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THE ESSENTIAL / SLY & THE FAMILY STONE

ALBUM

THE ESSENTIAL / SLY & THE FAMILY STONE

自分が持ってないものに対する憧れという意味のカッコ良さ。このアフロな髪からモミアゲへと続く曲線が見事なジャケット写真からして秀逸だ。そんなスライ・ストーンの黒人のイメージが強いけど、実は黒人と白人、男性と女性が入り混じった人種混合男女混合バンドという非常に特徴的なスタイルで活動していたスライ&ザ・ファミリー・ストーンのリマスター2枚組ベスト。完全燃焼し尽くしたのか70年代半ばにしてシーンから姿を消したものの、残された音楽はかくも偉大な否定しようのない生身のダンス・ミュージックであり、今更ながら熱くなっても何ら不思議でない強力な魔力が宿っている。

CLIMAX / GREAT3

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CLIMAX / GREAT3

例えば映画の場合、演じる俳優たちよりも映画監督の名前で作品を選ぶということはよくあることかもしれない。しかし、音楽をシンガーやバンドよりプロデューサーの名前で選ぶというのはあまり感心しない。やはり、松浦亜弥あってのつんく♂であり、レッチリあってのリック・ルービンであり、レディオヘッドあってのナイジェル・ゴドリッチやジョン・レッキーであると思うのだ。というか、売り文句としてプロデューサーの名前を全面に出してるのが嫌いだし、レーベルだとか出身地だとか書き連ねているのもよくわからないから嫌いだ。GREAT3の新作はズバリ言って歌謡ポップスである。ソウルだったり、ディスコだったりファンキーな洋の要素を取り込んでも、あくまで和のメロディを貫いたわびさびポップスの世界。なんとなくアングラチックな香りもするのはGREAT3らしいところかもしれないが、YMOチックな気もするのはスカパラみたいに歌う人が歌えば大ヒットしたりして。それもちょっと哀しいけど、大好きな片寄明人の声が局地的にしか聴かれていないのはどうにも残念なわけで、まんまGSな雰囲気の「DAN DAN DAN ダン・ダン・ダン」でジュリーとでもデュエットしてればなぁ、なんてことも思ってしまう逸品。

SUMMER SUN / YO LA TENGO

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SUMMER SUN / YO LA TENGO

映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のカバーアルバムに参加して、あの天然の奇声シンガー、オノ・ヨーコと共演するらしいが、映画のアートワークやアニメーションを手掛けたのがジョージアの姉(エミリー・ハブリー)だったようで、ちょっと「へぇ〜」とか思ってしまった。前作『THE SOUNDS OF THE SOUNDS OF SCIENCE』が海洋生物ドキュメントに音をつけた企画物のインストアルバムだったため彼らのレーベルのみの発売で広く流通することはなかったが、今回のアルバムもヴォーカルが入っているにせよ、非常にサウンドトラック的なトータルスコアの印象を受ける。ウェス・アンダーソン監督あたりが、このアルバムを元に青春映画でも作ってくれたら号泣だろうなぁ。

FOSSIL FUEL : THE XTC SINGLES 1977-92 / XTC

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FOSSIL FUEL : THE XTC SINGLES 1977-92 / XTC

過少セールスという言葉があるとしたら、その意味において世界一のバンドかもしれない。絶大と言っても過言ではない評価を得ながら思うようなセールスがなかったがため、レーベルのヴァージンとは最悪な関係となり、その憎しみの果てに契約解消へと至ったのがデビュー20周年のときだったという、ポップとひねくれのふたつの才能を与えられたアンディ・パートリッジなら致し方ないこの皮肉。本作はヴァージン在籍時に発表されたシングルを集めた2枚組コンピレーションであり、いわゆるお互いの関係を成敗するがための企画物という意味合いも確かにあるのだが、やはりそれはそれとして珠玉のシングル集であり、初めてCD化される音源もあって初心者からマニアまでOKの強くオススメしたいアルバムである。僕自身XTCのアルバムいくつかに加え、元々あった1枚モノのシングル集も持っていたのだけど、去年これを買ってからたまにXTCを聴くときはこればかりになってしまった。せめていやいやでもライブ活動していればそれなりに売れてたと思うんだけどなぁ、と言ったところで頑固一徹、一生ライブはやらない=観れないと思われ(涙)。

