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ワンダーランド駅で

CINEMA

ワンダーランド駅で

監督:ブラッド・アンダースン
NEXT STOP WONDERLAND
1998年 アメリカ

最近の日本の恋愛ドラマは毎度高視聴率を上げているようだが、全く観ていないのでさっぱりよくわからない。なかにはよいものもあるのかもしれないけど、この映画の粋な完成度を越えるなんてものは絶対ないと自信を持っていえるほど、これは素晴らしく良い映画でございました。ストーリー、俳優、セリフ、カメラワーク、演出、ボストンという街・・・そのどれもが日本のドラマ関係者が悔しがる(パクリたい)ような冴えたセンスを放っていて、とにかくステキすぎます。この映画のように、都市生活の孤独からサヨナラしたいな。

ワールド・イズ・ノット・イナフ

CINEMA

ワールド・イズ・ノット・イナフ

監督:マイケル・アプテッド
THE WORLD IS NOT ENOUGH
1999年 イギリス

「世界ではもの足りない」という007史上に残るジェームズ・ボンドのセリフにシビれましょう。ボンドとしては安定期に入った伊達男ピアース・ブロスナン、ロバート・カーライルとソフィー・マルソーという異様な組み合わせの悪玉コンビ、裏切り者でここでも殺される悪役商会ゴールディ、そしてボンド・ガールは若さに軍配デニース・リチャーズ(彼女の出演作っていいよね!)というキャストの顔ぶれだけでも楽しい。アンチ・マッチョな僕でも、ボンドには憧れてしまいます。

MONDAY

CINEMA

MONDAY

監督:サブ
2000年 日本

サブ監督作品には過去の3作ともスタンディング・オーベイションを送ってきた僕でも、今回のシュールすぎる展開には、いい意味ではない方向で思わずうなってしまった。毎度シュールといえばシュールなのだけど、いまいち抜けきれていない歯切れの悪さのほうが目立ってしまっている。おなじみ堤真一が主演といえ、酒に酔っただけの主人公だったのがダメだったのかもしれない。ちょっと今作はムダにメッセージ性を盛り込んだり意識しすぎたか。

スナッチ

CINEMA

スナッチ

監督:ガイ・リッチー
SNATCH
2000年 イギリス

観た人誰もが『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』と同じだと思ったことだろう。悪意まる出しのケチはいくらでもつけられる映画かもしれないけど、やっぱりそれでも面白かったと僕は思う。ロンドンが舞台だし、だいたいそんなに真剣に観る必要のない、単純に楽しんでもらう映画として立派に出来ているのだ。登場人物の多さも、ちゃんと使っては消されているし(ベニチオも早かった!)、勢いで見せきる編集の巧さと音楽の使い方は相変わらず抜群のセンスを発揮している。ブラッド・ピットのヘタレ英語もよかったです。犬、大活躍!

ミッション・トゥ・マーズ

CINEMA

ミッション・トゥ・マーズ

監督:ブライアン・デ・パルマ
MISSION TO MARS
2000年 アメリカ

これはすごい。地球史の驚くべき事実が明らかに! といってもサイエンス・フィクションなわけだけど、こういうのは好き。宇宙人がいるいないの議論には興味はないけど、SFの空想世界を映像で表現されるものには素直に心が惹かれてしまう。『2001年宇宙の旅』や『スターウォーズ』、『未知との遭遇』、『エイリアン』といった懐かしのものから、『ガタカ』、『コンタクト』など最近の素晴らしかったSF作品など、とてもワクワクしながら観たものだ。『スネーク・アイズ』に続いてゲーリー・シニーズが主演。彼は今後もデ・パルマ作品の常連となるのだろうか。

I WANT YOU あなたが欲しい

CINEMA

I WANT YOU あなたが欲しい

監督:マイケル・ウィンターボトム
I WANT YOU
1998年 イギリス

主演のレイチェル・ワイズに見惚れてしまう、魅惑のサスペンス劇場。ウィンターボトムといえばってことで、『バタフライ・キス』でのニュー・オーダー「WORLD IN MOTION」、『ウェルカム・トゥ・サラエボ』でのストーン・ローゼズ「I WANNA BE ADORED」など音楽でキメてくるのが定番となってますが、今作はタイトルまんまエルビス・コステロ「I WANT YOU」。おかげでいまコステロの『BLOOD & CHOCOLATE』を数年ぶりに聴いてます。

ヴァージン・スーサイズ

CINEMA

ヴァージン・スーサイズ

監督:ソフィア・コッポラ
THE VIRGIN SUICIDES
1999年 アメリカ

ボーイ・ミーツ・ガールのドキドキ胸キュンな感覚と、自殺という決定的な断絶が脳裏に刻まれるいたたまれぬ傷を負わされる感覚が同居する。人生の輝けるほんの一瞬の時間。過去の美しい思い出を心の中でリピート再生したまま、残りの空虚な日々を生き続ける男たちの哀しい性。世界は女で回っているとはよく言ったものだ。自称ファッションなヒトたちのお手本が詰まった映画でもあるけれど、ソフィア・コッポラにここまで達者にやられるとは。エールの音楽が鳴った時点で、もうお見事でした。

奇人たちの晩餐会

CINEMA

奇人たちの晩餐会

監督:フランシス・ヴェベール
LE DINER DE CONS
1998年 フランス

バカ映画のセンスに関して、フランスはかなり突き抜けたものがあると思う。狙っているのだろうけど、キャラがリアルすぎて戦慄的ナンセンス・ギャグの応酬がたまらない。大ヒットを記録し、セザール賞も受賞。さすがはエスプリの国である。あー、おもしろかった。

マグノリア

CINEMA

マグノリア

監督:ポール・トーマス・アンダーソン
MAGNOLIA
1999年 アメリカ

みなさん、もう観てると思うけど、これは凄い映画ですよ。オチはどうでもいい。あれは、アルトマンが『ショート・カッツ』で地震を起こしたのと、ある意味同じようなものだ。やってることは相当に頭おかしいが・・・(う〜ん、ブリリアント!)、でも、本当にすごいのは3時間衰えないグイグイ観る者を画面に釘付けにして離さないテンションであり、映画そのものだ。不安であり、恐怖であり、謎であり、愛であり、怒りであり・・・とにかく全編ふっと気を抜かせてはシリアスに緊張感が高まっていく。描かれているのは悲劇まじりのリアルな日常。登場人物が微妙に重なりあっていく巧妙な構成。長まわしショットの多用。エイミー・マン(懐かしい!)の歌声が流れ出すオープニング・シーンから「とんでもない映画だ!」と、ビシビシ興奮を感じさせる。劇場で観なかった自分を本気で呪いたく思うほどの★★★★★作品だった。

醜聞(スキャンダル)

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醜聞(スキャンダル)

監督:黒澤明
1950年 日本

なんか黒澤明っていうだけで身構えてしまいがちだけど、そんな力む必要のない普通に観て楽しめるエンタテインメント作品が実に多い。それは代名詞的存在の『七人の侍』や『用心棒』のような時代劇に限らず、現代劇においても素晴らしいユーモアに満ちている。今作は有名人カップルのでっちあげ記事に対する裁判劇として話は展開するのだが、半世紀が経ったいまでも、かなりおもしろく観ることができる。志村喬のダメ弁護士ぶりがいいです。弁護士事務所が4階建てビルの屋上(名刺では5階と表記している)だなんて、『マルコヴィッチの穴』だよな〜と思ったりもして。