R.E.M. [ 2005.03.16. 日本武道館 ]
待ち焦がれてのR.E.M.来日公演はモンスターツアー以来の10年振り。確かその10年前は武道館2日のみのタイトなものだったと思う。宮崎にいたハタチ前の僕には観に行ける余裕はなく、上京して7年、今回ついにようやく訪れたチャンスだった。10年来てないといっても、『モンスター』以降も、『NEW ADVENTURES IN HI-FI』『UP』『REVEAL』とコンスタントにアルバムを発表し、ツアー活動も続けていただけに、新作『AROUND THE SUN』を引っさげての今回のライブは、何ら懐かしさを感じさせない、堂々と2000年代も君臨するR.E.M.の今を見せつけるものだった。それでいて程よく過去の必殺の曲がブレンドされているものだから、たまらない。また、マジメにとらわれがちなバンドではあれど、マイケル・スタイプはステージアクションともどもモリッシーと並び評される変わった人で(ふたりは文通してた過去がある)、その変人っぷりが確認できたのも嬉しかった。大好きなバンドが観れるのは、本当に幸せなことだと実感できる力強く感動的なライブだった。
1.I TOOK YOUR NAME 2.BAD DAY 3.ANIMAL 4.THE OUTSIDERS 5.SEVEN CHINESE BROTHER 6.ELECTRON BLUE 7.DRIVE 8.HIGH SPEED TRAIN 9.ELECTROLITE 10.LEAVING NEW YORK 11.ORANGE CRUSH 12.I WANTED TO BE WRONG 13.FINAL STRAW 14.WALK UNAFRAID 15.THE ONE I LOVE 16.IMITATION OF LIFE 17.LOSING MY RELIGION
encore
18.WHAT'S THE FREQUENCY, KENNETH? 19.EVERYBODY HURTS 20.THE GREAT BEYOND 21.I'M GONNA DJ 22.MAN ON THE MOON
ロスト・イン・ラマンチャ
監督:キース・フルトン、ルイス・ペペ
LOST IN LA MANCHA
2001年 アメリカ、イギリス
狂人「ドン・キ・ホーテ」の物語を映画化するという、テリー・ギリアム監督10年来の企画を実現すべく、ついに動き始めた制作現場のメイキング・ドキュメント。撮影わずかにして、テリー・ギリアムの余りある夢と野望を御破算にさせてしまった、容赦ない現実の記録が痛々しく刻まれている。笑おうが泣こうが、そこにはファンタジーの入り込む余地すらない。制作中止となったこの企画を再度映画化することを監督は決意したらしいが、監督自身がドン・キ・ホーテになってしまうのか、なんとも救いが見出せないのが残念だ。立派な絵コンテがあるだけに、宮崎駿が買って、この際共同監督とかでアニメでも作っちゃえばいいのになぁ。ドン・キ・ホーテの呪い、日本では無理か・・・。『未来世紀ブラジル』と『フィッシャー・キング』は本当に大傑作でした。
音樂ノススメ / HALCALI
昨年末にこれが出てから、会社に持っていっては何気にいちばんよく聴いているかもしれないハルカリのニューアルバム。そもそも昨年度に行なった二度の広島遠征時にKOBさん宅で流してたPV集DVDで、二度ともシングル曲「マーチングマーチ」のPVを見てしまい、そこで刷り込まれたのが大きいわけでして、こうしてアルバムを買ってしまいました。いやはや、これはすごく良いですよ。一時期の山下達郎のように、どうにも唸らずにはいられない高性能かつポップに彩られた、ハルカリの二人の歌いっぷりも含めてプロフェッショナルな仕事が詰まった音楽となっております。
BEASTIE BOYS [ 2005.01.14. 日本武道館 ]
仕事で都合がつかなそうだったのでチケットも買わず、大方諦めてましたが、どうにかこうにか思い立って武道館へ。前座のル・ティグラはダメでも、8時までに行けば何とか間に合うかなぁと思っていたものの、7時45分に当日券買って入ったらすでに開演中。あとからわかったのですが、前座が6時半開演だったらしい。金曜の平日だというのに、バカヤロー! 肝心のオープニングDJが観れなかったのは、かなり残念でありましたが、結果15分くらいの遅刻で「SURE SHOT」からパーティ突入。ビースティの3人にDJのミックスマスターマイクを加えたシンプルな構成で、ステージも4つのスクリーンがあるだけながら、思いっきりエンターテインメントであり刺激感じまくりのアートでもある面白さに感動。VJもいい仕事してるなぁ。途中、マニー・マークとパーカッションを加えたムーディなラウンジバンド仕様にセットチェンジして、彼らのリラックス具合もまた妙に良かったり。6年前に横浜アリーナで観たときより、今回はずっと良いんじゃないか。そして今回もミックスマスターマイクの超絶DJプレイはスゴかった。遅刻は残念だったものの、踊って、刺激受けて、ちょっとスッキリしました。
1.MIX MASTER MIKE INTRO 2.BRASS MONKEY 3.ROOT DOWN 4.SURE SHOT 5.TRIPLE TROUBLE 6.THE BROUHAHA 7.PASS THE MIC 8.EGG MAN 9.SUPER DISCO BREAKIN' 10.SHAKE YOUR RUMP 11.MIX MASTER MIKE INTERLUDE 12.SABROSA 13.RICKYS THEME 14.LIGHTEN UP 15.SOMETHING'S GOT TO GIVE 16.AN OPEN LETTER TO NYC 17.BODY MOVIN' 18.ALL LIFESTYLES 19.RIGHT RIGHT NOW NOW 20.THREE MC'S AND ONE DJ 21.CH-CHECK IT OUT 22.SO WHAT'CHA WANT 23.INTERGALACTIC