戦場のピアニスト

CINEMA

戦場のピアニスト

THE PIANIST
監督:ロマン・ポランスキー
2002年 ポーランド・フランス

ポランスキー自身が体験したことでもある彼のホロコースト映画というだけで、物凄い説得力がある。ポーランド人映画監督としての宿命めいた入魂の度合いが凄まじくて、それに応えるかのように真剣にスクリーンを凝視してしまう。体を張って演じたエイドリアン・ブロディが物語る緊張と恐怖。ナチスドイツ軍が侵攻したときワルシャワにいた36万人のユダヤ人が終戦時にはたった20人しかいなかった史実には戦慄をおぼえるとともに驚愕するしかないのだが、そういう部分の残酷なシーンが遂行されていくとともに、人種間における敵味方の関係、強者弱者の関係だけでなく、ドイツ人将校が主人公を生かせてあげたり、逆にユダヤ人がナチの下の警察として力を奮ったりする人種的な立場を超越した関係があったことを伝えたことは大きい。

MASSIVE ATTACK 2003.03.25. 東京ベイNKホール

LIVE

MASSIVE ATTACK 2003.03.25. 東京ベイNKホール

special guest:DJ SHADOW
意表を突いて丁寧な自己紹介のあいさつを行なってスタートしたDJ SHADOW。ターンテーブルとCDJが2台ずつとサンプラーでやりますよー、なんて機材紹介までして、飾らないナイスガイっぷりもカッコ良く、本日のプレイはDJというより自身のライブというモードでサンプラーのボタンを随分と押しまくるという、その妙技も素晴らしく楽しませてくれました。サンプラーとVJの映像がシンクロするのが凄いと思った。あれは面白い。楽しい1時間を満喫して、舞台は闇に変わり、いよいよマッシブ・アタック。イラク攻撃で犠牲になった罪の無い市民のために1分間の黙祷が行なわれ、ショーがスタート。今回のツアーの目玉となっているインターネットで彼らのサイトから打ち込んだメッセージが反映されるという、インタラクティブLEDスクリーン(電光掲示板)が起動したときのワクワク感たるや! スペシャリスト揃いのミュージシャンによる演奏で、闇を切り裂く圧倒的なテンションのマッシブ・アタック協奏曲が全身に響く音圧で迫ってくる興奮。ホレス・アンディ、ドット・アリソン、デボラ・ミラーといったゲストボーカルのパフォーマンスも印象的だった。DJだったマッシュルームが脱退してしまったため、当の本人達はボーカルを取る曲以外はステージ上にいないという、DADDY Gに至っては2回ほどしか出番がなかったわけだが、あの巨大スクリーンによって彼らのライブにおける表現はスケール感を増し、メッセージもより強固なものとして感じられたと思う。猪木「小泉は甘っちょろい」、って出たときは大笑いしたけど、「戦争」「反対」「平和」とデカデカと出たときのインパクトは凄かったなぁ。かつてバンド名からアタックを伏せられた彼らの世界ツアー攻撃を僕は支持したいと思う。

SET LIST
1.FUTURE PROOF 2.EVERYWHEN 3.RISINGSON 4.BLACK MILK 5.ANGEL 6.SPECIAL CASES 7.BUTTERFLY CAUGHT 8.FADE AWAY 9.TEARDROP 10.MEZZANINE 11.HYMN OF THE BIG WHEEL 12.SAFE FROM HARM 13.INERTIA CREEPS
encore 1
14.ANTISTAR 15.UNFINISHED SYMPATHY
encore 2
16.GROUP FOUR
過去のない男

