8人の女たち
CINEMA

8人の女たち

監督:フランソワ・オゾン
8 FEMMES [ 2002年 フランス ]
8人8様、カラフルで艶やかなフランス代表クラスの名女優による演技合戦ということで、さすがに魅せる魅せる。オシャレにキメキメなビジュアルと彼女たちの魅力でカモフラージュしつつも、時代設定が古いので映画としてはユルい方向でまとまってますが、オゾン監督特有のブラックな毒も微量ながら盛り込まれております。エマニュエル・ベアールのメイド姿は思いっきり反則な気もしながら、案の定、旦那様と関係していてお見事としか言いようがない。若手組ヴィルジニー・ルドワイヤンと『焼け石に水』に引き続いてのオゾン作品出演となるリュディヴィーヌ・サニエは思わず目で追ってしまうほど魅力的。アメリカのトップ女優を8人並べてもこの映画は作れないと思わせる、フランス女優の素晴らしさに見入ってしまった。

posted on 2004/01/07
バトル・オブ・シリコンバレー
CINEMA

バトル・オブ・シリコンバレー

監督:マーティン・バーグ
PIRATES OF SILICON VALLEY [ 1999年 アメリカ ]
アップルのスティーブ・ジョブズとマイクロソフトのビル・ゲイツ。現代のコンピューター社会を築いた有名すぎるこの二人を学生時代から遡った半生を描いたこの作品は、ノア・ワイリーとアンソニー・マイケル・ホールのなりきり演技も良く、あくまで人物像を中心に描いているので誰でも楽しめる内容ではあるが、ちょっとでもパソコンに興味があるならかなりおもしろく観れるはずだ。常に理想を追い求め、業界をリードしてきたジョブズに対し、ハッタリと商売人的嗅覚が天才的に冴えまくって成功したゲイツ。成功と失敗、パクりパクられのコンピューター業界。彼らの創世記におけるIBMとゼロックスのバカっぷりを見るに、大企業ってつくづく哀れだなぁと思う。世の中を激変させてしまったのが強烈にヘンな人達というのは、なんとなく誇らしい。映画ではフォローしてないが、ジョブズはアップルだけではなく、いまをときめくPIXERも作ったのだから凄いよなぁ。

posted on 2004/01/06
テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる
CINEMA

テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる

監督:ナム・ギウン
TEENAGE HOOKER BECAME KILLING MACHINE IN DAEHAKROH [ 2000年 韓国 ]
こいつは久々な金返せ!作品。1時間しかない映画の割に、トロくさく5分くらい引っ張った最初のタイトルロールの時点でダメな気がしたものですが、本当にヒドかったです。いわゆるエロ・グロ・ナンセンスといっても同人誌レベルの特別目新しいワケでもなく、これが韓国インディーズ映画として喝采を浴びたなんて、面白がって観てる人がいるとは何ともオメデタイ。長いタイトル同様の衝撃があるとしたら、それは凄まじい失望ということか。

posted on 2004/01/04
岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説 番長足球
CINEMA

岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説 番長足球

監督:宮坂武志
[ 2003年 日本 ]
竹内力、史上最高の壊れ役、カオルちゃんがここに再び! 定時制高校を舞台に少林サッカーとくっつけてみましたという安易な企画も、カオルちゃんという圧倒的にオリジナルなキャラによって、超B級へとスケールアップしてしまうところがすごい。また超B級にふさわしくゲストも船木誠勝、ムルアカというビデオ映画のフットワークの軽さを感じさせるワンダーな人選も見逃せない!

posted on 2004/01/02
モロ・ノ・ブラジル
CINEMA

モロ・ノ・ブラジル

監督:ミカ・カウリスマキ
MORO NO BRASIL [ 2002年 ドイツ・フィンランド・ブラジル ]
カウリスマキの兄の方、ミカ・カウリスマキによるブラジル音楽大好き追っかけドキュメント。ブラジルインディオ現住民族の儀式的な歴史の根本を感じさせる祭囃子としてひたすら打ち鳴らされるリズムに始まり、サンバはサンバであれど現代までサンバなりに移り変わっていった様々なスタイルのブラジルミュージシャンたちがめまぐるしく登場する。ライ・クーダとヴェンダースが追っかけした『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の面々がそれなりのオーラや説得力があったのに比べると、ブラジルの彼らは皆、一様にどこか素人臭いというか垢抜けない雰囲気があって面白い。ミュージシャンに限らずとも音楽と身近に暮らしていることが素敵に思えます。

posted on 2003/12/26
マッドマックス
CINEMA

マッドマックス

『マッドマックス』 監督:ジョージ・ミラー
MAD MAX [ 1979年 オーストラリア ]
『マッドマックス2』 監督:ジョージ・ミラー
MAD MAX 2 [ 1981年 オーストラリア ]
『マッドマックス/サンダードーム』 監督:ジョージ・ミラー、ジョージ・オギルヴィー
MAD MAX BEYOND THUNDERDOME [ 1985年 オーストラリア ]
マッドマックスシリーズ全3作をまとめて観なおす。まずはパート1。メル・ギブソンがとにかく若く、短髪のハンサムボーイぶりは今となってはすごく新鮮かも。当時は無名で演劇学校に通っていたという話だけに、メル・ギブソン主演と言えど、超低予算映画だったということは映画を観れば一目瞭然だ。しかし低予算だからこその斬新なアイデアが見事に冴えまくっている。登場するマシンへのこだわり、速い車はカッコイイと単純に思わせるスピード感溢れる映像と復讐の鬼となったマックスのキャラクターが強烈な印象を残すのだった。傑作。パート2は現代劇だったパート1からいきなり時代が飛んで核戦争後の未来が舞台。子供の頃に観た記憶があったのは、どうやら「2」だったようだ。パート1とのつながりは特になく、未来なのか原始なのか何だかエラいことになっているアナーキー加減がいかにもマッドマックスでおもしろい。問題はパート3だ。いちばん金がかかってはいるが、なんだこれ!? メル・ギブソンもよく出演したなぁと思えるほどガッカリの出来。敵の女ボスがティナ・ターナーというのも謎びっくりだが、最後の最後でマックスを追い詰めたかと思ったら高笑いして去って行くという物凄いオチをやってくれている。これ以上、続編が作られなかったのも納得と言ったところで、なんとパート4製作中とのニュースが! メル・ギブソン&ジョージ・ミラーのタッグはそのままとのことだが、期待していいのやら。インターセプターは復活するのか?!

