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突入せよ!「あさま山荘」事件

CINEMA

突入せよ!「あさま山荘」事件

監督:原田眞人
2002年 日本

先日、群馬県にある川原湯温泉に行ってきた。数年後にはダムの完成とともに湖底に沈んでしまう運命にある切ない情緒が印象的な温泉地だったが、そこへの行きのバスでベテランらしきバスの運転手さんがいろいろとガイド的な薀蓄や季節の話題を披露してくれて、浅間山噴火による溶岩での被害のことも話してくれた。群馬と長野の県境に位置する浅間山。その浅間山の麓、軽井沢に河合楽器の保養所としてあったのが「あさま山荘」だ。1972年2月19日、5人の連合赤軍が人質をとり、あさま山荘に篭城。この戦後昭和の大事件のひとつ「連合赤軍あさま山荘事件」を当時警察庁から派遣され現場で任務にあたった佐々淳行(映画では役所広司が演じるその人)による原作を映画化したのが今作である。映画が進むにつれ感じる事件そのもののスケールの小ささは、ちょっと興醒めかもしれない。この事件では現場も会議室もバカばっかりだったんだなぁという皮肉がたっぷりだ。所詮、組織は有能無能をひっくるめての足の引っ張り合いか。ラストにおける任務終了の達成感より虚脱感の大きいこと。

ニューヨーク1997

CINEMA

ニューヨーク1997

監督:ジョン・カーペンター
ESCAPE FROM NEW YORK
1981年 アメリカ

ジェームズ・キャメロンも裏方で働いたジョン・カーペンターの代表的カルト映画。舞台に設定されている1997年がすっかり過去になってしまったわけですが、このSF映画は最高でしょう。はっきり言ってB級だけど、そこも含めて無性にかっこいいんだよなぁ。犯罪の増加によりニューヨーク・マンハッタン島全体が監獄とされた1997年。そこにハイジャックされた大統領専用機が墜落し、大統領を救うために派遣されたのが元特殊部隊にいた犯罪王スネーク。ニューヨークが囚人だらけだからなんかすごくえらいことになってて、出てくるキャラクターがクセものだらけでおもしろい。囚人のボスがアイザック・ヘイズだったりキャスティングもいいです。最後にスネークが大統領に言うセリフがシビれます。あなたを救うために大勢の人が死んだが、そのことをどう思う?

ズーランダー

CINEMA

ズーランダー

監督:ベン・スティラー
ZOOLANDER
2002年 アメリカ

すっかりコメディ俳優としてお馴染みベン・スティラーの『リアリティ・バイツ』『ケーブル・ガイ』に次ぐ監督第3作。自身がスーパーモデル役で主演というわけで、想像通りバカ映画ではあるけれど、彼が積み上げてきたキャリアの成功を思わせる出演者&ゲストが凄くて、トム・フォードからデビッド・ボウイまでという豪華さはさすがに観ていて楽しい。あくまでド派手なイメージだけで描くには無理がありすぎるファッション業界も80年代チックな設定であればバカに徹底できるという、やはり80年代というのはアメリカにとってポップで幸せな時代だったのかもしれない。本編終了後の特典映像はかなりしつこかったです。

座頭市喧嘩旅

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座頭市喧嘩旅

監督:安田公義
1963年 日本

たけちゃんの『座頭市』が何かと話題なので、勝新の座頭市を観る。勝新太郎の座頭市は誰もが見れば納得。いま観ても物凄く面白い。盲目にして居合斬りの達人、座頭市。座頭市はヤクザである。こんなヤクザ時代劇が寅さんと同じくかつて昭和の正月映画として人気を博していたのは、何と言ってもこのアウトローのヒーローが斬新でカッコ良かったからだろう。今回の『座頭市喧嘩旅』はシリーズ第5作。見事過ぎる殺陣シーンは勿論のこと、ヒロインの娘・藤村志保と旅をする座頭市との清純な関係がなかなか見所です。結構、饒舌なところも魅力的であります。

少林サッカー

CINEMA

少林サッカー

監督:チャウ・シンチー、リー・リクチー
少林足球
2001年 香港

先日、テレビ東京で深夜にあった『食神』をビデオに録画して、数年振りに観直してみた。やっぱり思いっきり面白い。当時いちばんの衝撃は『天使の涙』でヒロインを演じたカレン・モクが呆れるほどの壊れっぷりをさらしたその女優魂にあったわけだが、ミスター味っ子さながらのコテコテオーバーアクションを安っすい映像で強烈なインパクトを与える笑撃的手法はこのとき既に完成されていたのだった。はっきり言って『少林サッカー』と『食神』は80%以上同じである。少林寺と料理というびっくりな融合を果たした『食神』であったが、それがまんま少林寺とサッカーの融合に置き換わっただけと言ってもいいくらい話の筋も同じである。『食神』ではカルトだったチャウ・シンチーが『少林サッカー』でついに日本でもメジャーな知名度を獲得したのはとても喜ばしい。

