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VESPERTINE / BJÖRK

ALBUM

VESPERTINE / BJÖRK

アイスランドのエキセントリックな少女から世界を代表する21世紀母親へと変貌を遂げてきたビョーク。スワンと一心同体となった新作は音数を極力抑え、天性の生声を全面に押し出した非常に素晴らしいものとなっている。脇を固める敏腕音楽創造戦士たちのファンタスティックな仕事を差し押さえても、やはりビョークのボーカルは凄まじく圧倒的だ。彼女と同じ時代を生きていることを感謝したいと思う。アイドル視してた頃がちょっと懐かしい・・・。

グリーン・デスティニー

CINEMA

グリーン・デスティニー

監督:アン・リー
臥虎蔵龍 / CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON
2000年 中国・アメリカ

真正面ハゲのチョウ・ユンファが渋い! 芸術的品位あふれるワイアー・アクション史劇で、しっとりしたラブストーリーに仕上げた、アン・リーの巧みな技が冴え渡る一本。静と動のリズム・呼吸が見事で思わず画面に引き込まれてしまいます。『マトリックス』以降、大流行のワイヤー・アクションに対し、あまりに優雅な美的センスを見せつけた本家の底力。竹林の決闘シーンは映像の歴史教科書に刻まれるべき傑作シーンだったと思う。

AND THEN NOTHING TURNED ITSELF INSIDE-OUT / YO LA TENGO

ALBUM

AND THEN NOTHING TURNED ITSELF INSIDE-OUT / YO LA TENGO

午前1時、雨が降っている。ヨ・ラ・テンゴを聴こう。とてもステキな音楽が流れ出す。静かな残響が、まるで毛布のように暖かく包みこんでくれる。ぼーっと過ごす、ゆっくりと流れる時間。お腹が空いた。ポテトチップスを食べよう。今日の一日も終わったと一息ついて午前2時。「YOU CAN HAVE IT ALL」のほんわかダンスをまた思い出してしまった。

CHANGE IS COMING / MONEY MARK

ALBUM

CHANGE IS COMING / MONEY MARK

大好きなマニー・マークの新作は全編インストなので、素敵な歌声が聴けないのがかなり残念なところだけど、音楽はしっかり豊潤に聴かせてくれてます。ラテンの味がとても心地いいです。音楽を楽しむ発想がズバ抜けてる人なんだろうなぁと思ってしまいます。申し分ない実力、自由な表現、距離の取り方、ユーモアもたっぷりで親しみやすいという、なんてかっこいいのでしょう! 彼の場合、音楽的というより人間として憧れてしまいます。こういう大人になりたいものです。

ひかりのまち

CINEMA

ひかりのまち

監督:マイケル・ウィンターボトム
WONDERLAND
1999年 イギリス

人と人が出会いスレ違う、どこにでもある現代の生活模様。恋人同士や他人同士、夫婦や親子の人間関係。みんなギリギリのところで生きていて、ギリギリのところでつながっている。そんな登場人物たちに共感してしまうのは僕だけではないだろう。生まれてくる次の世代はもっと大変なんだろうなとふと思った。

高木ブー&ニューハロナ [ 2001.10.14. せいせきフェスティバル特設会場ステージ ]

LIVE

高木ブー&ニューハロナ [ 2001.10.14. せいせきフェスティバル特設会場ステージ ]

CDを売りに聖蹟桜ヶ丘へ自転車で出かけたところ、たまたまやってたせいせきフェスティバルなる京王がらみの駅前イベントで高木ブーのハワイアンライブを観ることができた。実は僕とブーさんは同じ誕生日(3月8日)なので、ずっと親近感を抱いていたのだ。ついに生のお姿を拝見できて、非常に感動してしまいました。途中、あの雷様にも衣装替え! スゲーよ、本物だよ!! 受けようがスベろうが全く関係ない喋りとそのキャラが最高です。最後には、ばばんがばんばんばん♪の「いい湯だな」までやってくれて嬉しすぎ! ブーさん、ツインネック・ウクレレがカッコ良かったです。流石に上手い。前にNHK教育で加藤紀子とウクレレ教室やってたのを思い出してしまった。ウクレレ欲しいな。やってみたい!

