劇的な瞬間 / 斉藤和義
どうやら今年中のアルバムリリースはなさそうなので、シングルで我慢。シングルとしては「アゲハ」以来の曲なんだけど、「劇的な瞬間は僕が僕じゃないようで」だなんて、彼のキャリアの中でもベストと言えるんじゃないかと思えるほどの大名曲だぞ、これは。5月のライブでも披露してたけど、改めて聴くとさらに意味あるものとして浸透してくる。一人じゃないって思えることこそ、いちばん大事にしていきたいと思った。
ハイ・フィデリティ
監督:スティーブン・フリアーズ
HIGH FIDELITY
2000年 アメリカ
「失恋するから音楽を聴くのか。音楽を聴くから失恋するのか。」とはこの映画につけられたよくできたコピーである。当然ながら客観視できるわけもなく、なんとなくハッピーエンドで終わったのが良かったのかどうなのか。あの状況でヨリが戻るのは不思議でしょうがないが、階級の違ってしまっているキャサリン・ゼタ・ジョーンズを最低と思う気持ちや、一本入魂のテープ作りで他人の詞に自分の思いを託すところなど、大肯定できる場面がやはりほとんどだったりして。陰気な音楽ファンというのは、どうしてこうも難しい人種なんだろうね、まったく・・・。わかってくれるかなぁ、わかってほしいなぁ、わかってもらえないと困るなぁ、と思うのであります。♪High Fidelity・・・。
MODJO / MODJO
昨年、ヒットシングルを連発。リリースされたデビューアルバムもファンキーディスコポップチューン満載で、フランスのジャミロクアイといった様相だ。どれもおんなじに聞こえるけど、いい意味で何も考えずに聴くには最適の一枚。オフィシャル・サイトがなかなかカッコ良いです。上のALBUMアイコンからどうぞ。
クラークス
監督:ケヴィン・スミス
CLERKS
1994年 アメリカ
しがないコンビニ店員とビデオ屋店員のしょーもない会話の掛け合いをメインに軽快に楽しませてくれる、ヘンな客、友人、売人、ガールフレンドたちが織り成すショートコント集のような映画。僕も学生の頃、ビデオ屋でバイトしてたけど、座ってビデオ見てたり、がやがやお喋りしてたり、好き放題やってたもの。うっとおしいあいさつを強要するような社員教育のない個人経営の店でよかったよかった。いまはもうなくなってしまった店だけど、あそこにもいろんな客がいたものです。
GIRLS! GIRLS! GIRLS! / ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS
それは大学1年の前期試験直前の週末だったと思う。宮崎から飛行機で大阪へ飛び、コステロ&ジ・アトラクションズのライブをフェスティバルホールで観てカプセルホテルで一泊し、翌日また飛行機で帰宅。自分にとって初めての海外アーティストのライブが、1994年エルビス・コステロ&ジ・アトラクションズのブルータル・ユース・ツアーだった。いまのコステロとは比べ物にならない飛ばしまくりのアグレッシブなステージで、僕は当然のごとく打ちのめされてしまい現在に至るわけですが、その当時とにかくよく聴いてたのがワーナー移籍以前の楽曲がランダムにコステロ自身によって編集された、この2枚組アルバム。結局、コステロのアルバムは全部揃えてしまったけど、彼の天性のソングライターとしての魅力を知る入門編としてはいちばん最適だと思います。あれから7年の時間が流れた今、コステロのことを思い書くなんて、さながら「時からはずれた男(MAN OUT OF TIME)」? やっぱりでもこの人がいるおかげで僕は堂々と眼鏡をかけていられる、そのくらい大きい存在であることは今も変わりません。またアトラクションズとライブやってくれないかなぁ・・・。
ケイゾク/映画
監督:堤幸彦
2000年 日本
話題となった刑事ドラマの映画版は同じスタッフとキャストが作った悪ふざけ? かなり出来の悪いパロディでしかなくて、ドラマと同じテンションで観る必要は全然なかったようだ。途中から違和感アリアリの無理矢理というか完全に投げてるとしか思えないヘンな展開で、ダメさ加減が凄まじい。とにかくそのあまりあるギャップをチェックするという意味において楽しめる映画。やはり「ケイゾク」はドラマで完結していたということだ。ドラマの完成度は群を抜いて素晴らしいものだった。
