ズーランダー
CINEMA

ズーランダー

監督:ベン・スティラー
ZOOLANDER [ 2002年 アメリカ ]
すっかりコメディ俳優としてお馴染みベン・スティラーの『リアリティ・バイツ』『ケーブル・ガイ』に次ぐ監督第3作。自身がスーパーモデル役で主演というわけで、想像通りバカ映画ではあるけれど、彼が積み上げてきたキャリアの成功を思わせる出演者&ゲストが凄くて、トム・フォードからデビッド・ボウイまでという豪華さはさすがに観ていて楽しい。あくまでド派手なイメージだけで描くには無理がありすぎるファッション業界も80年代チックな設定であればバカに徹底できるという、やはり80年代というのはアメリカにとってポップで幸せな時代だったのかもしれない。本編終了後の特典映像はかなりしつこかったです。

posted on 2003/09/09
座頭市喧嘩旅
CINEMA

座頭市喧嘩旅

監督:安田公義
[ 1963年 日本 ]
たけちゃんの『座頭市』が何かと話題なので、勝新の座頭市を観る。勝新太郎の座頭市は誰もが見れば納得。いま観ても物凄く面白い。盲目にして居合斬りの達人、座頭市。座頭市はヤクザである。こんなヤクザ時代劇が寅さんと同じくかつて昭和の正月映画として人気を博していたのは、何と言ってもこのアウトローのヒーローが斬新でカッコ良かったからだろう。今回の『座頭市喧嘩旅』はシリーズ第5作。見事過ぎる殺陣シーンは勿論のこと、ヒロインの娘・藤村志保と旅をする座頭市との清純な関係がなかなか見所です。結構、饒舌なところも魅力的であります。

posted on 2003/09/08
少林サッカー
CINEMA

少林サッカー

監督:チャウ・シンチー、リー・リクチー
少林足球 [ 2001年 香港 ]
先日、テレビ東京で深夜にあった『食神』をビデオに録画して、数年振りに観直してみた。やっぱり思いっきり面白い。当時いちばんの衝撃は『天使の涙』でヒロインを演じたカレン・モクが呆れるほどの壊れっぷりをさらしたその女優魂にあったわけだが、ミスター味っ子さながらのコテコテオーバーアクションを安っすい映像で強烈なインパクトを与える笑撃的手法はこのとき既に完成されていたのだった。はっきり言って『少林サッカー』と『食神』は80%以上同じである。少林寺と料理というびっくりな融合を果たした『食神』であったが、それがまんま少林寺とサッカーの融合に置き換わっただけと言ってもいいくらい話の筋も同じである。『食神』ではカルトだったチャウ・シンチーが『少林サッカー』でついに日本でもメジャーな知名度を獲得したのはとても喜ばしい。

posted on 2003/08/23
ドニー・ダーコ
CINEMA

ドニー・ダーコ

監督:リチャード・ケリー
DONNIE DARKO [ 2001年 アメリカ ]
この映画って『メメント』よりずっと面白いのに、リワインド・ムービーとか言われちゃったのが間違いだったように思える。オープニングのエコー&ザ・バニーメン「キリング・ムーン」に思いっきり反応してしまった人は、おそらくこの映画の凄みにハマっていくのではないだろうか。無気力な衝動を孕んだ学校生活。ティーンエイジャーとは、まさにドニー・ダーコとしか言いようがない。ティアーズ・フォー・フィアーズの長回しシーンにも凄く沸き立つものがありました。久々に見たゴースト・ダーティーダンシング、パトリック・スウェイジがかなりの異彩を放っていたこともポイント高し。

posted on 2003/08/22
セクレタリー
CINEMA

セクレタリー

監督:スティーブン・シャインバーグ
SECRETARY [ 2002年 アメリカ ]
精神病院を退院した女性が秘書として社会復帰した弁護士事務所でSMに目覚めるという物語。そこからサスペンスに発展したり、ラブストーリー的ロマンスに覆い尽くされたりはせず、あくまでSMで貫かれていたのには、思わず苦笑い。マギー・ギレンホールをトリコにする弁護士役のジェームズ・スペイダーがこれまた怪演しているのが嬉しいところ。『セックスと嘘とビデオテープ』みたく、やはり屈折した役どころは似合うなぁ。

posted on 2003/08/21
シティ・オブ・ゴッド
CINEMA

シティ・オブ・ゴッド

監督:フェルナンド・メイレレス
CIDADE DE DEUS [ 2002年 ブラジル・アメリカ・フランス ]
六本木ヒルズに行ってしまった。ただ、その恥ずかしさを圧してでも行って観るだけの価値は十分にあった作品だと思う。馴染みがあるようでサンバとサッカーの国ぐらいのものしかないブラジルの我々の認識は甘かった。リオデジャネイロのスラム街を舞台に仁義なき戦いといえるギャングたちの生き様、死に様を実話を元に歴史を追いつつ鮮烈に描かれた素晴らしく見応えのある作品だ。実に楽しく聴き応えのあるサウンドトラックと太陽の日差しがフィルムを爽やかに彩りながらも、常に死がそこにある究極の状況下で生き抜く生活者たちのギラギラした感覚は物凄いものがある。なおかつ青春映画でもあるわけで、そこのところも凄く好きだ。

posted on 2003/08/19
鬼が来た!
CINEMA

鬼が来た!

