

E / 奥田民生
真剣に聴かなくてはいけないような小難しいものではなくて、いちいち考えることはやめて真剣に楽しんでいればフッと理解できたり発見できたりする妙な可笑しさが詰まったアルバム。いつになくシングルてんこもりだし、かなりもの足りる内容なのではないだろうか。全19曲と一見散漫なように見えても、既発曲に限らず実は名曲が揃っていると思う。「E」、「家に帰れば」、「ドースル?」は大マジに素晴らしいです。脱魂と入魂の天才的なペース配分にやはり脱帽であります。


DUBNOBASSWITHMYHEADMAN / UNDERWORLD
先ほど新作がリリースされましたが、軽く試聴した限りだと普通にいいのかも。ラジオでかかりまくっている新曲はあまりいいとは思えなかったけどね。ファンの多くは「REZ」や「BORN SLIPPY NUXX」のようなアッパーに盛りあがれるものを求めているのだろうから、あれはあれでいいのだろう。まあしかし、アンダーワールドのこの三人体制ファーストアルバムは本当に素晴らしかった。その後のアルバムと比べても聴いてる量が圧倒的に違うほど好きだ。中でも「DIRTY EPIC」はメロディアスなボーカルが絡んで本当にセクシーでカッコ良くて、その流れで「COWGIRL」に突入するハイライトはいま聴いてもシビれます!


THREE / ARCHER PREWITT
これは素晴らしい。聴くものを納得させるだけの音楽と歌が詰まった、渋かれど明快なる本当に素敵なアルバムだと思う。正直言って、シー・アンド・ケークでリード・ヴォーカルを取るサム・プレコップより、アーチャーの歌声が好きだったりするわけで、それが堪能できるだけで嬉しい。言うまでもなく、ギターも絶品でございますよ!


EVIL HEAT / PRIMAL SCREAM
スクリーマデリカから、かれこれ10年以上経ってるわけですが、老いてますます上がりっぱなしのせいか一向に老けないのがすごい。決して早過ぎず、またオシャレ過ぎないフューチャー・サウンドをリスナーに提示してきた絶妙なポジショニングは今作でも健在。ケビン・シールズがいようが、ジム・リードが歌ってようが、トゥー・ローン・スウォーズメンと仕事しようが、そんなのホントは関係ないんじゃないかと思えてしまうプライマル・スクリームという存在って、つくづくロックだよなぁ。昔のLPを彷彿とさせるストゥージズみたいなジャケットのコロンビアのロゴがニクい。


DAYBREAKER / BETH ORTON
ベン・ワットが絡んでいるせいか、トレイシー・ソーンを引き合いに出されがちな彼女ですが、なんとなくスザンヌ・ヴェガに近いようなものを感じる。アコースティックを基礎としながら、多才なゲストたちを交えてのコラボーレートを堂々としてしまう彼女の魅力が、この新作からもうかがえる。ぱっと聴き普通過ぎるようにも思えるけど、聴き進むうちに和んでしまいます。巧みな楽曲プロデュースが適度な具合に冴えてますね。


RICKETS & SCURVY / DAVID GRUBBS
長年、音の鍛錬を続けてきた人だからこそ、今回の歌モノ作品は説得力があって何より聴きやすいから好きだ。音数少なくベースレスで35分という潔さ。うまいことやるなぁ。ジョン・マッケンタイアのドラムに加え、マトモスとのコラボレートも興味深いが、シンプルなうたに素直に聞き入ってしまうデビッド・グラブスの歌声も魅力的だ。深夜に聴くのが好きです。


CONTROL / PEDRO THE LION
はじめてアンプから音を出したときのときめきが宿っているような、特別いろんなことをしなくてもギターという楽器がこれほど豊潤な音色を響かせてくれることを気付かせてくれる生身のエレクトリックギターサウンドがむちゃくちゃかっこいい。ドラムの音もやたらでかいけど、これも異様に気持ちがいい。ガレージフォークというか、突き抜けたこのロックサウンドは僕のツボをおおいに刺激してくれたみたいです。歌うたいとして、この音で表現してみせたペドロ・ザ・ライオン=デビッド・バルザンのサードアルバム。以前はアコースティックだったそうですが、そちらも聴いてみたく思います。ライブが観たい!


BY THE WAY / RED HOT CHILI PEPPERS
アメリカで最もシリアスなロックバンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ。メンバーの老けきった写真はマジなのかギャグなのか多分に気を抜かせてくれるのが嬉しい。相変わらず滑舌のいいアンソニーのボーカルと一音一音が物言いたげなジョン・フルシャンテのギターがとにかく素晴らしい。ファンクなノリは影をひそめたが、強力な存在感はなおのこと大きくなっているように思える。フジロックのステージが本当に楽しみだ。台風が来ても見届ける覚悟で臨みたいと思う。


YOSHIMI BATTLES THE PINK ROBOTS / THE FLAMING LIPS
なんかタイトルがピンと来ないなぁーと思っていたのですが、内容の方もイマイチこうグッとくるものがなくて残念。なんか普通に電子音を少し使っておもしろそうなことをやってるバンドという感じで、彼ららしさもあるにはあるのだけど、メルヘンとメランコリックな狂気に達するには至らず、アナログ主義であって欲しかったという願いもあってか、やはり物足りなく思えてしまう。「ライブを観れば人生変わる」とまでいわしめた彼らでも、今度ばかりは少し様子が違うかもしれない。「君は一番美しい顔をしている。」「君の知っている人は皆、いつか死ぬ。」「幸せだと泣きたくなる。」というジャケットやインナーに日本語で書かれた3つのセンテンスはとっても魅力的だと思った。


HAPPY END PARADE 〜tribute to はっぴいえんど〜
わざわざ二枚組にしてくれなくてもと思ったけど、それだけのリスペクトを受けているバンドであることは十分納得できるし、ひとつひとつのトラックがとても真剣なものであることがよくわかる。まあでも一枚のほうが聴くほうとしてはよかったかな。個人的にはスピッツによる「12月の雨の日」がとてもお気に入りでした。草野マサムネのこういう歌声は本当にいい。
