奥田民生 [ 2001.10.30. 渋谷AX ]
奥田民生はカッコいい。有無を言わせぬ抜群のカッコ良さである。何度観ても、いつになってもその思いを変えさせない、圧倒的な奥田民生の世界を表現してみせる凄み。一挙手一投足一言一句一フレーズ全てが様になる彼の眩しすぎるオーラは一体なんなんだ? クラブクラスのスタンディング・ライブで間近にその姿を観て、完全に参った。参りました。登場後一曲目の「The STANDARD」からウルウル。その後何度もいっしょに歌を口ずさんでは涙腺がゆるくなりこみあげてきてしまう始末。巨大モニタービジョンの演出もなかなか凝ったもので、ユニコーン時代のメモリアル映像が流れ出したときはもう! 選曲もレアです。本当に素晴らしいよ。はぁーっ。ため息も出ますよ。ふはぁーっ。家に帰って「健康」を聴いて、ひとりまた泣きました。「♪幸せな毎日を過ごしてると思ってる/素晴らしい人生を生きてるよな気がしてる/陰で隠れて泣いてる」
1.The STANDARD 2.哀愁の金曜日 3.月を超えろ 4.夕陽ヶ丘のサンセット 5.ワインのばか 6.オーナーは最高 7.愛する人よ 8.健康 9.674 10.手引きのようなもの 11.新曲 12.最後のニュース 13.ときめきファンタジーIII 14.マシマロ 15.カヌー 16.手紙 17.近未来 18.イージュー★ライダー 19.さすらい 20.CUSTOM
encore
21.BEEF
KINGSIZE / THE BOO RADLEYS
あまりに静かなアナウンスのみの唐突の解散劇。『GIANT STEPS』以来の大傑作アルバムといえるこの『KINGSIZE』は最初からそのつもりで制作されたのだろうか。結局アルバムリリース後の日本ツアーも行われず消えてしまったわけで、3年近く経ったいまでも未だに解散を受け入れられない思いが続いている。CREATIONに終止符を打ったアラン・マッギー自身のモチベーションにも影響を与えたはずだ。おそらく売れてない98年発表のラスト・アルバム、機会があれば手にとって聴いて欲しいと思う。BOO FOREVER!
VESPERTINE / BJÖRK
アイスランドのエキセントリックな少女から世界を代表する21世紀母親へと変貌を遂げてきたビョーク。スワンと一心同体となった新作は音数を極力抑え、天性の生声を全面に押し出した非常に素晴らしいものとなっている。脇を固める敏腕音楽創造戦士たちのファンタスティックな仕事を差し押さえても、やはりビョークのボーカルは凄まじく圧倒的だ。彼女と同じ時代を生きていることを感謝したいと思う。アイドル視してた頃がちょっと懐かしい・・・。
グリーン・デスティニー
監督:アン・リー
臥虎蔵龍 / CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON [ 2000年 中国・アメリカ ]
真正面ハゲのチョウ・ユンファが渋い! 芸術的品位あふれるワイアー・アクション史劇で、しっとりしたラブストーリーに仕上げた、アン・リーの巧みな技が冴え渡る一本。静と動のリズム・呼吸が見事で思わず画面に引き込まれてしまいます。『マトリックス』以降、大流行のワイヤー・アクションに対し、あまりに優雅な美的センスを見せつけた本家の底力。竹林の決闘シーンは映像の歴史教科書に刻まれるべき傑作シーンだったと思う。
AND THEN NOTHING TURNED ITSELF INSIDE-OUT / YO LA TENGO
午前1時、雨が降っている。ヨ・ラ・テンゴを聴こう。とてもステキな音楽が流れ出す。静かな残響が、まるで毛布のように暖かく包みこんでくれる。ぼーっと過ごす、ゆっくりと流れる時間。お腹が空いた。ポテトチップスを食べよう。今日の一日も終わったと一息ついて午前2時。「YOU CAN HAVE IT ALL」のほんわかダンスをまた思い出してしまった。
CHANGE IS COMING / MONEY MARK
大好きなマニー・マークの新作は全編インストなので、素敵な歌声が聴けないのがかなり残念なところだけど、音楽はしっかり豊潤に聴かせてくれてます。ラテンの味がとても心地いいです。音楽を楽しむ発想がズバ抜けてる人なんだろうなぁと思ってしまいます。申し分ない実力、自由な表現、距離の取り方、ユーモアもたっぷりで親しみやすいという、なんてかっこいいのでしょう! 彼の場合、音楽的というより人間として憧れてしまいます。こういう大人になりたいものです。
高木ブー&ニューハロナ [ 2001.10.14. せいせきフェスティバル特設会場ステージ ]
CDを売りに聖蹟桜ヶ丘へ自転車で出かけたところ、たまたまやってたせいせきフェスティバルなる京王がらみの駅前イベントで高木ブーのハワイアンライブを観ることができた。実は僕とブーさんは同じ誕生日(3月8日)なので、ずっと親近感を抱いていたのだ。ついに生のお姿を拝見できて、非常に感動してしまいました。途中、あの雷様にも衣装替え! スゲーよ、本物だよ!! 受けようがスベろうが全く関係ない喋りとそのキャラが最高です。最後には、ばばんがばんばんばん♪の「いい湯だな」までやってくれて嬉しすぎ! ブーさん、ツインネック・ウクレレがカッコ良かったです。流石に上手い。前にNHK教育で加藤紀子とウクレレ教室やってたのを思い出してしまった。ウクレレ欲しいな。やってみたい!
ひかりのまち
監督:マイケル・ウィンターボトム
WONDERLAND [ 1999年 イギリス ]
人と人が出会いスレ違う、どこにでもある現代の生活模様。恋人同士や他人同士、夫婦や親子の人間関係。みんなギリギリのところで生きていて、ギリギリのところでつながっている。そんな登場人物たちに共感してしまうのは僕だけではないだろう。生まれてくる次の世代はもっと大変なんだろうなとふと思った。
HERE’S TO SHUTTING UP / SUPERCHUNK
先週の来日公演を見逃したことへの後悔が日に日に募るばかりである。枯れたサウンドとメロディで聴かせる彼らの最新作が、あまりに良い。ひとりちゃぶ台の前に座り、肉だんごとふりかけで昼ごはんを食べながら、音を消したテレビでは出雲駅伝が流れるという暗くて寂しいこの部屋のシチュエーションでも、この音楽が救ってくれる小さな幸せ。
回路
監督:黒沢清
[ 2001年 日本 ]
かなり根暗な映画だなと思った。黒沢清の色は映像にあらわれていたと思うけど、もうひとつ物足りなさを感じてしまう。インターネットの表現があまりにリアリティを欠いていて、そこから幽霊を結び付けていくのがちょっと辛かった。オカルトホラーとしても、都市生活への問題提起としても、内容が弱かったように思える。最初と最後の役所広司もこじつけっぽいし。黒沢作品の本格的なホラーをえなりかずき主演で撮ったら物凄くハマると思うのだけど、一度やってくれないかな。