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スクール・オブ・ロック

CINEMA

スクール・オブ・ロック

監督:リチャード・リンクレイター
SCHOOL OF ROCK
2003年 アメリカ

ジャック・ブラック、アッチョンブリケー!な最高傑作。ガチガチに規律厳しい私立学校の子供たち(現場では音楽コンサルタントを担当したジム・オルーク直伝の教育を受けた精鋭子供バンド!)にロックのすべてを情熱たっぷりに闘魂注入しまくるという、ジャック・ニコルソンばりの怪演でひたすら楽しませてくれる完璧なハマリ役。ロック好きにはたまらないのは当たり前で、観る人を問わない普遍的な面白さが詰まったこの映画をカルトなもので終わらせるのはあまりに勿体無い。頼りない友人役でもあったマイク・ホワイトの脚本も素晴らしく、散々笑わしてくれるものの、ジャック・ブラック先生が放つセリフはストレートに心を打ち抜くものばかりだ。さらばハリー・ポッター。熱血感動、血行促進。大人も子供もロックにトキメくこと間違いなし。エンドロールまで必見です。

トーク・トゥ・ハー

CINEMA

トーク・トゥ・ハー

監督:ペドロ・アルモドバル
HABLE CON ELLA
2002年 スペイン

変態開放路線とでもいうか、そんな独自のスタイルを確立してきたアルモドバルも、近年はだんだんとシリアス路線の作品を発表している。前作『オール・アバウト・マイ・マザー』と今作で連続してアカデミー賞を獲得するなど、評価と知名度も世界的なレベルに達した巨匠といってもいいかもしれない。個人的には『オール・アバウト・マイ・マザー』があまりフィットしなかったのだが(『ライブ・フレッシュ』も素晴らしかったけど、やはり『キカ』あたりまでの作品が好きだ)、今作はグッと見入ってしまいました。アルモドバルらしい異常性愛を描いてはいれど、変態性というより、人間の性そのものを深く見つめた傑作。

テープ

CINEMA

テープ

監督:リチャード・リンクレイター
TAPE
2001年 アメリカ

『スクール・オブ・ロック』でついにメジャーでも決定打を放ったリチャード・リンクレイター監督が、ちょっと前に低予算で撮りあげた注目の一本。イーサン・ホーク、ロバート・ショーン・レナード、ユマ・サーマンの3人のみのキャストで、とあるモーテルの一室のみで描かれる密室劇。同級生が久々の再会を果たし、かみ合っているようでかみ合ってないような微妙な間合いの会話が同じ時間軸で進行していくという、焦らしの展開ではあるのだが、3人の確かな演技力と、リンクレイター本人が時間を掛けたというだけのことはある巧みな編集裁きでもって、緊張感と興味を失うことなく、最後まで楽しむことができた。ドラッグでハイになりっぱなしのイーサン・ホークと過去のレイプを告白するロバート・ショーン・レナードに、かつて『いまを生きる』で共演した二人だけに、時の流れを感じてしまう。

カフェ・オ・レ

CINEMA

カフェ・オ・レ

監督:マチュー・カソヴィッツ
METISSE
1993年 フランス

いまとなっては『アメリ』が恋する男役で有名になったマチュー・カソヴィッツの監督デビュー作。監督作では『憎しみ』のイメージが強いため気鋭の社会派に捉えられがちだが、この作品は実に楽しいラブコメであります。マチュー・カソヴィッツ本人も『アメリ』に通じるチャーミングな役柄を好演。彼が演じる集合住宅に暮らす白人(ユダヤ人)と外交官一家のおぼっちゃまの黒人。その彼らを二股していた共通のガールフレンドが妊娠を告白したことで、てんやわんやの三角関係が描かれていく。恋愛模様に人種を絡めた、ある意味『憎しみ』にもつながる内容はなかなか鋭く、カフェ・オ・レという邦題はなるほど!と思ってしまった。『憎しみ』よりも、こっちを勧めるようにしましょう。ヴァンサン・カッセルも出ています。

アダプテーション

CINEMA

アダプテーション

監督:スパイク・ジョーンズ
ADAPTATION
2002年 アメリカ

センセーションを巻き起こした『マルコヴィッチの穴』再びの監督&脚本家によるコンビ第2作。脚本家チャーリー・カウフマンがなんと自分自身役を登場させる飛び技でもって、『マルコヴィッチの穴』で成功と名声を得た後の新作の脚本がうまく書き進められないスランプで悩み苦しむストレスをヤケクソで描いているように見えて、なんのこれしきチャーリー・カウフマンはやはりタダモノではないなと唸らずにはいられない映画でありました。現実世界の状況がいつしかファンタジーゾーンに入り込んでいる巧みな展開で、不思議な感覚に魅せられます。本人役が映画の中で動いているだけに、チャーリー・カウフマンの双子の弟ドナルド(ニコラス・ケイジの二役)なんて、途中まで半信半疑ながらも実在するのだろうなと思っちゃいますよ。脚本ばかりに焦点が当てられがちですが、役者も監督も力量ほとぼしる立派な仕事っぷりで、スパイク・ジョーンズのこだわりが炸裂してたオープニングは本当に素晴らしかった。

