

SAMBA ’68 / MARCOS VALLE
ブラジルを代表する作曲家、マルコス・ヴァーリ。ボサ・ノヴァにはあまり詳しくないのですが、名前だけ知っていた彼のアルバムを手に持って、とりあえず名曲揃いらしいというレコード屋の説明だけを頼りに買って帰りました。なんだかおしゃれなカフェにでもいる気分というか、普段カフェとは無縁の生活を送っているだけに、カフェの気分なんて忘れがちですが、そこらへんのカフェなんかよりウチで聴いてのんびりするほうが全然マシなように思えたりして。明るい音楽が聴きたくなることってないですか? そんなきっかけでワールドミュージックのコーナーにフラっと立ち寄ってみました。


STOMPIN’ ON DOWN BEAT ALLEY / 東京スカパラダイスオーケストラ
うん、いい!と唸ってしまうような、純粋なスカのリズムで気分をほぐして明るく楽しい爽快さに満ちている。ゲストヴォーカルを迎えた3つのシングル曲がさらに情熱を煽る秀逸なポップソングであることもかなり効いていて、いい意味で大衆性を持った音楽的にも優れた作品に仕上がっている。「美しく燃える森」の奥田民生は本当に絶品だ。CCCDであるということを除けば、非常に素晴らしい作品だと自信を持って僕もオススメしたいだけに、そこがとても残念だ。


MURRAY STREET / SONIC YOUTH
ソニックユースの新作を買って、最初に聴いたのが夜中の寝る前だったのですが、電気も消してたせいかそのまますっかり熟睡してました。ソニックユースで眠りに落ちるなんて自分でもオドロキなんですが、今作から正式メンバーになっちゃってるジム・オルークの加入はソニックユースにも変化をもたらしていると思う。抑えたリズムとヴォリュームで展開するサウンドが、あくまでオーソドックスなバンドスタイルを貫いていながら、感触としてはポストロック。さらに歌モノとしても渋みを感じさせる今作は退屈どころか非常に好感を持って気に入っておりますよ。


HERE’S WHERE THE STRINGS COME IN / SUPERCHUNK
最近、スーパーチャンクの作品が揃って日本盤再発したみたいですが、いまみたいなゴールデンウィークも終わって疲れがたまっているときにこそ、本作収録の彼らの代表曲「HYPER ENOUGH」でも聴いてスカっとしましょうよ。レーベルの主であるだけに多忙なのかもしれないけど、昨年見逃してるだけに今年も来日してくれないかと切に願うばかり。再発はそういうサインじゃないのか?


TELEPATHIC SURGERY / THE FLAMING LIPS
7月に発売される新作が待ち遠しいリップスですが、だからといって過去を振り返るのは、1999年のベストと評された前作『THE SOFT BULLETIN』で大いにファンになった人たちにはあまりオススメできないということで、このアルバム。1989年発表だって。下手っぴなロウファイ・インディギターバンドの典型ともいえる作品なので、初期のペイヴメントにも通じる荒さと緩さに加え、若さゆえの元気もあるけれど、現在のリップスとリンクするのは裏面ジャケットの目玉と鮮血ぐらいかな。10年の成長を確認するにはいいかも。


WORDS OF WISDOM AND HOPE / TEENAGE FANCLUB & JAD FAIR
いやはや、これぞプロの共演と呼ぶにふさわしい名盤ではないでしょうか。業界きっての天然素材ジャド・フェアのゆるゆる加減を意外なことにバックのティーンエイジが曲として引き締まったものに仕上げていて、非常に聴きやすいです。緊張感のないルー・リード的なジャド・フェアの語り調ボーカルであれど、バッチリとロックな風格が漂ってきます。ステキ!


RE-CLAMMBON / クラムボン
いままでの名曲をメンバー自らとゲストを加えてアレンジを施し再録しなおしたものを集めたもの。昨年末のライブでも突き抜けた存在感を示したクラムボンが、そのライブで身につけた勢いをリアレンジというスタイルで形に残したのは、とても素晴らしいアイデアだったように思う。どの曲も良くなってるし、バンドとしてここまで空気の通りが清々しいのはスカパラとクラムボンだけかも。


ROMANTICA / LUNA
つるつる頭の男性に変わって新任のベーシストに金髪の女性を起用するというマイナーチェンジが行なわれたわけですが、さらに今作はミックスをデイブ・フリッドマンがやってるけど、素晴らしかった前作『THE DAYS OF OUR NIGHTS』以上に音の方も抜けが良くなっちゃって、これはもう大満足ですよ。いつでも優しいディーンの歌声と美しく印象的なギターの音色が絶品。本当に心の底から喜べる幸福感に満ちあふれたアルバムです。生で観たら泣くだろうな。


CABIN IN THE WOODS / RETSIN
6月にアイダのダニエル・リトルトンとの来日ジョイントツアーが予定されているタラ・ジェーン・オニール。彼女が在籍するシンシア・ネルソンとのユニットがこのレトシンであって、これが実に良い。静かに響く歌とアコースティックの豊かな調べがなんとも心地よい風のよう。歌は枯れても、心は枯れず。長い経験の蓄積によって表現しえる世界観が果てしなく広がっている音楽の深みに感動。


THIS IS WHERE I BELONG : THE SONGS OF RAY DAVIES & THE KINKS
お待たせしました!のキンクストリビュート。レイ・デイヴィス本人によるライナーの日付が2001年7月13日になってるから、それから今までどういうわけかリリースが遅れてたみたいだけど、無事に出て良かったです。そのまま夏のフェスティバル来て欲しいほどメンツもかなり立派ですが、各々の個性と原曲のメロディラインを大事にしたとても好感の持てる内容で、僕もお気に入りです。ゆるゆるのジョナサン・リッチマン然り、ローテンポのラムチョップ然り、ドリーミーなヨ・ラ・テンゴ然り、今回のタイトル曲をスパっと歌い上げたロン・セクスミス然り・・・。ギターがややおとなしいのはレイ・デイヴィスの個人名があてがわれてるため? トリビュートといっても今までカーペンターズのやつぐらいしか気に入ったモノがなかったけど(あと『BRIDGE』というニール・ヤングトリビュートはずっと欲しいと思っているのだけど、いまだめぐり逢わないままなんだよな)、これも中々のモノですよ。キンクスファンがこれで増えるといいなぁ。ザ・フーやポール・マッカートニーより、僕はいまキンクスが観たいー!!
