ガールズ・ステップ
監督:川村泰祐
2015年 日本
思った以上にずっと良くて、『リンダ リンダ リンダ』ばりの快作でした! 将来の榮倉奈々のような、石井杏奈のダンスのキレは流石プロ。ダンス部メンバー女子5人の友情と、何よりダンスの頑張りは、ベタだからこそ胸を熱くさせるものがあったと思う。恋愛メインでない、部活の青春映画は素直に気持ちよくなれますね。いまの時代、2012年度以降、中学の体育でダンスが必修になっているらしい。リズム感の底上げとともに、音楽的センスも変化していくのかもしれない。
アイ・アム・サム
監督:ジェシー・ネルソン
I AM SAM
2002年 アメリカ
ビートルズカバー集のサントラは聴いても、映画はずっと観ないままだった『アイ・アム・サム』、めっちゃよかった。もっと説教臭い映画かと思ってたけど、すごく気楽に小粋に楽しめて、本当によかった。特にミシェル・ファイファー、めっちゃよかった!
ビートルズの曲は勝手に涙腺緩んでしまうので、反則な気もするけど、ビートルズなしにこの父娘の関係は築けない「愛こそはすべて」な話でもあるから仕方がない。サントラに入ってても、Nick Caveの「Let It Be」とか劇中で使用されなかった曲があるけど、サントラ大ヒットしたからいいのかなぁ。映画の使用曲が全部カバーになったのは、ビートルズ自体の楽曲使用料が高すぎるかららしい。
野火
監督:塚本晋也
2014年 日本
大岡昇平の戦争体験小説を塚本晋也監督念願の映画化。戦後70年、戦争体験者がいないからこそ、感動抜き、説明抜きに描ききった壮絶な戦場。味方の軍に味方がいない、ここまでくると生き延びることが正しいのかどうかさえわからない。劇場で体験できてよかったと思える、重要な作品。
ナイトクローラー
監督:ダン・ギルロイ
NIGHTCRAWLER
2014年 アメリカ
リーサルウェポンシリーズ以来、久々にみたレネ・ルッソがこの映画の監督ダン・ギルロイの奥さんだったとは! 激ヤセした笑うセールスマンのごとく、死神くんとして仕事出来過ぎなジェイク・ギレンホールが凄い。めっちゃ面白かった!!
男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋
監督:山田洋次
1982年 日本
シリーズ第29作『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』は、絶望映画ともウワサされる一本。ヒロインはいしだあゆみ。第27作から満男役が吉岡秀隆に代わっているので、ふたりが出てるシーンは『北の国から』に見えてしまう。ただ今作の見所はそこではない。今作では、寅次郎が一目惚れしたヒロインにお世話して仲良くなっても、最後は彼女に男がいるとかでフラれて旅に出る、というお決まりのパターンで展開しない。寅次郎が恋をするのではなく、ヒロインから本気で惚れられるのだが、寅次郎はジェームズ・ボンドではなく、考え込んで柴又へ逃げ帰り、追いかけてきたいしだあゆみについぞ応えることができず、満男の前で涙を流すという、かくもシリアスな物語となっている。風の吹くまま気の向くままの寅次郎の業というか宿命を露呈したシリーズ異色の一本。フラれるより切ない。
ファンダンゴ
監督:ケヴィン・レイノルズ
FANDANGO
1985年 アメリカ
1985年の青春映画の傑作『ファンダンゴ』。ベトナム戦争中のアメリカ・テキサスで大学卒業を祝い「ファンダンゴ=馬鹿騒ぎ」な旅に出る男子五人衆。昨今の『ハングオーバー』シリーズに負けないくらい、飲みまくりハッチャケまくるも、『ファンダンゴ』の馬鹿騒ぎの旅は、徴兵の招集逃れでメキシコを目指そうとしたり、花火で遊んだ墓地に眠るのはベトナムで戦死したものだったり、結婚したり進む道がバラバラになったり、将来の不安や青春の終わりを捉えた旅でもある。その儚さがじわじわ沁みてくる、たまらない一本。さよならなんて云えないよ!
マッドマックス 怒りのデス・ロード
監督:ジョージ・ミラー
MAD MAX: FURY ROAD
2015年 オーストラリア
TOHOシネマズ新宿にてIMAX 3D鑑賞。もう見ることもないと思っていたサンダードームも含めて、過去3作を見直して臨んだ最新作は、振り切れ具合が半端ない大傑作でありました!!! ほぼ全編弩級のチェイスアクション。戦意を煽るドラムビートとディストーションギターの嵐。追いかけられてるのはマックスというより、支配者に囲われてた美女。演じてるのがリサ・マリーの娘だったり、レニー・クラヴィッツの娘だったりする美女たち。そのために激突爆発炎上大破し散っていく、たくさんたくさんの人・モノ・クルマ。めっちゃ狂ってる! ホント凄い! 最高!!!
ファッションが教えてくれること
監督:R・J・カトラー
THE SEPTEMBER ISSUE
2009年 アメリカ
アメリカ本国のVOGUE 2007年9月号の編集課程を捉えたドキュメント映画。一番の強みは「決断力」と即答する、編集長アナ・ウィンターの凄さ、魅力、ファッション界のスペシャルワンたる姿勢に、おおいに刺激を受ける。ただの嫌みな上司は昨今のドラマでもよく観るけど、彼女はとにかく圧倒的に有能。ブレがなく、腹も肝もすわっている。メリル・ストリープが演じたモデルとなった『プラダを着た悪魔』より、本物はもっと面白かった!
ドラゴンへの道
監督:ブルース・リー
猛龍過江/THE WAY OF THE DRAGON
1972年 香港
『ドラゴンへの道』を久々に観る。主演のブルース・リー自身が監督・脚本もしているけど、映画としてはかなりユルい。ローマロケで最後のチャック・ノリスとコロッセオでの闘いは見応えあり。共演のノラ・ミャオが少女時代のユナにすごく似てたのが今回の発見。
単騎、千里を走る。
監督:チャン・イーモウ
千里走単騎/RIDING ALONE FOR THOUSANDS OF MILES
2005年 中国・日本
高倉健にとって最後から二番目の主演作品。地味渋度満点ながら、思いのほかよかった。ド派手な史劇のチャン・イーモウではなく、初期の田舎のチャン・イーモウを観てるようなので、とても好感が持てる。話としては美談すぎるものの、だからこそ観るべきものがあったように思う。チャン・イーモウは健さんで映画を撮りたくて、健さんが気に入るまで何度もダメを出されても脚本を送ったらしい。健さんは『初恋のきた道』にいたく感銘を受けていたらしく、この作品も健さんの求めていたチャン・イーモウなのだろう。健さんは日中両国にとってもかけがえのない財産を残してくれたように思う。