HERE’S TO SHUTTING UP / SUPERCHUNK

ALBUM

HERE’S TO SHUTTING UP / SUPERCHUNK

先週の来日公演を見逃したことへの後悔が日に日に募るばかりである。枯れたサウンドとメロディで聴かせる彼らの最新作が、あまりに良い。ひとりちゃぶ台の前に座り、肉だんごとふりかけで昼ごはんを食べながら、音を消したテレビでは出雲駅伝が流れるという暗くて寂しいこの部屋のシチュエーションでも、この音楽が救ってくれる小さな幸せ。

回路

CINEMA

回路

監督:黒沢清
2001年 日本

かなり根暗な映画だなと思った。黒沢清の色は映像にあらわれていたと思うけど、もうひとつ物足りなさを感じてしまう。インターネットの表現があまりにリアリティを欠いていて、そこから幽霊を結び付けていくのがちょっと辛かった。オカルトホラーとしても、都市生活への問題提起としても、内容が弱かったように思える。最初と最後の役所広司もこじつけっぽいし。黒沢作品の本格的なホラーをえなりかずき主演で撮ったら物凄くハマると思うのだけど、一度やってくれないかな。

RADIOHEAD [ 2001.10.04. 横浜アリーナ ]

LIVE

RADIOHEAD [ 2001.10.04. 横浜アリーナ ]

opening act:CLINIC
僕にとってのRADIOHEADはセカンド『THE BENDS』に尽きる。いまだに聴くたびに物凄く興奮してしまう。「ロックは爆発だ」という名言は誰も吐いてないにせよ、『THE BENDS』はまさに爆発だった。ステージから割と近いアリーナ席に陣取り、まずはクリニックの演奏を楽しむ。2年前のNMEプレミアライブの映像では衣装も決めていた彼らだが、いまはマスクのみのようだ。思いのほか聴きやすい。なんかバウハウスみたいだなと思った。30分のセットチェンジを終え、いよいよ本家が登場。会場の空気がガラッと変わる。現在の地平を築いてきた彼らの歴史が濃厚に凝縮された2時間の圧倒的なステージに、すべてが奪われてしまったようだ。「MY IRON LUNG」「LURGEE」といった初期の曲が聴けたのは、どうにも嬉しくて仕方がない。『KID A』以降の曲群もこの場で目の当たりにすると、驚異的なインパクトを受けざるを得ない。こんなに超越した音を創っておきながら、アンコール演奏前のおどけた「カンパイ!」の掛け声を聞くと、なんて奇天烈なバンドなんだと思う。愛らしさも失われず、まさにワールドチャンピオンとしての貫禄も十分。最後に「THE BENDS」が聴けるなんて! さらにニール・ヤング「CINNAMON GIRL」のカバーまで! このロック的なダイナミズムが大爆発して終了した今日のライブが観れたことを心から感謝したい。本当にありがとう。素晴らしかった。

set list
1.THE NATIONAL ANTHEM 2.MORNING BELL 3.MY IRON LUNG 4.KARMA POLICE 5.KNIVES OUT 6.PERMANENT DAYLIGHT 7.CLIMBING UP THE WALLS 8.FAKE PLASTIC TREES 9.DOLLARS AND CENTS 10.AIRBAG 11.LURGEE 12.I MIGHT BE WRONG 13.PYRAMID SONG 14.PARANOID ANDROID 15.IDIOTEQUE 16.EVERYTHING IN IT'S RIGHT PLACE
encore 1
17.LUCKY 18.OPTIMISTIC 19.YOU AND WHOSE ARMY? 20.HOW TO DISAPPEAR COMPLETELY
encore 2
21.STREET SPIRIT (FADE OUT) 22.THE BENDS 23.CINNAMON GIRL
バトル・ロワイアル

CINEMA

バトル・ロワイアル

監督:深作欣二
2000年 日本

目が覚めるような映画だった。暴力描写が問題となり、国会でも話題になるほどだったが、文部省選定作品にならずとも映画は見事に大ヒットした。不謹慎かもしれないが、中学生がクラスメイトを殺しあうのは、とてもおもしろかった。矛先をルールを作った大人に向けても、かなわないと思い知るやその矛先は瞬間的に仲間たちに向けられる人間の性。愛や友情も次々と裏切られていくのは極限の精神状態だからであろうか。映画は確かに極限の状況だが、実際の社会でも自殺や殺人に追い込む危険な要素はいくつもあって、そうした事件は多発しているからこそ、積極的に見せるべきだったように思える。中には「いま、そこにある危機」を想定した肉体修行を積む寺門ジモンのような人間も5人くらい増えちゃうかもしれないけど、これは人を信じるなと言っているのではない。人を信じられない世の中にするなと言っているのだ。ラストの「走れ。」というメッセージに目の覚めるような感動を覚える傑作だと思う。