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メトロポリス

CINEMA

メトロポリス

監督:りんたろう
2001年 日本

緻密で繊細な画の表現技術は世界一だろう。手塚治虫の原作を読んでないので、どこまで大友克洋が脚色したものか確認できないが、ラストの持っていき方や加速する破壊へのクライマックスは、かなり大友のカラーが出てたように思える。人間の底無しの欲望、無限に発達する科学文明への警鐘。ロボットと人間の共生をテーマに主人公の純粋な愛の姿に思わずホロリとさせられました。

サイコ・ビーチ・パーティー

CINEMA

サイコ・ビーチ・パーティー

監督:ロバート・リー・キング
PSYCHO BEACH PARTY
2000年 アメリカ

1960年代のマリブ・ビーチを舞台にした、二重人格少女を主人公にした青春サスペンス・コメディ。ひっさびさにくっだらない映画を観たなーって感じで、すごく楽しめた。オカマ警部役の人が書いた舞台が元らしいが、なんかみんなわかりやすいキャラがあってチャーミング。「ダーマ&グレッグ」のグレッグがカリスマ・サーファー役で出演している。

NYPD15分署

CINEMA

NYPD15分署

監督:ジェームズ・フォーリー
THE CORRUPTOR
1999年 アメリカ

チョウ・ユンファ、登場シーンから寝転び二丁拳銃という大サービス。映画はソツのない中国マフィア対NY市警モノではあったが、ユンファのアメリカ進出後、いちばんいい出来のように思う。ただ耳を噛み千切る怪演を知っているファンとしては、キレっぷりがいまいちだったのが残念なところ。

エル・トポ

CINEMA

エル・トポ

監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
EL TOPO
1967年 アメリカ・メキシコ

鮮烈のカルト作家による異色ウエスタン。後の『ホーリー・マウンテン』ではさらに過激さを増す、鮮血、死体、暴力、フリークスといった目に飛び込んでくる映像のインパクトはやはり強烈だ。自ら神と名乗る主人公エル・トポと砂漠に住む4人の銃の達人との決闘。死後甦ったエル・トポは地底生活者を救うため町へと続くトンネルを掘る。オープニングから結末まで不思議かつ好奇な感覚で満たされる、奇妙で神秘的な映画体験。

キングピン ストライクへの道

CINEMA

キングピン ストライクへの道

監督:ピーター・ファレリー、ボビー・ファレリー
KINGPIN
1996年 アメリカ

ファミリー向けではないブラックテイストなギャグ満載! 性や宗教、身障者にハゲと一部良識派には刺激が強すぎるかもしれないけど、こういうの大好きです。ファレリー兄弟の続く『メリーに首ったけ』と同じく、ジョナサン・リッチマンが登場して歌っているのも嬉しい。それにしてもボーリングとダメ男の相性って、どうしてこうもバッチリはまってしまうのか不思議ですね。

セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ

CINEMA

セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ

監督:ジョン・ウォーターズ
CECIL B. DeMENTED
2000年 アメリカ・フランス

こんなにも純朴な壊れ方ができるウォーターズ監督は本当にステキだ。何もかも仕組まれた結果でしかない映画=マイ・ワールドを取り戻す。ハリウッドの映画システムに言及し、主人公達の繰り広げる過激な自主映画作りのテロリズムは、無言の抑圧はびこる現代社会を生きる僕たちにとっても痛快で爽快! 健全なる狂人魂ここにあり。

ワイルドバンチ

CINEMA

ワイルドバンチ

監督:サム・ペキンパー
THE WILD BUNCH
1969年 アメリカ

「動いたら 殺せ / IF THEY MOVE, KILL ‘EM」 冒頭のウィリアム・ホールデンのセリフで緊張感が一気に高まり、市民を巻き込んだ凄まじい銃撃戦へ。追う者、追われる者、支配する者・・・、戦う者たちすべてが悪という図式。善悪の区別なく男を描いているのが素晴らしく魅力的だ。その男たちのプライドと友情、郷土愛が交錯し、死を決してのラストの大銃撃戦へと物語は導かれる。巨匠サム・ペキンパーの最高傑作であり、アメリカ西部劇の金字塔。

ナビィの恋

CINEMA

ナビィの恋

監督:中江裕司
1999年 日本

沖縄県栗国島を舞台にした老若男女の恋愛模様。ズバリ言って、老の部がよいです。若の西田尚美&村上淳カップルも健闘してるけど、思いを馳せる待ち人が60年経って約束を果たしに島に戻ってくるなんて、ロマンチックすぎるぜ!ってことで、老の部がよいです。嗚呼、行ってみたいな栗国島。

クレイジー・イングリッシュ

CINEMA

クレイジー・イングリッシュ

監督:チャン・ユアン
瘋狂英語 / CRAZY ENGLISH
1999年 中国

「英語を話せるようになってお金持ちになろう! 恥を捨てて体全体で英語を学ぼう!」と、中国全土を説いてまわる政府公認のスーパースター、リー・ヤン先生のドキュメンタリー。欧米、日本への対抗意識を「MAKE MONEY!!」の単純論法で植え付けるその熱い姿勢は痛快であり、脅威に思える。これがカルト現象ではない事実にア然としてしまった。2000年紀、中国の時代はすぐそこなのかもしれない。実はこのリー先生、映画のプロモーションで来日したようだが、それまで外国に行ったことがなかったことが判明。驚いた。この先生、やっぱ狂ってる。でもすごい。

1984

CINEMA

1984

監督:マイケル・ラドフォード
NINETEEN EIGHTY-FOUR
1984年 イギリス

デビッド・ボウイの傑作アルバム『ダイアモンドの犬』(1974年発表)は、この映画の原作であるジョージ・オーウェルのSF小説をミュージカル化するというアイデアから生まれたものだ。結局ミュージカル化は著者の未亡人が許可しなかったため制作されることはなかったが、その後に出会ったウイリアム・バロウズの精神性と融合し、『ダイアモンドの犬』となったのである。スクリーンで監視され、政治プロパガンダ放送がひっきりなしに流れ、言葉を制限し、歴史の史実は日々作り変えられる、徹底的に管理された国。思想犯罪は容赦ない拷問と洗脳の末に処刑される、自由や異とすることを思っては生きていけない世界。教科書の言葉が消えていったり、変わっていったりしている今の日本を考えると、この物語も2001年にしてフィクションとして語れなくなっているようで恐ろしい。