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ドラッグストア・ガール

CINEMA

ドラッグストア・ガール

監督:本木克英
2004年 日本

エンドロールのバグルスが謎でしたが、面白かったです。黄昏男子の老いて甦る青春のトキメキ。大学生役のこんなラブリーな田中麗奈と知り合いになりたいです。彼女の主演作は『がんばっていきまっしょい』『はつ恋』『東京マリーゴールド』と、なかなか良いですね。

ロスト・イン・ラマンチャ

CINEMA

ロスト・イン・ラマンチャ

監督:キース・フルトン、ルイス・ペペ
LOST IN LA MANCHA
2001年 アメリカ、イギリス

狂人「ドン・キ・ホーテ」の物語を映画化するという、テリー・ギリアム監督10年来の企画を実現すべく、ついに動き始めた制作現場のメイキング・ドキュメント。撮影わずかにして、テリー・ギリアムの余りある夢と野望を御破算にさせてしまった、容赦ない現実の記録が痛々しく刻まれている。笑おうが泣こうが、そこにはファンタジーの入り込む余地すらない。制作中止となったこの企画を再度映画化することを監督は決意したらしいが、監督自身がドン・キ・ホーテになってしまうのか、なんとも救いが見出せないのが残念だ。立派な絵コンテがあるだけに、宮崎駿が買って、この際共同監督とかでアニメでも作っちゃえばいいのになぁ。ドン・キ・ホーテの呪い、日本では無理か・・・。『未来世紀ブラジル』と『フィッシャー・キング』は本当に大傑作でした。

ドッグヴィル

CINEMA

ドッグヴィル

監督:ラース・フォン・トリアー
DOGVILLE
2003年 デンマーク

舞台となる「ドッグヴィル」という小さな村を、これといったセットもなく、床に描いた白線だけで表現された、壮大な実験作というイメージが強すぎて、正直なかなか観るのに気乗りしなかったわけですが、観てよかった。面白いです。映画としてはかなりの挑戦だったと思うけど、ストーリーは明解。ラース作品に共通する人間の醜態を、壁のないセットなだけに筒抜けで撮りまくってます。そんな撮影環境を記録したメイキングドキュメント『ドッグヴィルの告白』も観てみると、構図によってはセット全体がカメラに写るため、ほぼ全編にわたって役者全員が芝居に集中しなければいけないという、そんな緊張と疲労がアリアリで、かなり過酷そうでした。しかもスウェーデンの山奥のスタジオに約2ヶ月の合宿状態。まあでも監督ラース・フォン・トリアーの精神状態が一番つらそうに見えましたが、映画作家としてどこまで突き進んでくれるのか、まだまだ興味が尽きない才能の持ち主だと思う。

ロスト・イン・トランスレーション

CINEMA

ロスト・イン・トランスレーション

監督:ソフィア・コッポラ
LOST IN TRANSLATION
2003年 アメリカ・日本

西洋人セレブの目線で綴る日本滞在記。結局のところ不思議の国ということで勝手に面白がられて終わっている薄いものでしかなく、何がよくてヒットしたのかさっぱりわからない、つまらない映画だった。外国人に受けるならまだしも、日本人がこれを面白いと思えるのか、かなり疑問だ。代官山で遊んでいる人たちなんか、全員頭悪そうだったしなぁ。ヴィム・ヴェンダースの『東京画』や『都市とモードのビデオノート』と比べれば全然たいしたことないし、オシャレでもなければ、アートでもない。映画のビル・マーレイが冷めた芝居をしていたように、冷めた気分で観てしまった。

華氏911

CINEMA

華氏911

監督:マイケル・ムーア
FAHRENHEIT911
2004年 アメリカ

マイケル・ムーア監督が自身の持論に信念を抱き、時論として発展させるために作り上げた、マイケル・ムーアなりの『ゆきゆきて神軍』ともいえる、今のアメリカ・ブッシュ政権へのカウンターとしてのドキュメンタリープロパガンダ映画。好きも嫌いも賛否両論いろいろあれど、この作品が2004年を最も象徴する映画として世の中に果たした役割は非常に大きいのではないだろうか。同時多発テロ発生以降、アメリカの主要メディアは政府のプロパガンダとしての性格を一層強めたといわれているこの時代、インターネットで知ることができる情報も確かに多いが、一般市民にとってこの映画で見る実際の映像のインパクトはものすごいものだと思う。そしてムーアの才能に拠るところが大きく、この映画は全米でも大ヒットした。アメリカの戦争はハリウッドの先行投資と言われたりもしてきたが、とうとう現行の政権そのものを敵とする、この映画がウケてしまった。「体制と犠牲、予定通り予定外、もうわからない!、責任者出て来い!」とは斉藤和義の歌の歌詞にあったけど、田中宇のサイトを読んだり、朝まで生テレビを見たりして、一般のテレビや新聞報道が伝えない情報を見聞きしても、アメリカ国家というのは混沌としまくっていて本当によくわからない。イラクで戦死した米軍兵士の母親が涙ながらに嘆く「知っているようで何も知らない」という言葉が、強烈なメッセージとして突き刺さる。

