SHINE A LIGHT 4.ELECTRIC MAINLINE 5.OUT OF SIGHT 6.ON FIRE 7.DO IT ALL OVER AGAIN 8.NO GOD ONLY RELIGION 9.THE STRAIGHT AND THE NALLOW 10.TAKE YOUR TIME 11.I THINK I'M IN LOVE 12.WON'T GET TO HEAVEN (THE STATE I'M IN) 13.DON'T JUST DO SOMETHING
encore 1
14.TAKE ME TO THE OTHER SIDE 15.COME TOGETHER
encore 2
16.LORD CAN YOU HEAR ME
ECSTASY / LOU REED

ALBUM

ECSTASY / LOU REED

正真正銘馬年だったのがルー・リード。1942年3月2日生まれ(同じ魚座だったのね)ということで、今年でなんと60歳の還暦を迎えます。ルー・リード60歳、カッコ良すぎるではないか! 彼の一枚なら自信を持って2000年発表の最新作を紹介。これは本気で素晴らしい大傑作でございますよ。これ聴かずしてヴェルヴェッツを語るなかれ。ルーのおじさんがジャケットスリーブでまんまエクスタシーな表情を浮かべておりますが、これほど官能的で攻撃的でロマンティックなものを耳にすると、ステレオの前で土下座するしかないでしょう。最終曲の「BIG SKY」では泣きの8ビートロックという、このダメ押しが嬉しすぎてたまらんです。しっかり聴いて、男の生きる道を修行したいと思います。 

LIVE RUST / NEIL YOUNG & CRAZY HORSE

ALBUM

LIVE RUST / NEIL YOUNG & CRAZY HORSE

馬年といえばやはりこの人、御大ニール・ヤングが頭に浮かぶ人も多いかもしれません。『イヤー・オブ・ザ・ホース』って映画で「馬年」と漢字でどどーんというオープニングだったし。でも調べてみると彼は1945年(11月12日)の生まれなので、今年で57歳。実は馬年ではなく、酉(トリ)年だったのだ! なんとまあ・・・ということですが、気を取りなおして馬がらみでクレイジー・ホースとのライブ盤を紹介しましょう。1991年発表の2枚組『WELD』も好きですが、1枚モノではこれがベストといえるライブ盤ではないでしょうか。1979年発表で、同年に発表された傑作『RUST NEVER SLEEPS』同様に前半アコースティック、後半はエレクトリックにクレイジー・ホースとの圧巻な演奏と代表曲もふんだんに盛り込まれ全16曲と申し分ない内容です。昨年のフジロックを見逃した後悔というものが日に日に大きくなっていってるような。馬年の今年こそ再び来日を!

GOOD MORNING SPIDER / SPARKLEHORSE

ALBUM

GOOD MORNING SPIDER / SPARKLEHORSE

今年は午(馬)年ですね。馬にあやかって、このバンドもグワーっと盛り上がるなんてことはないのでしょうか? あまり盛り上がりには期待できないですが、小品として扱われるには勿体無いようにも思えます。せめてひっそり来日ぐらいして欲しいものです。馬年だし。これは1998年のセカンドですが、ヒネり具合や歪み具合が絶妙なバランスで調合されたロックでありポップでもあるとても洗練されたマイルドな一品です。

トラフィック

CINEMA

トラフィック

TRAFFIC
監督:スティーブン・ソダーバーグ
2000年 アメリカ

麻薬戦争をドキュメントタッチで様々な地点で起こりうる経過を巧みにシンクロさせながら描いた、ソダーバーグらしい一本。本当にこの監督は巧いなぁと思う。個人的には『アウト・オブ・サイト』がいちばん好きだけど、この作品も全然飽きないです。深夜に見てても眠くならなかったし。それにしても麻薬対策を指揮する最高責任者の娘がヤク中って、すごい皮肉だよな。カタギにしても悪にしても、でかい役職の仕事なんてやるもんじゃないね。僕は目立たない自由で幸せな生活を望みたいです。

9 9/9 ’99野音 / TOKYO No.1 SOUL SET

ALBUM

9 9/9 ’99野音 / TOKYO No.1 SOUL SET

昨年末に行なわれた渡辺俊美監修によるコンピレーション盤の発売記念イベントで特別にソウルセットとして一時的な復活ステージを披露したらしい。うーむ、やっぱり行けば良かったなぁ。99年以来、活動を休止したままであったので、こういうニュースを聞くと、素直に喜ばしく思える。今年新たなアクションを起こすのかどうかわからないが、なんとなく再び彼らが音楽表現に向かっているようで、ロマンティック伝説に次章が加えられることを静かに期待して待ちたい。