死亡遊戯
監督:ロバート・クローズ
GAME OF DEATH
1979年 アメリカ
世界的な知名度から言っても東洋一のスーパースターとしては無敵であり伝説でもあるブルース・リー。映画がどうこうという以前にブルース・リーという圧倒的な存在があれば、もはやそのすべてが肯定される。ほんとでもすごいです。全世界のド肝を抜いたカンフー・アクションは当然として、その他の動作、顔、表情、髪型、ファッション、ヌンチャク・・・、彼のそのキャラクターを構成するすべてが完璧なのだ。今作での有名すぎる黄色い全身タイツは、元々悪者の部下のコスチュームなのだが、それを着て敵のアジトに乗り込んで最後の決闘をするブルース・リーを見てると、あまりに見事でタイツ姿が神々しい。これを観た誰もが、一度試着ぐらいならしてみたいと思っているはず。残念ながらブルース・リーはこの映画の完成をみることなく他界したため、一部吹き替えによって完成したいわく付きの作品。さらにこの運命は、まさに今作の劇中のシーンのように(映画アクション・スター役のブルース・リーは撮影シーンで敵によって空砲から実弾にすりかえられたピストルで撃たれてしまうという場面がある)、息子ブランドンにも引き継がれてしまう。
HELPLESS
監督:青山真治
1996年 日本
うーん、なんなんだろうなぁ、というのが正直な僕の印象。退廃、退屈、やるせなさ。病んだ世の中への突発的な怒りと暴力。主演の浅野忠信がNIRVANA『NEVERMIND』のTシャツを着ている、そんな映画。
スペース・カウボーイ
監督:クリント・イーストウッド
SPACE COWBOYS
2000年 アメリカ
NASAがない時代にアメリカ空軍パイロットとして「ライト・スタッフ」のごとく大活躍していた4人の年老いた男たちが、宇宙への夢を現代に実現させるお話。『スタンド・バイ・ミー』のように微笑ましいチーム・プレイが、イーストウッドの年齢であってもそれはとてもステキに思えた。宇宙への憧れ、男はロマン。自分も高校時代に「空を見る会」の会員だったのを思い出してしまった。「オレは昔、空を見ながら育ったのさ・・・」というセリフを将来発することを真に許される、これが会発足の理由である。友達同士、会員数わずか3、4名。ごくまれに「昨日の夕焼けサイコーだったよな?」などといった空の話題で楽しいおしゃべり。虹が出た日は大騒ぎしたものだ。
デッド オア アライブ 犯罪者
監督:三池崇史
1999年 日本
絶句・・・・・・。ウワサには聞いていたけど、このラストって・・・、いやー、興奮しました。オチでまさか、クゥあぁぁー、書かない方がいいですね。哀川翔VS竹内力。竹内力が悪役の表情に徹していた分、刑事哀川翔が人間味のある演技で想像以上に格好いいが、ラストであんなことが起こせるのは竹内力以外に考えられないわけで、それだけの凄みが竹内力には備わっているということだ。とにかく必見!と僕も言わさせていただきます。
アンドロメディア
監督:三池崇史
1998年 日本
話題の三池崇史が過去に撮ったアイドル映画。メインにSPEED、サブにDA PUMPという布陣。このいたしかたないキャスティングではあっても、しっかりアイドルたちを引き立たせた立派におもしろい映画だった。ファン以外の一般の目で観ても楽しめるという点で、さすがだなと思う。ファンタジーが強すぎて、僕は泣くには至らなかったけど、ストーリーをまとめてラストは美しく感動的。もちろん、角川映画ではありません。
イディオッツ
監督:ラース・フォン・トリアー
IDEOTERNE / THE IDIOTS
1998年 デンマーク
カメラは手持ちでなくてはならないなどといった10のルールに則って映画を製作する「ドグマ95」という組合がある。ラースはそれの代表にもなっており、この作品は「ドグマ95」の2番目の作品として制作されたものである。一言で言えば、今作はドグマの教則映画で、退屈なものだった。『奇跡の海』のように慈悲深い激愛でもなければ、『キングダム』のように黒々しいギャグに暴走するでもない。内容的にもどっちつかずで、いまいち振り切れないシコリが残る。いままでオクラになっていただけに、ラース作品だから観たいという人たちも多いと思うが、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』と同じ期待を『イディオッツ』にかけるのは、よした方がいいだろう。2001年3月23日より恵比寿ガーデンシネマにてレイトショー。
リトル・ヴォイス
監督:マーク・ハーマン
LITTLE VOICE
1999年 イギリス
とっくに結婚して、娘までいるのに、ユアンのこの清々しさといったら! 伝書バト飼ってるってのが、またイイ。中年の名優ふたりもハツラツとしてて、なんだか全体的に異様なテンションで押し切られた映画でした。最後のオチは、しっかりイギリス映画特有の空気だったけど、それもまたよしです。LVの歌声よりも、普通の声が本物なのか気になる。
オースティン・パワーズ デラックス
監督:ジェイ・ローチ
AUSTIN POWERS:THE SPY WHO SHAGGED ME
1999年 アメリカ
マイク・マイヤーズのつくり笑顔。これができたら人生困らないだろうなあ。「シャガデリック」な美女にモテモテ。一生困らないだろうなあ。ヘザー・グレアムがキュートだったので、『デラックス』のほうが好みかな。60’sテイストを持ってくるセンスはお見事。バカラックも出てるし(コステロは余計だったが。オッサン、人間も身体も丸くなりすぎ)。全然関係ないけど、マイク・マイヤーズとつんく、似てると思った。
真夜中の虹
監督:アキ・カウリスマキ
ARIEL
1988年 フィンランド
よかった。感覚としては北野武に非常に近いものを感じた。ナレーションは一切無し。数少ないセリフといい、また映像に関しても無駄に説明を加えるようなことは何ひとつしていない。この潔くも淡白な映画は、だからこそ多くを表現している。73分という短さといい、文句のつけようのないプロフェッショナルな作品だ。
ゲット・オン・ザ・バス
監督:スパイク・リー
GET ON THE BUS
1996年 アメリカ
100万人の黒人男子(ブラザー)が集うデモ行進に参加するため、LAからワシントンD.C.へ1台のバスの道中を描いたロード・ムーヴィー。ともにバスで移動する仲間たちのふれあい、いざこざ、お説教、うたの数々。同じ黒人同士でも、正しい正しくないは無理に問わず、直接的な意見のぶつかり合いは絶えず劇中繰り広げられる。ひとつの黒人と括らず、キャラクター豊かに個々の人間として彼らを捉えているところが重要なポイント。『ガール6』で、もう終わったと思っていたが、スパイク・リー健在と見直すには十分な価値ある感動作だ。