GERROA SONGS / ARCHER PREWITT
弾力形状弛緩系マンガ「SOF’BOY」の作者のソロ・アルバムを買ってみました。早い話がシー・アンド・ケイクのおっさんなんですが、かなり良いです。素晴らしいです。傑作です。冬の傑作と呼ぶにふさわしいような、静かに音が聞こえてくるイメージがストーブを炊いた部屋で聴くと一段と胸にジーンと染みますね。浜辺にひとりのおっさんとカンガルーの群れというジャケットも泣かせてくれます。
LOVERS ROCK “FAMILY SONG” [ 2002.02.11. 新宿リキッドルーム ]
出演:POLARIS、NATHALLIE WISE、special guest 永積タカシ
SPECIAL GUEST DJ:渡辺俊美
結論から言えば、フィッシュマンズとソウルセットは巨大すぎる存在なんだなということが、この日改めてわかったように思う。前身バンドと比較されてしまうことは非常につらいことだろうと思うけど、ポラリスには「光と影」という大名曲が出来ている以上、逃げずに戦って欲しい。おそらく日本で最高レベルの音とリズムを表現し得るプレイヤーがいるだけに、全てはオオヤユウスケにかかっているのかもしれない。ライブはとても気持ちのいいものだったが、手放しで絶賛するにはまだまだ早い、そんな状態。長い目で見守っていきましょう。ナタリーワイズはダメってわけじゃないけど、個人的には好きになれないというか、とにかくもどかしかったし、立って観てるのがつらかった。ビッケも座ったままで、無理やり自分を抑え込んでいるように思えて、その反動はいつかソウルセットで爆発してくれるのか? 頼むぞビッケ! そして、この日のおスペだった永積タカシはスーパー・バター・ドッグからひとりで登場。高野寛つながりで中村一義じゃないかと少しだけ期待してたけど、こっちでした。バター犬は全く聴いたことなかったのだけど、随分と渋い拓郎チックな歌を唄うんだなぁと思った。
NO FUTURE – A SEX PISTOLS FILM
監督:ジュリアン・テンプル
THE FILTH AND THE FURY [ 1999年 イギリス ]
1976年前後の日々を20年以上経過して冷静に振り返るメンバーたち。労働者階級の社会の底辺から運命としか言いようのないタイミングでパンクロックをクリエイトしてしまった彼らの真実の証言は、どれもこれも興味深くて聞き入ってしまう。マルコム・マクラーレンの天才的な口車とともに物事が起こってしまってからは、どんなに冷静なジョン・ライドン(ジョニー・ロットン)をしてもバンドをコントロールすることはできなかった史実。特にグレン・マトロックが抜けて、ピストルズの熱狂的ファンでありジョンの親友だったシドが加わってからの悲劇は伝説を肥大化させたが、バンドの存在とシドの生命を消したあまりに惨いものだった。「あのときもう少し賢ければ」と自分がシドを救えなかったことを悔いるジョンの涙がとても印象深い。シドの生き様についてはゲーリー・オールドマンが彼を演じた『シド・アンド・ナンシー』をあわせておすすめしておきます。
HIGH LLAMAS / SEAN O’HAGAN
お馴染みハイ・ラマズのショーン・オハーガンがマイクロディズニー解散後にリリースした唯一のソロ作(1990年発表)。その後はこれのアルバムタイトルをバンド名にして活動してるわけで、ファンならば気になる作品と言えるのでは。独特のほんわかムードもこの時点からあるにはあるけれど、『HAWAII』のように寝てしまうほどの威力はまだない。ギター中心のサウンドでメロディがとてもしっかりしています。素朴ながら惹かれるものが多い愛聴盤。意外なほどヴォーカルで熱唱してるのが微笑ましくて良いです。
35 STONES / 斉藤和義
すごくオーソドックスな形で構成された楽曲で占められた、斉藤和義の歌心が存分に伝わってくるアルバム。君と僕の狭い世界で巻き起こる夢や日常をスケッチしたり、本来男が持つ優しさや弱さといった心情を吐露するロマンチックな歌うたいとして、とても魅力を感じる。やっぱりどうしても特に女の子の前だとうまく格好がつかないものだけど、いろいろ考えたり思ってたりしてるわけですよ。♪君は月の向こう側へ行ってみようとはしゃいでる 「確かめたいの」 僕は夢の向こう側へ行ってみたいと願ってる 「叶うはずだ」
奥田民生 [ 2002.01.31. 川崎クラブチッタ ]
いきなり「さすらい」って、どうよ? そのあと「愛のために」って、どうよ? それから「股旅(ジョンと)」、「野ばら」って!! どんなに川崎の客のガラが悪かろうと(民生のMCより)、盛り上がって仕方がないっちゅーねん! 最高潮かつ絶好調。終了したばかりのツアーとは、しっかり異なるメニューを仕込んできてくれた民生に感謝。体の中の熱い血がグルグル躍って、会場全体の熱量も真冬の空気を吹き飛ばすに申し分ないものだった。ベースの根岸さんが、昔に藤井フミヤからツアー衣装で買ってもらったというスーツを着用していて、それを散々民生にいじられてたのが可笑しい。しかしながら、バンドのコンビネーションの冴えたるや、演奏へのスイッチの入れ替えは見事。いつにも増してロケンローな展開で、今回も最高にいいもの観れました。嬉し楽しい素敵な夜をありがとう。
