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スコルピオンの恋まじない

CINEMA

スコルピオンの恋まじない

THE CURSE OF THE JADE SCORPION
監督:ウディ・アレン
2001年 アメリカ

今年もしっかり一本仕上げたウディ・アレンの最新作。1940年代を舞台にマスター・キートンみたいな腕の立つ保険調査員をいつものように一言も二言も多いながらもスーツ姿でカッコ良くアレンが演じているのだが、催眠術にかかったときの寝ぼけた表情が最高に可笑しい。意外にも犯罪沙汰へと展開する巧みなストーリーで面白味は増大。職場のライバルを対等の口数で演じきったヘレン・ハントも良かったが、セクシー美女まんまの役柄だったシャーリーズ・セロンにうっとり。

フォロウィング

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フォロウィング

FOLLOWING
監督:クリストファー・ノーラン
1998年 イギリス

『メメント』の成功により、その名を世界へ知らしめたクリストファー・ノーランのデビュー作がコレ。時間を何度も前後させながら、ひと癖あるサスペンスストーリーの謎解きが施されていく編集テクニックに限らず、誰しもが否定しきれない田代まさしレベルのちょっと異常な趣味や心理といった好奇心を煽る人間描写も巧い。

ビフォア・ザ・レイン

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ビフォア・ザ・レイン

BEFORE THE RAIN
監督:ミルチョ・マンチェフスキー
1994年 イギリス・フランス・マケドニア

バルカン半島、マケドニアに根深く残るアルバニア人との民族対立。ドキュメント出身のマケドニア人監督によるこの長編第一作は様々な賞を獲得し傑作と評された。三部構成のオムニバスでありながら時間がひとつに結ばれる映画的手法も魅力的だが、それ以上に妥協のない物語を描き出す映像のインパクトに圧倒される。マケドニアの田舎の風景に時代を感じつつも、劇中流れるビースティ・ボーイズの「SO WHAT’CHA WANT」に映画の現実が決して古い話ではないことを印象付けられた。

パリの確率

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パリの確率

PEUT-ÊTRE
監督:セドリック・クラピッシュ
1999年 フランス

とあるカップルの子供を作ることに積極的になれない男子が、SFコスプレ年越しパーティーの最中タイムスリップして、未来の自分の息子から「自分を作ってくれ」と数々の作戦で説得されるという物語。その息子をすっかり年老いた姿のジャン・ポール・ベルモンドが演じているという素敵なキャスティングに拍手! ガールフレンドの部屋に『気狂いピエロ』のポスターが貼ってあったのも可笑しい。フランス的なちょっとヘンなノリと発想がとても楽しい映画でした。監督は『猫が行方不明』とかも撮ってるおっちゃんです。

サウスパーク 無修正映画版

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サウスパーク 無修正映画版

SOUTH PARK BIGGER,LONGER & UNCUT
監督:トレイ・パーカー
1999年 アメリカ

ビデオを借りたタイミングでTVブロスがサウスパーク特集をやっていたので、読むといろいろ詳しくなったのだけど、WOWOWで放送の日本語吹き替え版では田口トモロヲが声優やってるみたい。「プロジェクトX」然り、すっかり声も有名になっちゃいましたね。で、映画ですが、評判通り面白かったです。躊躇いや迷いといった思考を取っ払った、何もかも言いっぱなしのセリフ、やり捨てのアクションがギャグとしてサイコー!

キング・オブ・コメディ

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キング・オブ・コメディ

THE KING OF COMEDY
監督:マーティン・スコセッシ
1983年 アメリカ

ロバート・デ・ニーロとマーティン・スコセッシのコンビといえば説明不用の『タクシー・ドライバー』や『ミーン・ストリート』といった傑作を生み出してきてるわけですが、この作品も非常に見応えのあるシリアスコメディであります。このどうにも胡散臭い自己陶酔型妄想大王三流芸人を演じたデ・ニーロの演技だけでも観る価値アリ。サイコな役をやろうが肉体改造とかしようが下手なヤツは下手だけど、こういうの観るとこの人は本当に大物だと思う。母親の声に邪魔されて「いま録音中だよ!」と怒鳴るシーンに、筋肉少女隊の「パンクでポン」を思い出してしまった。

おいしい生活

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おいしい生活

SMALL TIME CROOKS
監督:ウディ・アレン
2000年 アメリカ

監督第31作目はドリームワークスの配給を受けたものの、全然大作という趣ではなく、中身はそのまんまの古いジャズのレコードが流れて始まるアレン映画。全く頭のキレない庶民レベルのコソ泥とその妻の中年夫婦漫才チックなやりとりが楽しいコメディで、貧乏人も成金もバカもインテリもまとめて風刺されているのが巧い。はははと笑えても、誰が良くて誰が悪いだなんて一概には言えないものですよね。物事の良し悪しも同じで、気分の持ちようでどうにでもなるもんだと、どちらかと言うと楽観的になれる、そんな面白味に満ちた映画でした。

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

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ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

THE ROYAL TENENBAUMS
監督:ウェス・アンダーソン
2001年 アメリカ

コメディの要素がふんだんにあって笑えますが、ホームドラマとしての見応えがすごくあって、とても洗練された映画だと思いました。ファッションや音楽、インテリアなどの雰囲気作りも巧いです。少し寒かったのでたまたまアディダスのジャージ(水色)を上に着て行ったのですが、劇中ベン・スティラー&息子たちが着てるジャージにも注目。ほんと細かいところまで凝っていて飽きることなく楽しめました。ジーン・ハックマンの達者すぎる演技にも脱帽。可笑しくて哀しい、変で気持ち悪いクセ者だらけだけど、とても元気になれる素敵で大好きな映画です。

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

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ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

HEDWIG AND THE ANGRY INCH
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
2001年 アメリカ

オカマちゃん映画として笑い飛ばして楽しめる一方、そのオカマちゃんによってデフォルメされた哀しきロックンロール・スイサイド・ストーリーに我々ロック愛好生活者は激しく共感してしまうという痛快作。元は監督・脚本・主演のジョン・キャメロン・ミッチェルによる舞台劇らしいが、ときおり挿入されるアニメーションもステキでした。

ルード・ボーイ

CINEMA

ルード・ボーイ

RUDE BOY
監督:ジャック・ハザン、デヴィッド・ミンゲイ
1980年 イギリス

パンクの思想を最もリアルに体現し続けたバンド、ザ・クラッシュのライブ・ドキュメントをふんだんに盛り込みつつ、ひとりのやり場のない若者を通して当時のイギリス社会の姿を映し出した映像は見応え十分。国も人々も経済もとにかく社会全体が行き詰まっていた状況下でのクラッシュの叫び。対訳つきで彼らのライブシーンを観ると、尚のこと気持ちが高ぶってしまうような感覚になってしまいます。