陽だまりのイレブン

CINEMA

陽だまりのイレブン

監督:アントニオ・カルロス・ダ・フォントウラ
UMA AVENTURA DE ZICO
1998年 ブラジル

ほのぼのレイクのCMが懐かしい、今となってはサッカー日本代表監督を務めるジーコのほのぼの主演映画。しかもジーコの一人二役! かたやマジメで論理的なジーコ本人「オリジナル」、そしてもう一方は陽気で無邪気なジーコ複製人間「ジーコピー」を熱演しています。ブラジル全国から選抜されたちびっこたちがジーコサッカースクールに招待され、ジーコから直接指導を受けながら、サッカーを学び楽しみ成長していく過程で、ジーコピーが作られる珍事件があったりという、楽しんで観るにはもってこいの映画です。ツッコミどころ満載ながら、こういう仕事も気取らずやってしまうジーコって、やっぱ素敵ですよ。代表監督でなんやかんや言われながらもなぜか結果を残しているように、この映画もブラジルでは大ヒットしたらしい。運も実力のうちと言うけれど、ジーコの強運は本物なのだろう。

太陽を盗んだ男

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太陽を盗んだ男

監督:長谷川和彦
1979年 日本

ジュリーこと沢田研二といえば、塚本晋也監督の『妖怪ハンター ヒルコ』での怪演がなかなか微笑ましかったものですが、やはりジュリーにとって銀幕のカルトスターの地位を決定付けたのは、この作品となるのだろう。U2が『How to Dismantle an Atomic Bomb(原子爆弾を解除する方法)』というアムバムを先ほどリリースしたばかりではあるけれど、この作品でジュリーが演じた中学理科教師は、東海村の原発からプルトニウムを盗み、なんと自らマンションの自室で原子爆弾を作り上げてしまう。伝説の日本映画とも呼ばれているだけの、異様な空気に満ちたエネルギーに翻弄されながら、最後の菅原文太との対決シーンは『DEAD OR ALIVE』の哀川翔VS竹内力のときのように興奮してしまいました。国家レベルのパワーを核によって手に入れたものの、野球のナイター中継を試合終了まで見せろ、ということ以外、自分が何がしたいのかわからない、と告白した主人公にグッとくるものがあった。

列車に乗った男

CINEMA

列車に乗った男

監督:パトリス・ルコント
L’HOMME DU TRAIN
2002年 フランス・ドイツ・イギリス・スイス

そのタイトル(邦題)からして、ヴィム・ヴェンダース初期のロードムービーのようなものを期待してしまいましたが、列車のカットはオープニングしかなくて、とんだアテ外れでありました。しかしながら、とある田舎町の駅で列車を降りた男(物静かな銀行強盗)と、その町に住むひとり暮らしの老紳士(銀行強盗を夢見る元学校教師)という、地味渋に描かれる男ふたりの短い友情物語は、かつて『タンデム』という作品がルコントにはありましたが、ユーモアのエッセンスも含めた哀愁がやたら切なくさせる良作だったと思います。

殺人の追憶

CINEMA

殺人の追憶

監督:ポン・ジュノ
MEMORIES OF MURDER
2003年 韓国

実際にあった未解決の連続婦女強姦殺人事件をもとに描かれた作品。韓国の田舎の風景と住民をのどかにユーモラスに見せて和ませつつ、次第にシリアスになっていく状況に引き込まれていく。手がかりらしい手がかりもなく、唯一犯人の可能性のある容疑者を問い詰める警官の姿は『セブン』のブラッド・ピットを思わせる極限の苦悩があった。実話通り事件の解決には至らぬも、おおいに見応えのある力強い作品だ。

チェ・ゲバラ 人々のために

CINEMA

チェ・ゲバラ 人々のために

監督:マルセロ・シャプセス
CHE, UN HOMBRE DE ESTE MUNDO
1999年 アルゼンチン

10月9日はチェ・ゲバラの命日だった。革命家としての思想に決定的な影響を与えた南米各国を旅した若き日のチェを描いた『モーターサイクル・ダイアリーズ』は、是非とも観たい映画のひとつだが、そもそも彼とは何者なのかを知っておくにはちょうどいいドキュメント作品。生前の彼を知る、ともに闘い、間近で接してきた者たちによる証言の数々。キューバでの革命が成功後も安住の道を選ばず、つねに現場へと身を投じ、民衆の解放を信念として生きたがために、最後はボリビアで無残な死を遂げてしまったチェ・ゲバラ。しかし、だからこそ厚く信頼され、真のリーダーとしての魅力は、ジョン・レノンをして「あの頃世界で一番かっこいいのがゲバラだった」と言わしめたほど、彼の死後衰えることはない。