CINEMA

過去のない男

MIES VAILLA MENNEISYYTTÄ
監督:アキ・カウリスマキ
2002年 フィンランド

カンヌがグランプリという太鼓判を押してくれたことで、ここ日本でもカウリスマキの映画が大ヒットしてくれればと思う。モノクロ・サイレントという究極の手法で最高のものを見せつけてくれた前作『白い花びら』から一転、カラーとなった今作は『浮き雲』に近いテイストで描かれたまさにカウリスマキな作品だった。暴漢に頭を殴られ過去の記憶を失った男が人生を再出発させるストーリーによって、非常にシビアなフィンランドの経済状況を映し出してはいるものの、登場人物たちがユニークで、誰一人として悲しみに暮れた泣きの芝居をしていないところが凄くいい。悲観的になりすぎず、人生は前にしか進まないということを肝に命じて、生きていこうじゃないか。いろいろあるけど、世の中捨てたものじゃあないはずだ。

歓楽通り

CINEMA

歓楽通り

RUE DES PLAISIRS
監督:パトリス・ルコント
2002年 フランス

父親も知れず、娼館で生まれ、娼館で育ち、娼館で働く中年男の物語。主人公が心から愛したひとりの娼婦に対して、自分は彼女の相手としてはふさわしくないと確信しているが故に彼女の世話をすることに終始し、彼女が恋に落ちる運命の男を探し出そうと頑張ったり、結果その男に自分は納得しなくとも、体を張って彼女の幸せのため、夢を壊さないためにひたすら尽くすという、ルコントらしいと言えばらしいのだが、ストイックなのにも程があると思わざるを得ない。『愛しのエレーヌ』や『夢見るシングルズ』のような映画はもう撮らないのかなぁ。ミシェル・ブランとのコンビをそろそろ復活して欲しいルコントであります。

THE ROLLING STONES 2003.03.16. 東京ドーム

LIVE

THE ROLLING STONES 2003.03.16. 東京ドーム

晩年の頃のジャイアント馬場がリングに立っている姿を観るときのように、現役ストーンズに対しても彼らの十分過ぎる年齢を前提に考えてしまいがちかもしれない。しかし、実際のストーンズはめちゃめちゃ動いていて、ミック・ジャガーの異常な声量と40年前から変わらない腰つきを目の当たりにすれば、年齢を気にしてあげてることが無駄だとわかるはずだ。正真正銘ロックンロール・スターとしての存在感がモノ凄くて、どうにも本当にカッコ良い。カッコ良いとしか言いようがない。ゴキゲンでポーズを決めまくるキース・リチャーズにホレボレ。可動式スクリーンを使った演出も嬉しく、4人が横並びに大写しになっただけでウルウル。Bステージではかろうじて顔も肉眼+メガネで確認できました。幸せ、満足、声もカラカラ。またいつの日か。

SET LIST
1.BROWN SUGAR 2.START ME UP 3.IT'S ONLY ROCK'N ROLL 4.DON'T STOP 5.ALL DOWN THE LINE 6.ANGIE 7.MONKEY MAN 8.MIDNIGHT RAMBLER 9.TUMBLING DICE 10.SLIPPING AWAY 11.HAPPY 12.SYMPATHY FOR THE DEVIL 13.WHEN THE WHIP COMES DOWN (B-Stage) 14.MANISH BOY (B-Stage) 15.YOU GOT ME ROCKING (B-Stage) 16.GIMME SHELTER 17.HONKY TONK WOMEN 18.STREET FIGHTING MAN 19.(I CAN'T GET NO) SATISFACTION
encore
20.JUMPIN' JACK FLASH
スパイキッズ

CINEMA

スパイキッズ

SPY KIDS
監督:ロバート・ロドリゲス
2001年 アメリカ

先日ビデオで『ハリー・ポッターと賢者の石』を観た。魔法使いがスパイに置き換わると『スパイキッズ』だなと思った。そんな『スパイキッズ』は誰も期待していないと思うけど、意外なほど楽しる映画だったりする。僕自身も100%眼中になかったけど、ハッ!と気付いたロバート・ロドリゲスの名前。こんなところで仕事してたとは、うっかり見落とすところでした。『デスペラード』や『フロム・ダスク・ティル・ドーン』で名を馳せた曲者監督だけに、内容もアッケラカンとB級オチャラケムード満載! ジョージ・クルーニーもゲスト出演しています。続編ではスティーブ・ブシェミが悪役のようで、こちらも観たいぞ!