ROXY MUSIC [ 2001.09.09. 東京国際フォーラム ホールA ]
ついに観てしまった、わが青春のロキシー・ミュージック。とっくに解散していたが、高校時代はなぜか70年代に染まっていて、なかでもお気に入りだったのがロキシーだったのだ。だからと言って、この果ての再結成ツアーに何かを見出すつもりもなく、けれど唯一のチャンスだし、愛というよりヤケクソな感じでしょうか。とにかく観に行ってきたわけです。会場の平均年齢は余裕で30歳オーバーながら、開演前の「ロキシー、チャ、チャ、チャ」のコール&手拍子にア然。思いっきりダサかったけど、熱い応援に嬉しくなってしまった。登場したバンドは大所帯でサウンドを完璧にカバーしていて、この辺のこだわりはさすがフェリーさん。ただ忠実に再現されていくサウンドは後期の曲にしっくりハマるものの、初期の下手なりにスリリングな感じを思えば少し無理があったかもしれない。それでも懐メロ大会のサービス満点といえる選曲は飽きさせず、非常に楽しいものだった。フェリーさんは年老いても前髪垂らしのふにゃふにゃダンスに力ない手拍子といったアクションは健在だったし、今日はこれが見れただけで満足。ショーを堪能して、思い残すこともなく、昔を思い出すこともなく、スッキリすることができました。VIVA!ROXY、名曲多いよなぁ…。
1.RE-MAKE/RE-MODEL 2.STREET LIFE 3.LADYTRON 4.WHILE MY HEART IS STILL BEATING 5.OUT OF THE BLUE 6.A SONG FOR EUROPE 7.MY ONLY LOVE 8.IN EVERY DREAM HOME A HEARTACHE 9.OH YEAH 10.BOTH ENDS BURNING 11.TARA 12.MORE THAN THIS 13.AVALON 14.DANCE AWAY 15.JEALOUS GUY 16.EDITIONS OF YOU
encore
17. LOVE IS THE DRUG 18.DO THE STRAND 19.FOR YOUR PLEASURE
スターダスト・メモリー
監督:ウディ・アレン
STARDUST MEMORIES
1980年 アメリカ
ウディ・アレン好きとはいえ、あまりに作品を量産してらっしゃる方なので、ところどころ取りこぼしてるわけですが、こいつがまたうなるほどの傑作でした。『アニー・ホール』、『マンハッタン』、『カイロの紫のバラ』をベスト3に挙げてしまいがちですが、これもかなり肉迫するくらい好きかも。ずば抜けた皮肉と笑いのセンスで気を抜かせたあとに、ほとばしるロマンチックな描写にノックアウト。シャーロット・ランプリングを見つめるシーンに恋人のいない僕も至福を感じてしまいました。でもこれは恋人のいるいないも、男も女も関係ないでしょう。アレン版『8 1/2』といえる彼の趣味・嗜好も色濃く出た、見応え十分、必見の一本。
3 / キリンジ
彼らを見出したかせきさいだぁは日に日に存在感を失っているように思えなくもない昨今でございますが、それこそ無趣味で地味な全く華のない兄弟=キリンジのこの売れっ子ぶりは正直予想できなかったです。テレビブロスにコラムを持つことはあっても(これがまたホトホト地味なのだ)、夏のツアー全公演完売になろうとは! これは世の中の価値観が変わってきてるのか、キリンジ側が歩み寄った結果なのか。まあでもこのアルバムは相当に素晴らしいものでした。「エイリアンズ」の世界観は何度聴いても秀逸。これからの季節にぴったりだなぁ。
まわり道
監督:ヴィム・ヴェンダース
FALSCHE BEWEGUNG
1975年 西ドイツ
人はそのときどきにおいて壁にブチ当たったり途方に暮れたりしてしまうものだ。僕にもよくあることだが、特に2ヶ月前は仕事もなく本当にどうしようもない状況で、とにかく徹底的に痛めつけられているような気分の毎日だった。そんな時にこの映画を観た。書けなくなった小説家が母親の勧めで旅に出て、その先々で出会う見知らぬ人達といつしか行動を共にする。非常に低いテンションで先の見えぬ旅を続ける姿につられるまでもなく気分はロウのままであったが、最後を締める「結局僕はまわり道ばかりしてるのかもしれない」という言葉が僕にとってかなりの救いだったのかもしれない。