posted on 2003/12/17
セッション9
CINEMA

セッション9

監督:ブラッド・アンダーソン
SESSION 9 [ 2001年 アメリカ ]
夜中に観ても全然眠くならない、久々に手応えのある強烈な心理サスペンスだった。ストーリーに関しては半分以上が実際の筋とは関係ないことだったりするのだが、閉鎖された精神病院という舞台がとにかく怖い! 宮崎にはコツコツトンネルと呼ばれる恐怖スポットがあるのだが、そのトンネルの先には廃病院がある。そこも外見からして相当恐ろしいオーラを放っているところだったのだが、何を思ったか若かりし頃に中を覗いたことがある。物が異常に散乱してて、真っ昼間でもそれはそれは不気味でさすがに本気で怖かったものです。そんな思い出もありつつで、この映画の雰囲気だけで十分スリリングでありました。

posted on 2003/12/04
ロジャー&ミー
CINEMA

ロジャー&ミー

監督:マイケル・ムーア
ROGER & ME [ 1989年 アメリカ ]
今年『ボーリング・フォー・コロンバイン』でアカデミー賞まで獲ってしまい、一躍有名になったマイケル・ムーアの長編ドキュメンタリー第一作。彼の地元ミシガン州フリントがゼネラル・モータース社の工場閉鎖を契機に失業者が溢れかえり街が荒廃していく資本主義社会下の不況の悲劇をまざまざと写し出している。この地元の現実をGMの会長ロジャー・スミスに見てもらいたいと彼らしく様々な接触を試みているわけだが、今作での突撃取材の成果はほとんど得られなかったのが現実だ。まだヒゲもなく若かったということなのかもしれないが、映画が各所の映画祭で賞を獲るなど認められたことは、彼のキャリアにとって非常に大きかったのではないだろうか。巨大なホテルやテーマパークを建設して、あっという間につぶれてしまう有り様は、僕の故郷宮崎に似て、いろいろと思ってしまう。この映画製作のために彼はあらゆる私財を売り払うだけに足らず、地元で賞金付きビンゴ大会を開催して資金を賄ったらしい。東京都のお台場カジノ計画も、実現していれば物凄い財源を生み出していたのかもしれない。

posted on 2003/12/01
突入せよ!「あさま山荘」事件
CINEMA

突入せよ!「あさま山荘」事件

監督:原田眞人
[ 2002年 日本 ]
先日、群馬県にある川原湯温泉に行ってきた。数年後にはダムの完成とともに湖底に沈んでしまう運命にある切ない情緒が印象的な温泉地だったが、そこへの行きのバスでベテランらしきバスの運転手さんがいろいろとガイド的な薀蓄や季節の話題を披露してくれて、浅間山噴火による溶岩での被害のことも話してくれた。群馬と長野の県境に位置する浅間山。その浅間山の麓、軽井沢に河合楽器の保養所としてあったのが「あさま山荘」だ。1972年2月19日、5人の連合赤軍が人質をとり、あさま山荘に篭城。この戦後昭和の大事件のひとつ「連合赤軍あさま山荘事件」を当時警察庁から派遣され現場で任務にあたった佐々淳行(映画では役所広司が演じるその人)による原作を映画化したのが今作である。映画が進むにつれ感じる事件そのもののスケールの小ささは、ちょっと興醒めかもしれない。この事件では現場も会議室もバカばっかりだったんだなぁという皮肉がたっぷりだ。所詮、組織は有能無能をひっくるめての足の引っ張り合いか。ラストにおける任務終了の達成感より虚脱感の大きいこと。

posted on 2003/11/13
ニューヨーク1997
CINEMA

ニューヨーク1997

監督:ジョン・カーペンター
ESCAPE FROM NEW YORK [ 1981年 アメリカ ]
ジェームズ・キャメロンも裏方で働いたジョン・カーペンターの代表的カルト映画。舞台に設定されている1997年がすっかり過去になってしまったわけですが、このSF映画は最高でしょう。はっきり言ってB級だけど、そこも含めて無性にかっこいいんだよなぁ。犯罪の増加によりニューヨーク・マンハッタン島全体が監獄とされた1997年。そこにハイジャックされた大統領専用機が墜落し、大統領を救うために派遣されたのが元特殊部隊にいた犯罪王スネーク。ニューヨークが囚人だらけだからなんかすごくえらいことになってて、出てくるキャラクターがクセものだらけでおもしろい。囚人のボスがアイザック・ヘイズだったりキャスティングもいいです。最後にスネークが大統領に言うセリフがシビれます。あなたを救うために大勢の人が死んだが、そのことをどう思う?

posted on 2003/09/13

PAGE TOP