

ライド・オン
Ride On
監督:ラリー・ヤン
2023年 中国
なんと初主演から50年の記念作品。ジャッキー・チェンの近作としては、ここ15年くらいのベストかもしれない。手応えとしてはリメイク版『ベスト・キッド』以来か。今作では生身のアクションで名を馳せた今は老いしスタントマン役を演じ、現在できうる最大限のアクションを披露している。加えてかつてのジャッキー作品のスタントシーンも差し込まれ、ジャッキーを観てきた僕らには、改めてジャッキー凄い!と思うに十分な作品だった。


ぼくのお日さま
監督:奥山大史
2024年 日本
主題歌となっているハンバート ハンバートの「ぼくのお日さま」が素晴らしい。奥山大史監督はこの曲にインスピレーションを受けて、今作の制作にあたったらしい。監督からの手紙を受け、主題歌とタイトルの使用を快諾し、佐藤良成が劇伴を担当するに至った。また監督は幼少期にスケートを習っていたという。前後のキャリアにおける米津玄師との関係。アニメ『メダリスト』主題歌「BOW AND ARROW」のMV(監督は林響太郎)での羽生結弦に迫る撮影を担当している。


違国日記
監督:瀬田なつき
2024年 日本
両親を交通事故で失った少女が、温泉宿ではなく、新垣結衣に引き取られる物語。出だし、めちゃめちゃ暗くて重いのだったらどうしようと思ったけど、このキャストで『異端の鳥』のようになるはずもなく、甘々で安心して観れた。主演ふたりの関係性がとても良くて、日常モノとしてずっと観ていたくなる。劇中歌の担当は橋本絵莉子。


青春ジャック 止められるか、俺たちを2
監督:井上淳一
2024年 日本
1作目『止められるか、俺たちを』から10年後が舞台となる、1983年2月に若松孝二監督が立ち上げた名古屋の映画館シネマスコーレを中心に描いた続編。井浦新のマスターレベルに到達した若松孝二芝居が最高! 1作目とは独立した物語としても観れて、比べて申し訳ないが、こっちのが断然面白かった!


イ・チャンドン アイロニーの芸術
Lee Chang-dong: The art of irony
監督:アラン・マザール
2022年 フランス・韓国
イ・チャンドン自身が過去作の舞台に赴きつつ振り返るドキュメント。現時点での最新作『バーニング』に始まり、監督の語りに限らず、作品ごとのロケ地や主要キャスト等による話も興味深く、さらには映画監督以前の小説家時代、そのまたさらには幼少最初の映画体験まで遡る。ものすごく見応えあった!


タバコは咳の原因になる
Fumer Fait Tousser
監督:カンタン・デュピュー
2022年 フランス
一癖も二癖もある軽妙奇妙なカンタン・デュピュー監督作。これもめちゃめちゃ面白い!!戦隊モノへのこだわりはなく、脱線する怪談話の再現映像を畳み掛けるという離れ技。フランスのお笑い、大好きだ。カンタン・デュピューがMr.OIZOだってこと、さっき知った!


裁かるるジャンヌ
La Passion de Jeanne d’Arc
監督:カール・テオドア・ドライヤー
1928年 フランス
印象的なカットは、モリッシーがライブで使用していたのを憶えている。ジャンヌ・ダルクの実際の裁判記録をもとにカール・テオドア・ドライヤー監督によって映画化された1928年のサイレント作品。裁判といっても、教会の異端審問官に一方的に詰められ、歴史の通り火刑になる様は、『チ。』の世界そのものだった。


ANORA アノーラ
Anora
監督:ショーン・ベイカー
2024年 アメリカ
新宿ピカデリーのスクリーン1。アカデミー賞を獲りまくって大出世のショーン・ベイカーが来てたのは昨日だったみたい。『プリティ・ウーマン』ほどハッピーではなく、『下女』『ハウスメイド』ほどドロドロしてもいない。特別いい話ではないけど、マイキー・マディソンの強い魅力とロシアチームのアバウトさが効いている。「昨日誕生日だった」というセリフに、スピってるなと思った。


ザ・ルーム・ネクスト・ドア
The Room Next Door
監督:ペドロ・アルモドバル
2024年 スペイン
アルモドバルの若かりし頃からすれば、信じられないくらいの品の良さ! ティルダ・スウィントン&ジュリアン・ムーア、両者際立つ洗練された会話劇の見事さ。癌からの回復が叶わないことを悟り、人生の最期を自らの意志で締める。尊厳死を望むという、これもまた人間の業を見つめた素晴らしい作品だった。


真夜中のパリでヒャッハー!
Babysitting
監督:ニコラ・ブナム、フィリップ・ラショー
2014年 フランス
フランスのコメディスター、フィリップ・ラショーの原点ともいえる2014年の監督デビュー作。ほぼほぼフランス版ハングオーバーで、めちゃめちゃ面白い! とにかく編集のテンポがよく、気付いたらイカれた展開に突入していて、常軌を超えてもキャラ達を不快には描かず、無駄に長いと思うところが一切ない、全編85分のキレの良さ!