1.さすらい 2.愛のために 3.股旅(ジョンと) 4.野ばら 5.The STANDARD 6.カッコマンブギ 7.マシマロック 8.最後のニュース 9.CUSTOM 10.あくまでドライブ 11.手紙 12.哀愁の金曜日 13.MILLEN BOX 14.BEEF 15.イージュー★ライダー 16.ルート2
encore 1
17.月を超えろ
encore 2
18.近未来
WHEN YOU WERE A BEAUTY / GREAT3
前作『MAY AND DECEMBER』で新たな境地を切り開いた彼らが、その勢いを加速させて、わずか9ヶ月のインターバルで発表した今回のアルバム。引き続きジョン・マッケンタイアと組んだシカゴでのコラボレーションはさらに熟成と自信を深めたものへと発展。そのサウンドプロダクツの秀逸さとともに、GREAT3の詞の世界が耳とココロをトリコにして離さない。これは本当に素晴らしい作品だ。
ゲンセンカン主人
監督:石井輝男
[ 1993年 日本 ]
つげ義春の漫画作品の中から「季さん一家」「紅い花」「ゲンセンカン主人」「池袋百点会」の4話を映像化したオムニバス作品。すべて佐野史郎主演というわけで、大のつげファンである彼の念願の企画だったようだ。4話をつなぐサイドストーリーは別として、かなり原作そのままに描かれており、その熱意と愛情に僕も拍手を送りたい。ほのぼのとしつつもゾクっとさせる人間描写とエロティシズム。クセのある役者が多数出演する中、最後はその全員に温かく見守られ、つげ義春本人も家族と共に登場してくれる。妙な清々しさがあってステキだった。
MONEY MARK [ 2002.01.28. 渋谷ON AIR EAST ]
大好きな曲をいろいろと演奏してくれたのは、もの凄く嬉しかった。例えば「CRY」「SOMETIMES YOU GOTTA MAKE IT ALONE」「TOMORROW WILL BE LIKE TODAY」「ALL THE PEOPLE」「PRETTY PAIN」。ファーストの代表曲を聴けたのは感激! でも大好きな曲を演奏してくれなかったのは、もの凄く悲しかった。例えば「ROCK IN THE RAIN」「MAYBE I’M DEAD」「HAND IN YOUR HEAD」。この3曲は絶対聴きたいレベルの大好きな曲だったのに! オープニングを務めたKID KOALAのわんぱくDJはターンテーブル3台使ったもので楽しかったし、その後のマニー・マーク(長髪にサングラスのお姿はみうらじゅんに似て蝶!)との共演もかなり見応えのあるものだった。最新作のラテンテイストもたっぷりで、ツインドラムが圧巻。マニー・マーク本人のキーボードは勿論自在に泣かせて楽しませてくれる。そして相変わらず遊びもたっぷり。こんなに楽しいのに、早く終わっちゃうなんて! 正味1時間弱だと、彼の場合思いっきり物足りないよぉ〜! 良かっただけに、無念なり。
1.BOX 2.INFORMATION CONTRABAND 3.LOVE UNDISPUTED 4.CHOCOCHIP 5.INSECTS ARE ALL AROUND US 6.PRETTY PAIN 7.ALL THE PEOPLE 8.PEPE Y IRENE 9.WELCOME 10.BALLOON 11.PUSH THE BUTTON 12.CRY 13.TOMORROW WILL BE LIKE TODAY 14.HARMONICS OF LIFE
encore
15. 16.MARK'S DRUM SOLO 17.SOMETIMES YOU GOTTA MAKE IT ALONE
AND ALL THAT COULD HAVE BEEN / NINE INCH NAILS
厳寒の1月、ニンの初来日をNKホールまで観に行ったものだけど、あれから2年も経ったんだなぁと思わせる2000年USツアーを収録したライブアルバム。この人の場合、音もヴォーカルも達者すぎるお方なので、ライブといっても原曲とそんなに変わることはないのだが、幾分生バンドの要素が加味されて、肉体的なダイナミズムが味わえる。少なくとも、あのライブを観た人は余計に盛り上がってしまうのではないだろうか。ステージをのたうちまわる豚、トレント・レズナーの姿は強烈な印象を残すものだった。RADIOHEADを存在で打ち負かすことができるのは、年を取ってきてるとはいえ、この男しかいないと思うのだが。「癒し」という生ぬるい言葉が蔓延する世の中を一蹴する本当に傷ついている人が求める音楽がここに凝縮。律義に全キャリアを網羅したベストな選曲にしてしまうトレントが好きだ。