監督:チアン・ウェン
鬼子來了 [ 2000年 中国 ]
2000年のカンヌ国際映画祭グランプリ作品に香川照之が準主役として出演していたことで少し話題になった作品(ちなみに同年カンヌの実質ナンバーワンの賞であるパルムドールは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』だった)。監督のチアン・ウェンは本業はむしろ俳優のようで、『鬼が来た!』は監督第2作にあたるのだが、これは監督として物凄く立派であることを見せるには十分すぎる内容だ。単なる反戦、反日といったスローガンを掲げただけの戦争映画ではなく、あくまで戦争や死というものを独自の距離で見つめた映画。相当なリサーチをしたそうだが、中国映画において太平洋戦争中の日本軍がここまでしっかり冷静に描かれていることに驚かされる。農村を舞台に軍人と農民の奇妙な関係を笑いと緊張感で巧みに描きながら、戦争の狂気も暴き出すテンションに思わず凝視。香川照之も上手いが、軍人というより戦国時代の武将といった風格で、軍服着て日本刀持ってるからということだけではなく、戦における武士道とか大和魂といった精神的な部分を圧倒的に見せつける日本軍隊長を演じた澤田謙也が強烈な印象を残す。

posted on 2003/07/23
ロード・オブ・ザ・リング
CINEMA

ロード・オブ・ザ・リング

監督:ピーター・ジャクソン
THE LORD OF THE RINGS: THE FELLOWSHIP OF THE RING [ 2001年 アメリカ ]
ようやくビデオでその第一作「旅の仲間」を観た。これは物凄い作品だ。ほぼ同時期のファンタジー大作であるせいかクリス・コロンバスの『ハリー・ポッター』とよく比べられてはいるが、監督の資質の違いかこの『ロード・オブ・ザ・リング』は半端じゃなく面白い! 元々ピーター・ジャクソン監督は『ミート・ザ・フィーブル/怒りのヒポポタマス』や『ブレインデッド』の頃から贔屓にしてはいたけれど、悪趣味だったり偏執的だったりしても単に映像で気持ち悪がせるわけではなく、あくまでストーリーとして撮り上げて爽快なものにしてしまう天才的な演出の才能は目を見張るものがある。

posted on 2003/07/17
Dolls
CINEMA

Dolls

監督:北野武
[ 2002年 日本 ]
いわゆる世間一般のたけし映画に対する認知度、関心度は低いままだろう。話題となっても実際映画を観ている人は非常に限られているのではないだろうか。また、かつて『3-4×10月』や『ソナチネ』で熱を上げたファンも最近はいささか冷静になっているのかもしれない。しかし、ついに10作目となる『Dolls』はそんなヌルい空気に流されて見逃しては、自分は後悔していただろう。この重々しく切ない四季の彩りを静かに見つめながら、深く苦しい感動を味わう。山本耀司の衣装、人形浄瑠璃の舞台、抜群の映像美もさることながら、今作での菅野美穂の演技は特筆に価するものだった。

posted on 2003/07/11
エブリバディ・フェイマス!
CINEMA

エブリバディ・フェイマス!

監督:ドミニク・デリュデレ
IEDEREEN BEROEMD! [ 2000年 ベルギー、フランス、オランダ ]
歌手になって大スターになることを憧れる冴えない娘と、その夢を叶えようと娘の才能を本気で信じて奮闘する冴えない父親のシケた物語のように最初は思えるだろう。しかし、父親の勤めていた工場が不況で閉鎖になったあたりから、おもしろい方向へその親父が大暴走! ヤケクソな立場だといえ、偶然出会ったとてもきれいな大スターの女性歌手を誘拐してしまうのだ。ここまでやれたらステージパパとして立派と認めるしかないだろう。娘が歌う「ラッキー・マヌエロ」という曲があるのだけど、これが親父が作った自我自賛なものだけになかなか良くはないのだが、観終わっても妙に耳に残るんだな。ものまねのど自慢大会のマイケル・ジャクソンが絶妙に決めてたのがナイス。

posted on 2003/06/26

PAGE TOP