LIVE / LUNA
ひっそりとリリースされたLUNAのライブアルバム。いうまでもなく、好盤である。いうまでもなく、来日したら観に行くだろう。いうまでもなく、ハゲふたりを含む中年おっさんバンドに惜しみない声援を送り、そこにはいつもは忘れていることを思い出させるような音楽が鳴っていることだろう。いうまでもなく、ね。
FREE ALL ANGELS / ASH
デビュー時から見てきてるバンドではあれど、懐かしさとか衰えとかを感じさせない勢いがある。今作も広く支持されていることが素直に嬉しい。ところで、(日本盤は未確認なのだが)僕が買ったUK盤CDはそのままCD-ROMになっていて「ASH VIDEO MIXER」というソフトが入っているのだけど、これが楽しい。いろんなビデオ素材を好きにつなげて、自分だけのクリップが作れるというスグレモノ! いろいろ試してみる価値オオアリですよ。
サングローズ / Cocco
「去って行くひとはいつも あぁ こんなにも美しい」なんて詞がフッと頭に浮かんでしまうような、Coccoの去り際に放たれたこの作品は胸のすく思いのする立派なものだった。不思議と寂しい思いもしなかった。事実として引退することで、遠く離れていくことより、このアルバムでより身近になった思いがしたからかもしれない。
MAY AND DECEMBER / GREAT3
「ウィー・アー・グレイト3、フロム・シカゴ」とベースの高桑圭がこの前のシー・アンド・ケイクとのライブのときにMCで言っていたけど、まさにそのソフト・ロックな佇まいへとシフトした新作。いままでとはがラッと空気を変えて、弾けはせずとも、達者に組み立てられたサウンドの妙。地味に売れる早すぎたバンドの宿命は拭えないかもしれないが、このバンドのファンであることを誇りに思える充実の復活作。
KNOW YOUR ENEMY / MANIC STREET PREACHERS
前作『THIS IS MY TRUTH, TELL ME YOURS』の成功に対する反動、初期に戻ったマニックスとして、この通算6枚目の新作を全面的に歓迎することは残念ながらできなかった。前作は三人マニックスのあり方を一身に受け入れたという意味において、とても感動的な作品だった。過去との決別をついに果たせたはずなのだ。それを成功による反動としてなのか、再びパンクス宣言してしまった。新たな気持ちで作品に取り組む心意気は立派だが、過去を取り戻そうとしたのは、やはり失敗だったのではないだろうか。寄る年波と肉付きによって、エッジも丸くなっていることは否めないし、何よりオーバープロデュースすぎるところが不満だ。その本心を証明するにはもっとソリッドで剥き出しのライブ演奏のような気迫と性急な焦燥感を表現すべきだったのだ。たとえ一本調子でも、生身の三人でやり遂げるべきだったのだ。デビッド・ホルムズもケビン・シールズも必要なかったのだ。いまだに大好きなバンドだし、三人のマニックスとしての誇りはキューバでのライブなどから十分に伝わった。それは本当に素晴らしいことだと思う。あとは中身をどう追いつかせるかだろう。
DISCOVERY / DAFT PUNK
彼らが生前に残した(だって今のダフト・パンクって一回死んでサイボーグとして復活した姿なんでしょ?)シングルは本当にSTARDUST名義の「MUSIC SOUNDS BETTER WITH YOU」も含めて、よく聴いたものだ。今回のアルバムはなんともまあ、とにかくキャッチーでスカスカの80年代エレポップということで、笑える。おもしろい。ちょっぴり哀しくて切なくて、チャーミング。でも、本気で真剣にこの音楽を鳴らしている。そこがいい。正直言って、今作のダフト・パンクよりもいい音楽はたくさん存在すると思う。しかし、地球規模の巨大な単位で共有することのできる感動が味わえるのは、今年はこの一枚しかないのではないか。いつの日かこのアルバムをリアルタイムで聴いていたことを思い出して、センチメンタルな気持ちになるときがやって来るだろう。
ビタミン / 電気グルーヴ
自らを祝福する石野卓球のステキなファンファーレで幕開ける1993年発表の大傑作アルバム。昨今の電気の扱われ方は、なんとも大マジメすぎて、悪くはないんだけど、なんというかこの状況はビースティ・ボーイズに非常に似てるなぁと思うのであります。深い考察はヒトにまかして、おいしい『ビタミン』は聴きカジルに限ります。「ハイキング」大好き! おめでとう自分。
GOLDEN GREATS / IAN BROWN
サマーソニック2001でのオリジナルメンバーによるストーン・ローゼズ再結成ライブの企画案が進行中らしい。96年のローゼズ消滅以降、イアンのソロ作品は立派だった。特にこの2作目は素晴らしい。イアンの存在感はソロでも十分なものであることが、嬉しいほど実感できた作品だった。そんな充実したソロ作品を発表してきたイアンに今こそ僕はやって欲しい。もう一度だけ夢を見させてくれないか!
TEAM ROCK / くるり
真っ青なジャケットが示すように、悟っているかのようでいて、くるりの音楽はアオい。勇み足のように思えなくもない打ち込みへのアプローチではあれど、生粋のオタクセンスでうまくカバー・・・・・・できているかどうかも微妙だが、僕がくるりを好きなのは彼らのそのオタク感覚であって、音楽にしろ歌詞にしろ微妙であればあるほどそれはくるりらしくていいのだ。屈指の名曲となった「ばらの花」で、なぜジンジャーエールなんて語感の悪いモノを3度も出すほどこだわらなければいけないのか。そういったツッコミを許してしまうところがくるりの魅力であり弱点であるように思う。弱点より魅力の勝る、いまのTEAM ROCK=くるりは強い。
深緑 / AJICO
これは素晴らしい。抑えたテンションが熱を誘い、妖艶かつ官能的なはかなくも美しい調べに魅せられる。3つの楽器とふたりのヴォーカルが奇跡的に融合した、いまでしかないタイミング、いまでしかないAJICOの季節を大事にしたい。