ブロンド・ライフ

CINEMA

ブロンド・ライフ

監督:スティーブン・ヘレク
LIFE OR SOMETHING LIKE IT
2002年 アメリカ

アンジェリーナ・ジョリーの美女っぷりを確認するにはもってこいの一本。「一週間後に死ぬ」という予言を聞いてしまった彼女が、残りわずかな人生をどうやり抜くか、その苦悩と行動を描いた、ちょっとシリアスだったりするラブコメ。似たようなので、医者に余命わずかという話を勝手に聞き違えて、人間変わったように奮闘する『天国に行けないパパ』というのもありましたね。彼女に関しては初期の2本、独特の風貌が魅力的に思えた『サイバーネット』、元夫ビリー・ボブ・ソーントンと結ばれるに至った『狂っちゃいないぜ』、この2本がやっぱり良いですが、今作も『陽のあたる教室』『ビルとテッドの大冒険』のスティーブン・ヘレク監督らしい、良作です。

僕の妻はシャルロット・ゲンズブール

CINEMA

僕の妻はシャルロット・ゲンズブール

監督:イヴァン・アタル
MA FEMME EST UNE ACTRICE
2001年 フランス

『愛を止めないで』と『ラブetc.』で共演したふたりが結婚したときは「えっ!?」と動揺にも似た驚きを発したのも、今は昔。夫イヴァン・アタルが監督し、まんま夫婦役というか、ほぼ自分を演じているかのようなこの作品ですが、昨今のフランス映画の中では断トツに面白い。盲目的に夫婦だけで盛り上がっているカスみたいな映画が多々あるなかで、妻シャルロットの映画撮影を発端に、二人のスレ違いが赤裸々に描かれていく様に、逆にこっちがハラハラしてしまうほど。もちろん話は全部フィクションなんだけど、共演者テレンス・スタンプに嫉妬しまくりのイヴァン・アタルが最高に面白くて楽しませてくれる。シャルロットの方もリュディヴィーヌ・サニエにちょっと嫉妬したりと、まあ二人がお互い嫉妬しあうというのはアツアツってことのようで、よろしいのではないかと。

殺人魚フライングキラー

CINEMA

殺人魚フライングキラー

監督:ジェームズ・キャメロン
PIRANHA II : FLYING KILLERS
1981年 アメリカ

お気楽すぎるB級パニック映画ですが、これこそジェームズ・キャメロンの監督デビュー作なのだ。後に撮り上げた『アビス』や『タイタニック』といった海映画の大作を思えば、ここでの最初の経験も大きかったはず。しかしながら、最後は沈没船を爆破して終わっちゃうのだけど、そんなの全然解決にならんだろうと、その強引さが切なくも可笑しい。ジョーズは一匹だったからわかるけど、突然変異殺人ピラニアはすごくたくさんいるんだもんなぁ。で、この殺人ピラニアなんですが、当局がトビウオとの性質を合体させたという話で、空を飛びまわって人を襲うのです。前代未聞ですよ。しかも、羽と化したヒレをバタつかせると同時に、なぜかヒヨコのようにピヨピヨ音出してて、大笑い。おもしろいよ。

黄泉がえり

CINEMA

黄泉がえり

監督:塩田明彦
2003年 日本

3週間限定公開というささやかな映画作品のつもりが、まさかのロングラン大ヒットで2003年興行収入第4位となる30億7000万円を記録した話題の作品。業界もびっくりのヒットの仕方といい、主題歌もヒットしたことといい、ストーリーの内容といい、これはまさに日本版『ゴースト』ではないか! この映画でいちばんのファンタジーは田中邦衛の娘を伊東美咲が演じていることだと思うのですが、高校のときに観た『ゴースト』がすごく好印象だったように、この『黄泉がえり』もなかなか楽しめました。

ガキ帝国

CINEMA

ガキ帝国

監督:井筒和幸
1981年 日本

いまやタレント、コメンテーターとして茶の間に浸透している井筒監督の初期作品。若き日の紳助竜介を主役に据えた大阪アウトサイダーグラフィティといった内容で、不良同士によるケンカ映像が絶え間無く繰り広げられる。かなり粗いつくりではあれど、粗さがむしろ時代と映画の空気をより鮮明に描き出している。ヤクザな上岡龍太郎が、少年院あがりの不良という紳助より、ずっとリアルだった。