

ムーラン・ルージュ
MOULIN ROUGE!
監督:バズ・ラーマン
2001年 アメリカ
観てる間は「わー」って感じで楽しめるけど、終わってから何も残らないという、今までのバズ・ラーマン作品と比べちゃうと薄味でありましたが、これはこれでいいのかも。新旧ロックの名曲がミュージカルメドレーのスコアにリアレンジされ、ハイテンションできらびやかな映像で駆け抜けるエンターテインメント。ユアンはいつもの調子だけど、ニコール・キッドマンは随分と芸達者なんですね。そういえば散々に酷評されたポール・バーホーベンの『ショーガール』を思い出したのですが、僕はあの映画、意外とよかったと思うんだけどな。


スリーパー
SLEEPER
監督:ウディ・アレン
1973年 アメリカ
ブリットポップ期に同名の人気バンドがいましたが、そのスリーパーってのはこの映画から取ったという話らしいですね。1973年に軽い胃潰瘍で入院したのに、そこから合併症を起こして意識不明になり冷凍保存された男が200年後の世界で解凍され甦るところから話が始まるズッコケギャグ満載のSFコメディ。安っぽすぎるんだけど、なんか斬新。おもしろいよ。


ソング・オブ・サマー
SONG OF SUMMER
監督:ケン・ラッセル
1968年 イギリス
作曲家フレデリック・ディーリアスの晩年を、付き添って彼の作曲を助けたフェンビーという青年を通して描いた物語。梅毒におかされ全身麻痺、失明という状態のディーリアスの描かれ方が実にケン・ラッセルらしいもので、やはり笑わずにはいられなかった。衰弱しきって使用人にかつがれて運ばれるときの生気のなさは危なすぎる。偏屈な性格に戸惑いながらも「ターターター♪」と口でいう音を書き拾い、最後まで献身的に尽くしたフェンビーとの関係は、普通の師弟関係、上下関係とは違う、妙な味わいがあって面白かった。人々を感動させるモノを創造する立派な芸術家はどこか狂っているものですね。若き日(といっても当時41歳)のケン・ラッセルがBBCのテレビ向けに作った作品。


ゴーストワールド
GHOST WORLD
監督:テリー・ツワイゴフ
2001年 アメリカ
感性豊かな毒舌女子にとって痛すぎる映画であると同時に、男にとっても見透かされっぱなしの哀しい状況に笑いながら泣きたくなるような映画であった。クズと呼ばれても(思われても)笑うとして、とぼけた顔でがんばろうと思う。少なくとも僕はダメなままでは絶対いたくないと思っているわけで、ダメ人間賛歌に応じるつもりは無い。この映画のユーモアと、ソーラ・バーチ、スティーブ・ブシェミ、ふたりの演技は素晴らしく、シリアスな人間味がいっそう際立って見える。あきらめてはいるけれど、絶望してはいない。そんな姿や心の気持ちに揺さぶられた。


ロッカーズ
ROCKERS
監督:セオドロス・バファルコス
1978年 アメリカ
ジャマイカのルーツ・ロック・レゲエミュージシャンの物語。ドラマーでありながら低所得のため仲間たちからカンパを募ってバイクを購入し、レコードセールスの仕事を始めるが、ある日そのバイクが地元のマフィアに盗まれてしまう。一度は取り戻すも今度は連中にボコボコにされ、怒ったラスタマンはヤツらが持ってた数々の盗品を奪い返す復讐を仲間と企てるのだった・・・。とまあ浜村淳の解説のようにほぼオチまで書いてしまったけど、復讐劇(?)といっても劇中流れ続けるレゲエ音楽のおかげで緊張感はまるでなく、ストーリーよりジャマイカとレゲエの結びつき、人種の姿といったものに注目してしまう。


テルミン
THEREMIN AN ELECTRONIC ODYSSEY
監督:スティーヴン・M・マーティン
1993年 アメリカ
電子楽器テルミンとその発明家レフ・セルゲイヴィッチ・テルミンのドキュメンタリー・フィルム。独特の浮遊感と哀愁を感じさせるテルミンの持つ不思議な音色のように、テルミン博士自身の人生も謎と波瀾に満ちた97年間だった。年老いた博士が淡々と飾ることなく昔を語り、テルミンを実演し、愛する旧友と再会する姿は、この映画を観て彼の人生、生き様を知った後だけに、胸にくるものがあった。人生における劇的なダメージに屈せず97年生きたことは何より強いメッセージだったように思う。また最後まで博士を愛し、信じ続けたクララ・ロックモア。この女性も素晴らしい。


岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説
監督:宮坂武志
2001年 日本
もう誰もリキを止められない! 竹内力があのイカツイ身体と極悪モードの形相そのままに中学〜高校生を演じているのだ! ブツくさメンチを切りまくり、ほとんど何言ってるかわからないセリフまわしがまたスゴい・・・。そんなので恋とかしちゃってるし(その娘の親父を半殺しのボコボコに!)、コワすぎるよ! 加えて、なんだかんだとカラんできては雑魚にされる同級生が田口トモロヲって! とにかくムチャクチャなんだけど、この配役も含めて間違ってないんだな、これが。おもしろければOK納得ってことですね。強烈バカパク。


夏至
A LA VERTICALE DE L’ETE
監督:トラン・アン・ユン
2000年 フランス・ベトナム
グッド・モーニング・ベトナム。グッド・モーニング・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド。そして、真っ黒い髪の女性たちの美しさよ(ホレボレ)。目覚めにかける「ペイル・ブルー・アイズ」や「コニー・アイランド・ベイビー」が映えまくる素敵な朝のシーンが印象的なように、映画全体もこれらの曲が象徴してるような喜びと悲しみの情景深い愛のある生活が格別の映像で美しく描かれている。このロマンス描写と生活描写が本当に素晴らしい。最後のアラブ・ストラップ「ソープス」がまた秀逸。ほのかな瑞々しい気持ちとともに情熱が込み上げてくる。


キス・オブ・ザ・ドラゴン
KISS OF THE DRAGON
監督:クリス・ナオン
2001年 アメリカ・フランス
チェッキー・カリョはやっぱり悪役なんだ。ブリジット・フォンダがちょっと懐かしいね。『シンプル・プラン』を観て以来だなぁ。ジェット・リーはほんま無敵やね。強すぎ。いまいちばん旬じゃない映画人、リュック・ベッソン製作・脚本ということで、マジメに観なかったらそれなりに楽しめました。


小説家を見つけたら
FINDING FORRESTER
監督:ガス・ヴァン・サント
2000年 アメリカ
ガス・ヴァン・サントにとって『グッド・ウィル・ハンティング』再びといった趣の作品。すっかりメジャーに落ち着いちゃった感じがしますが、ストーリーテリングの巧さは相変わらず。ただあまりに『グッド・ウィル・ハンティング』しすぎな気もする。最後にわざわざマット・デイモン出てきちゃうし。悪くはないけど個人的にいろいろ難癖つけたくもなる映画。ショーン・コネリーがひたすら渋い。いくつになってもカッコよろしいです。
