

SUBSTITUTE 〜 THE SONGS OF THE WHO
本作に収録されているデビッド・ボウイによる「リリーのおもかげ」を聴く。ボウイさんがフーのトリビュートに参加することは特に珍しいことではない。元々、彼はモッズであったし、かつてのカヴァー集『PIN UPS』でも2曲もフーの曲を取り上げているほど。今回の「リリーのおもかげ」は、もう膝から崩れ落ちんばかりの悶絶モンのトラックである。聴いたか? 彼はまだ絶倫を維持しているのかもしれない。参った。


マテリアル / ACO
新作と同じくして刊行された彼女の単行本に掲載された数々の写真を見るに、人間としてちょっとどうかと思ってしまったりもしたものだが、このアルバムに苦言を申すことは誰もできまい。デビューしたてだった頃のACOはいまいずこ。エイドリアン・シャーウッド&スキップ・マクドナルドのチームに加え、ニック・イングマン、下田法晴、前作に続いての砂原良徳らとのコラボレートが奏でる、最高級のポップ・ミュージック。ついに彼女のアーティスト性が極まった、ACOという女性の仕事を称えよ!


フォーエバー・フィーバー
FOREVER FEVER
監督:グレン・ゴーイ
1998年 シンガポール
いわゆるシンガポール版の『サタデー・ナイト・フィーバー』なのだが、エスニックな東南アジアの要素が絡み合って異様な映画になっていて、かなり笑ってしまった。ブルース・リーに憧れる青年が『サタデー・ナイト・フィーバー』を観て、突如ダンスに目覚める。コンテストに出場し、その優勝賞金でバイクを買うのが夢だ。しかし、弟が突然、性転換手術を受けるとカミングアウト! 妄想で出てくる似てないジョン・トラボルタに指南され、成長していく主人公の、アヤシイ青春ダンシング・ムービー。

青山陽一 2001.06.17. ヴァージンメガストア新宿店
日本のヒットチャートを賑わす無駄に騒々しいキンキン・サウンド、やたら力みすぎの人たちなど、決定的に歌心が欠けてる連中に興味が芽生えることは絶対にない。もうどれもこれも疲れてしまいます。その点、青山陽一は僕がいちばん日本に求めているものといっていいだろう。短い時間だったが、生で彼の音楽に触れて、ものすごく心が晴れる思いがした。ラストはスペシャルゲスト鈴木茂(TIN PAN)の「砂の女」をデュエット。素晴らしい貴重なシーンだった。
1.BIG CHILD 2.難破船のセイラー 3.キキミミタテル 4.4D RAVEN 5.砂の女


シックスティナイン
6IXTYNIN9
監督:ベンエーグ・ラッタナルアーン
1999年 タイ
ウォシャウスキ兄弟の『バウンド』を彷彿とさせるサスペンス映画。こちらもかなりおもしろい。突然会社を不運にもくじ引きで解雇された女性が100万バーツの大金を手にしたことから次々と巻き起こる危険な出来事。恐ろしく冷静な主人公にドキドキさせられっぱなし。ラストのカポーティの言葉が印象深い。


メトロポリス
監督:りんたろう
2001年 日本
緻密で繊細な画の表現技術は世界一だろう。手塚治虫の原作を読んでないので、どこまで大友克洋が脚色したものか確認できないが、ラストの持っていき方や加速する破壊へのクライマックスは、かなり大友のカラーが出てたように思える。人間の底無しの欲望、無限に発達する科学文明への警鐘。ロボットと人間の共生をテーマに主人公の純粋な愛の姿に思わずホロリとさせられました。


SINCE I LEFT YOU / THE AVALANCHES
すでにUKのメディアが大絶賛してるらしいが、確かにこれは素晴らしく良いです。これからいろんな言われ方で紹介されると思うけど、そういうのに振りまわされる前に自分の耳で聴くべし。導入から心を掴んで包み込む音のパラダイス、脳みそとろけるような圧倒的な高揚感、ダンスとポップの見事なバランス感覚。時空を超えたタイムレスなものであるかは時が経たないとわからないものだけど、間違いなくここではないどこかへといざなってくれる至福の音楽体験に、いまは溺れまくりであります。


REVEAL / R.E.M.
すごく丁寧なアルバムだと思う。もはやドラムのビル・ベリーが脱退して以降、歩を進めるというより立ち止まって三人でのあり方模索することに専念してきたわけで、かつてほどエキサイティングなバンドではなくなってしまっているが、それでもR.E.M.というバンドにこだわってきた彼らの姿勢は決して否定すべきではない。新たな追求の旅へと向かい、いまの三人で再び大傑作を生み出す可能性をまだ秘めていると思わせてくれる。ライブが観たいのに、どうして来てくれないのだろう。マイケル・スタイプは俳句の本まで出しているというのに・・・。


サイコ・ビーチ・パーティー
PSYCHO BEACH PARTY
監督:ロバート・リー・キング
2000年 アメリカ
1960年代のマリブ・ビーチを舞台にした、二重人格少女を主人公にした青春サスペンス・コメディ。ひっさびさにくっだらない映画を観たなーって感じで、すごく楽しめた。オカマ警部役の人が書いた舞台が元らしいが、なんかみんなわかりやすいキャラがあってチャーミング。「ダーマ&グレッグ」のグレッグがカリスマ・サーファー役で出演している。


LAST SPLASH / THE BREEDERS
偉大なピクシーズは時が経ってもたまに話題に上ったり、『ファイトクラブ』のように映画で使われたりと世間(というよりロック・ファン)の認知度は保たれているように思われるが、それならばもう少し先までフォローしておいて欲しいと思い紹介するのが、このブリーダーズ。ピクシーズのベーシストだったキム・ディールが結成したバンドで『LAST SPLASH』は1993年に発表されている。まさにグランジ絶頂のさなか、このアルバムは天然ともいえる突き抜けた気持ち良さを耳に届けてくれる一際異端な存在だったとも言える。名曲「CANNONBALL」は一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。いまでも全然カッコいいです。
