

キング・オブ・コメディ
THE KING OF COMEDY
監督:マーティン・スコセッシ
1983年 アメリカ
ロバート・デ・ニーロとマーティン・スコセッシのコンビといえば説明不用の『タクシー・ドライバー』や『ミーン・ストリート』といった傑作を生み出してきてるわけですが、この作品も非常に見応えのあるシリアスコメディであります。このどうにも胡散臭い自己陶酔型妄想大王三流芸人を演じたデ・ニーロの演技だけでも観る価値アリ。サイコな役をやろうが肉体改造とかしようが下手なヤツは下手だけど、こういうの観るとこの人は本当に大物だと思う。母親の声に邪魔されて「いま録音中だよ!」と怒鳴るシーンに、筋肉少女隊の「パンクでポン」を思い出してしまった。


E / 奥田民生
真剣に聴かなくてはいけないような小難しいものではなくて、いちいち考えることはやめて真剣に楽しんでいればフッと理解できたり発見できたりする妙な可笑しさが詰まったアルバム。いつになくシングルてんこもりだし、かなりもの足りる内容なのではないだろうか。全19曲と一見散漫なように見えても、既発曲に限らず実は名曲が揃っていると思う。「E」、「家に帰れば」、「ドースル?」は大マジに素晴らしいです。脱魂と入魂の天才的なペース配分にやはり脱帽であります。


OASIS 2002.09.29. 国立代々木競技場 第一体育館
感慨深いものは少しは自分の中に残っているものの、燃える思いは甦ってこないもので、それは音がちっともまともに聞けやしない座席が悪かったことが大いにあったからだと思いたい。2階席の一番後ろだったんだけど、天井がすぐ近くで音が抜けず、反響で死んだ音が幾重にも重なって遅れて聞こえてくる有様で、ライブハウスの外で聞いているような霞みまくった音では良いも悪いもわからない。おととしの横浜アリーナのときと比べてちゃんとしてたように見えただけに、ちゃんとしたオアシスの音というかリアムの号砲のような迫力満点の歌声が聞けなかったのがとても残念だ。リアムの調子も随分良さげのようだったし、バンドとして『BE HERE NOW』以降でいちばん安定している時期なのかも知れない。スクリーンに大写しになったノエルがちょっとだけ永ちゃんに見えた。
0.FUCKIN' IN THE BUSHES 1.HELLO 2.THE HINDU TIMES 3.HUNG IN A BAD PLACE 4.GO LET IT OUT 5.COLUMBIA 6.MORNING GLORY 7.STOP CRYING YOUR HEART OUT 8.LITTLE BY LITTLE 9.CIGARETTES & ALCOHOL 10.LIVE FOREVER 11.BETTER MAN 12.WONDERWALL 13.BORN ON A DIFFERENT CLOUD 14.ACQUIESCE
encore
15.FORCE OF NATURE 16.DON'T LOOK BACK IN ANGER 17.SOME MIGHT SAY 18.MY GENERATION


おいしい生活
SMALL TIME CROOKS
監督:ウディ・アレン
2000年 アメリカ
監督第31作目はドリームワークスの配給を受けたものの、全然大作という趣ではなく、中身はそのまんまの古いジャズのレコードが流れて始まるアレン映画。全く頭のキレない庶民レベルのコソ泥とその妻の中年夫婦漫才チックなやりとりが楽しいコメディで、貧乏人も成金もバカもインテリもまとめて風刺されているのが巧い。はははと笑えても、誰が良くて誰が悪いだなんて一概には言えないものですよね。物事の良し悪しも同じで、気分の持ちようでどうにでもなるもんだと、どちらかと言うと楽観的になれる、そんな面白味に満ちた映画でした。

TOKYO No.1 SOUL SET 2002.09.23. 西麻布YELLOW
99年以来という随分長い間があいてた割には特別な思いや懐かしさとかはなくて、よくわからない水のイベントにひょっこりとあらわれたソウルセットでしたが、これが物凄く盛りあがってしまいまして、本当に楽しくてしょうがなかった! クラブという密室での密接な距離で感じ合う密度の濃いライブパフォーマンスコミュニケーション。フットワークも軽く、ノリノリで踊って気持ちのいい汗を久しぶりにかいた気がします。


DUBNOBASSWITHMYHEADMAN / UNDERWORLD
先ほど新作がリリースされましたが、軽く試聴した限りだと普通にいいのかも。ラジオでかかりまくっている新曲はあまりいいとは思えなかったけどね。ファンの多くは「REZ」や「BORN SLIPPY NUXX」のようなアッパーに盛りあがれるものを求めているのだろうから、あれはあれでいいのだろう。まあしかし、アンダーワールドのこの三人体制ファーストアルバムは本当に素晴らしかった。その後のアルバムと比べても聴いてる量が圧倒的に違うほど好きだ。中でも「DIRTY EPIC」はメロディアスなボーカルが絡んで本当にセクシーでカッコ良くて、その流れで「COWGIRL」に突入するハイライトはいま聴いてもシビれます!


ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
THE ROYAL TENENBAUMS
監督:ウェス・アンダーソン
2001年 アメリカ
コメディの要素がふんだんにあって笑えますが、ホームドラマとしての見応えがすごくあって、とても洗練された映画だと思いました。ファッションや音楽、インテリアなどの雰囲気作りも巧いです。少し寒かったのでたまたまアディダスのジャージ(水色)を上に着て行ったのですが、劇中ベン・スティラー&息子たちが着てるジャージにも注目。ほんと細かいところまで凝っていて飽きることなく楽しめました。ジーン・ハックマンの達者すぎる演技にも脱帽。可笑しくて哀しい、変で気持ち悪いクセ者だらけだけど、とても元気になれる素敵で大好きな映画です。


ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
HEDWIG AND THE ANGRY INCH
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
2001年 アメリカ
オカマちゃん映画として笑い飛ばして楽しめる一方、そのオカマちゃんによってデフォルメされた哀しきロックンロール・スイサイド・ストーリーに我々ロック愛好生活者は激しく共感してしまうという痛快作。元は監督・脚本・主演のジョン・キャメロン・ミッチェルによる舞台劇らしいが、ときおり挿入されるアニメーションもステキでした。


ルード・ボーイ
RUDE BOY
監督:ジャック・ハザン、デヴィッド・ミンゲイ
1980年 イギリス
パンクの思想を最もリアルに体現し続けたバンド、ザ・クラッシュのライブ・ドキュメントをふんだんに盛り込みつつ、ひとりのやり場のない若者を通して当時のイギリス社会の姿を映し出した映像は見応え十分。国も人々も経済もとにかく社会全体が行き詰まっていた状況下でのクラッシュの叫び。対訳つきで彼らのライブシーンを観ると、尚のこと気持ちが高ぶってしまうような感覚になってしまいます。


THREE / ARCHER PREWITT
これは素晴らしい。聴くものを納得させるだけの音楽と歌が詰まった、渋かれど明快なる本当に素敵なアルバムだと思う。正直言って、シー・アンド・ケークでリード・ヴォーカルを取るサム・プレコップより、アーチャーの歌声が好きだったりするわけで、それが堪能できるだけで嬉しい。言うまでもなく、ギターも絶品でございますよ!
