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爆裂都市 BURST CITY

CINEMA

爆裂都市 BURST CITY

監督:石井聰亙
1982年 日本

考えるな、感じろ、と言うしかないような、ストーリー訳なしの徹頭徹尾イッちゃってる最高にムチャクチャな暴動フィルム。マッドマックスのような世界でスラムの連中、ロックバンド、ヤクザに警察とごっちゃごちゃに入り乱れての大乱闘が繰り広げられるエネルギーの過剰放出が凄まじい。触るもの皆傷つけまくりというか、暴れまくり。まさにすこぶる狂って候。当時ザ・ロッカーズだった陣内孝則率いるロッカーズとルースターズの混合バンド=バトルロッカーズと遠藤ミチロウ率いるスターリンの過激パフォーマンス合戦。リーダーの登場が爆笑を誘うコント赤信号。妖しいヤバさが滲み出てたヤクザ役の泉谷しげる。そして、さらにヤバかった町田町蔵! 「ヤバい」の本当の意味を知るには持ってこいの一本。

パコダテ人

CINEMA

パコダテ人

監督:前田哲
2001年 日本

北海道函館市内で銭湯を営む一家の二女に突然しっぽが生えてしまったことで巻き起こる大騒動ファンタジック・コメディ。子供っぽいという当たり前な感想も否定しないが、素直に好感の持てる面白い作品だと思う。「しっぷ」と「しっぽ」のダジャレから、ここまでの映画ができてしまう爽快な感じがステキだ。寅さん亡き後、こうした地方の庶民的な雰囲気がふんだんにあるだけでもニコニコほんわかしてしまいますよね。

K-19

CINEMA

K-19

監督:キャスリン・ビグロー
K-19:THE WIDOWMAKER
2002年 アメリカ

密室的緊張感のおかげでついつい見入ってしまいがちな潜水艦映画。今作は実話を元にした冷戦時代のソビエトを舞台に現代にも通じる原子力の恐怖を描いている。敵対するアメリカに武力を誇示するため突貫工事で完成させてしまった原子力潜水艦「K-19」の原子炉が故障したことから、乗組員たちの死を覚悟した放射能を大量に浴びながらの修理が行なわれるのだが、あまりに悲惨で本当にもう原子力発電所はシンプソンズのアニメの中だけで十分だと思えてしまう。原子力の問題は実体がよくわからないだけに恐ろしい。「安全だ、と言われている」という言葉の保証が一瞬で吹き飛んでしまうエネルギーに頼るしかないのだろうか。艦長をめぐるハリソン・フォードとリーアム・ニーソンの関係はどうでもよかったりしたわけだが、そんなことを考えさせる映画ではあったと思う。

スコルピオンの恋まじない

CINEMA

スコルピオンの恋まじない

監督:ウディ・アレン
THE CURSE OF THE JADE SCORPION
2001年 アメリカ

今年もしっかり一本仕上げたウディ・アレンの最新作。1940年代を舞台にマスター・キートンみたいな腕の立つ保険調査員をいつものように一言も二言も多いながらもスーツ姿でカッコ良くアレンが演じているのだが、催眠術にかかったときの寝ぼけた表情が最高に可笑しい。意外にも犯罪沙汰へと展開する巧みなストーリーで面白味は増大。職場のライバルを対等の口数で演じきったヘレン・ハントも良かったが、セクシー美女まんまの役柄だったシャーリーズ・セロンにうっとり。

フォロウィング

CINEMA

フォロウィング

監督:クリストファー・ノーラン
FOLLOWING
1998年 イギリス

『メメント』の成功により、その名を世界へ知らしめたクリストファー・ノーランのデビュー作がコレ。時間を何度も前後させながら、ひと癖あるサスペンスストーリーの謎解きが施されていく編集テクニックに限らず、誰しもが否定しきれない田代まさしレベルのちょっと異常な趣味や心理といった好奇心を煽る人間描写も巧い。

ビフォア・ザ・レイン

CINEMA

ビフォア・ザ・レイン

監督:ミルチョ・マンチェフスキー
BEFORE THE RAIN
1994年 イギリス・フランス・マケドニア

バルカン半島、マケドニアに根深く残るアルバニア人との民族対立。ドキュメント出身のマケドニア人監督によるこの長編第一作は様々な賞を獲得し傑作と評された。三部構成のオムニバスでありながら時間がひとつに結ばれる映画的手法も魅力的だが、それ以上に妥協のない物語を描き出す映像のインパクトに圧倒される。マケドニアの田舎の風景に時代を感じつつも、劇中流れるビースティ・ボーイズの「SO WHAT’CHA WANT」に映画の現実が決して古い話ではないことを印象付けられた。

パリの確率

CINEMA

パリの確率

監督:セドリック・クラピッシュ
PEUT-ÊTRE
1999年 フランス

とあるカップルの子供を作ることに積極的になれない男子が、SFコスプレ年越しパーティーの最中タイムスリップして、未来の自分の息子から「自分を作ってくれ」と数々の作戦で説得されるという物語。その息子をすっかり年老いた姿のジャン・ポール・ベルモンドが演じているという素敵なキャスティングに拍手! ガールフレンドの部屋に『気狂いピエロ』のポスターが貼ってあったのも可笑しい。フランス的なちょっとヘンなノリと発想がとても楽しい映画でした。監督は『猫が行方不明』とかも撮ってるおっちゃんです。

サウスパーク 無修正映画版

CINEMA

サウスパーク 無修正映画版

監督:トレイ・パーカー
SOUTH PARK BIGGER,LONGER & UNCUT
1999年 アメリカ

ビデオを借りたタイミングでTVブロスがサウスパーク特集をやっていたので、読むといろいろ詳しくなったのだけど、WOWOWで放送の日本語吹き替え版では田口トモロヲが声優やってるみたい。「プロジェクトX」然り、すっかり声も有名になっちゃいましたね。で、映画ですが、評判通り面白かったです。躊躇いや迷いといった思考を取っ払った、何もかも言いっぱなしのセリフ、やり捨てのアクションがギャグとしてサイコー!

キング・オブ・コメディ

CINEMA

キング・オブ・コメディ

監督:マーティン・スコセッシ
THE KING OF COMEDY
1983年 アメリカ

ロバート・デ・ニーロとマーティン・スコセッシのコンビといえば説明不用の『タクシー・ドライバー』や『ミーン・ストリート』といった傑作を生み出してきてるわけですが、この作品も非常に見応えのあるシリアスコメディであります。このどうにも胡散臭い自己陶酔型妄想大王三流芸人を演じたデ・ニーロの演技だけでも観る価値アリ。サイコな役をやろうが肉体改造とかしようが下手なヤツは下手だけど、こういうの観るとこの人は本当に大物だと思う。母親の声に邪魔されて「いま録音中だよ!」と怒鳴るシーンに、筋肉少女隊の「パンクでポン」を思い出してしまった。

おいしい生活

CINEMA

おいしい生活

監督:ウディ・アレン
SMALL TIME CROOKS
2000年 アメリカ

監督第31作目はドリームワークスの配給を受けたものの、全然大作という趣ではなく、中身はそのまんまの古いジャズのレコードが流れて始まるアレン映画。全く頭のキレない庶民レベルのコソ泥とその妻の中年夫婦漫才チックなやりとりが楽しいコメディで、貧乏人も成金もバカもインテリもまとめて風刺されているのが巧い。はははと笑えても、誰が良くて誰が悪いだなんて一概には言えないものですよね。物事の良し悪しも同じで、気分の持ちようでどうにでもなるもんだと、どちらかと言うと楽観的になれる、そんな面白味に満ちた映画でした。