ドニー・ダーコ

CINEMA

ドニー・ダーコ

監督:リチャード・ケリー
DONNIE DARKO
2001年 アメリカ

この映画って『メメント』よりずっと面白いのに、リワインド・ムービーとか言われちゃったのが間違いだったように思える。オープニングのエコー&ザ・バニーメン「キリング・ムーン」に思いっきり反応してしまった人は、おそらくこの映画の凄みにハマっていくのではないだろうか。無気力な衝動を孕んだ学校生活。ティーンエイジャーとは、まさにドニー・ダーコとしか言いようがない。ティアーズ・フォー・フィアーズの長回しシーンにも凄く沸き立つものがありました。久々に見たゴースト・ダーティーダンシング、パトリック・スウェイジがかなりの異彩を放っていたこともポイント高し。

セクレタリー

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セクレタリー

監督:スティーブン・シャインバーグ
SECRETARY
2002年 アメリカ

精神病院を退院した女性が秘書として社会復帰した弁護士事務所でSMに目覚めるという物語。そこからサスペンスに発展したり、ラブストーリー的ロマンスに覆い尽くされたりはせず、あくまでSMで貫かれていたのには、思わず苦笑い。マギー・ギレンホールをトリコにする弁護士役のジェームズ・スペイダーがこれまた怪演しているのが嬉しいところ。『セックスと嘘とビデオテープ』みたく、やはり屈折した役どころは似合うなぁ。

シティ・オブ・ゴッド

CINEMA

シティ・オブ・ゴッド

監督:フェルナンド・メイレレス
CIDADE DE DEUS
2002年 ブラジル・アメリカ・フランス

六本木ヒルズに行ってしまった。ただ、その恥ずかしさを圧してでも行って観るだけの価値は十分にあった作品だと思う。馴染みがあるようでサンバとサッカーの国ぐらいのものしかないブラジルの我々の認識は甘かった。リオデジャネイロのスラム街を舞台に仁義なき戦いといえるギャングたちの生き様、死に様を実話を元に歴史を追いつつ鮮烈に描かれた素晴らしく見応えのある作品だ。実に楽しく聴き応えのあるサウンドトラックと太陽の日差しがフィルムを爽やかに彩りながらも、常に死がそこにある究極の状況下で生き抜く生活者たちのギラギラした感覚は物凄いものがある。なおかつ青春映画でもあるわけで、そこのところも凄く好きだ。

鬼が来た!

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鬼が来た!

監督:チアン・ウェン
鬼子來了
2000年 中国

2000年のカンヌ国際映画祭グランプリ作品に香川照之が準主役として出演していたことで少し話題になった作品(ちなみに同年カンヌの実質ナンバーワンの賞であるパルムドールは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』だった)。監督のチアン・ウェンは本業はむしろ俳優のようで、『鬼が来た!』は監督第2作にあたるのだが、これは監督として物凄く立派であることを見せるには十分すぎる内容だ。単なる反戦、反日といったスローガンを掲げただけの戦争映画ではなく、あくまで戦争や死というものを独自の距離で見つめた映画。相当なリサーチをしたそうだが、中国映画において太平洋戦争中の日本軍がここまでしっかり冷静に描かれていることに驚かされる。農村を舞台に軍人と農民の奇妙な関係を笑いと緊張感で巧みに描きながら、戦争の狂気も暴き出すテンションに思わず凝視。香川照之も上手いが、軍人というより戦国時代の武将といった風格で、軍服着て日本刀持ってるからということだけではなく、戦における武士道とか大和魂といった精神的な部分を圧倒的に見せつける日本軍隊長を演じた澤田謙也が強烈な印象を残す。

ロード・オブ・ザ・リング

CINEMA

ロード・オブ・ザ・リング

監督:ピーター・ジャクソン
THE LORD OF THE RINGS: THE FELLOWSHIP OF THE RING
2001年 アメリカ

ようやくビデオでその第一作「旅の仲間」を観た。これは物凄い作品だ。ほぼ同時期のファンタジー大作であるせいかクリス・コロンバスの『ハリー・ポッター』とよく比べられてはいるが、監督の資質の違いかこの『ロード・オブ・ザ・リング』は半端じゃなく面白い! 元々ピーター・ジャクソン監督は『ミート・ザ・フィーブル/怒りのヒポポタマス』や『ブレインデッド』の頃から贔屓にしてはいたけれど、悪趣味だったり偏執的だったりしても単に映像で気持ち悪がせるわけではなく、あくまでストーリーとして撮り上げて爽快なものにしてしまう天才的な演出の才能は目を見張るものがある。