encore
24.GRATITUDE 25.SABOTAGE
ドッグヴィル
監督:ラース・フォン・トリアー
DOGVILLE
2003年 デンマーク
舞台となる「ドッグヴィル」という小さな村を、これといったセットもなく、床に描いた白線だけで表現された、壮大な実験作というイメージが強すぎて、正直なかなか観るのに気乗りしなかったわけですが、観てよかった。面白いです。映画としてはかなりの挑戦だったと思うけど、ストーリーは明解。ラース作品に共通する人間の醜態を、壁のないセットなだけに筒抜けで撮りまくってます。そんな撮影環境を記録したメイキングドキュメント『ドッグヴィルの告白』も観てみると、構図によってはセット全体がカメラに写るため、ほぼ全編にわたって役者全員が芝居に集中しなければいけないという、そんな緊張と疲労がアリアリで、かなり過酷そうでした。しかもスウェーデンの山奥のスタジオに約2ヶ月の合宿状態。まあでも監督ラース・フォン・トリアーの精神状態が一番つらそうに見えましたが、映画作家としてどこまで突き進んでくれるのか、まだまだ興味が尽きない才能の持ち主だと思う。
ロスト・イン・トランスレーション
監督:ソフィア・コッポラ
LOST IN TRANSLATION
2003年 アメリカ・日本
西洋人セレブの目線で綴る日本滞在記。結局のところ不思議の国ということで勝手に面白がられて終わっている薄いものでしかなく、何がよくてヒットしたのかさっぱりわからない、つまらない映画だった。外国人に受けるならまだしも、日本人がこれを面白いと思えるのか、かなり疑問だ。代官山で遊んでいる人たちなんか、全員頭悪そうだったしなぁ。ヴィム・ヴェンダースの『東京画』や『都市とモードのビデオノート』と比べれば全然たいしたことないし、オシャレでもなければ、アートでもない。映画のビル・マーレイが冷めた芝居をしていたように、冷めた気分で観てしまった。
ピエール瀧とベートーベン [ 2004.12.24. 恵比寿リキッドルーム ]
昨年の7hoursで結成されたミラクルバンド、ピエール瀧とベートーベン(ピエール瀧/Vocal、ブラボー小松/Guitar Beethoven、ジニームラサキ/Bass Beethoven、吉村由加/Drum Beethoven、砂原良徳/Synthesizer Beethoven)がクリスマスイブに一夜限りの復活ライブ! 7hoursに行けず涙したあの日も良き思い出となる、最高に楽しいクリスマスパーティでありました! 運命のテーマ「じゃじゃじゃじゃーん」と歌いながら現れた瀧は裸にタキシード+シルクハット姿で、否が応にも見事に突き出た美腹(保険かけててもおかしくないほどケアが施されているのか毛一本生えてない芸術品)に目がいってしまう。そしていきなりカバーの選曲素晴らしく「ゴーストバスターズのテーマ」から狂乱の大宴会へと場内沸騰。人生時代の名曲も早々に炸裂し、「キンタマが右に寄っちゃった オールナーイトローング」という歌で盛り上がれる、こんな至福なクリスマスイブはないだろう。後半はジッパー付き赤ビキニパンツをくい込ませながら電飾付き緑の毛皮へと露出を高めて衣装チェンジ。出来すぎなまでに面白すぎます。兎にも角にも楽しくて楽しくて、終始ハイテンションで久々に汗をかきかきはしゃいでしまいました。これで気持ち良く晴れやかに年が越せそうです。来年、電気グルーヴとしての活動におおいに期待しています!
1.運命 2.Ghost Bustersのテーマ 3.オールナイトロング 4.バカ正則 5.さみしがりやの瀧 6.ちょうちょ 7.モテたくて・・・ 8.元祖・力医師 9.ジャンボタニシ 10.キラーポマト 11.俺が畳だ! 殿様だ! 12.富士山 13.ガリガリ君 14.あすなろサンシャイン
ending
餅まき
華氏911
監督:マイケル・ムーア
FAHRENHEIT911
2004年 アメリカ
マイケル・ムーア監督が自身の持論に信念を抱き、時論として発展させるために作り上げた、マイケル・ムーアなりの『ゆきゆきて神軍』ともいえる、今のアメリカ・ブッシュ政権へのカウンターとしてのドキュメンタリープロパガンダ映画。好きも嫌いも賛否両論いろいろあれど、この作品が2004年を最も象徴する映画として世の中に果たした役割は非常に大きいのではないだろうか。同時多発テロ発生以降、アメリカの主要メディアは政府のプロパガンダとしての性格を一層強めたといわれているこの時代、インターネットで知ることができる情報も確かに多いが、一般市民にとってこの映画で見る実際の映像のインパクトはものすごいものだと思う。そしてムーアの才能に拠るところが大きく、この映画は全米でも大ヒットした。アメリカの戦争はハリウッドの先行投資と言われたりもしてきたが、とうとう現行の政権そのものを敵とする、この映画がウケてしまった。「体制と犠牲、予定通り予定外、もうわからない!、責任者出て来い!」とは斉藤和義の歌の歌詞にあったけど、田中宇のサイトを読んだり、朝まで生テレビを見たりして、一般のテレビや新聞報道が伝えない情報を見聞きしても、アメリカ国家というのは混沌としまくっていて本当によくわからない。イラクで戦死した米軍兵士の母親が涙ながらに嘆く「知っているようで何も知らない」という言葉が、強烈なメッセージとして突き刺さる。
陽だまりのイレブン
監督:アントニオ・カルロス・ダ・フォントウラ
UMA AVENTURA DE ZICO
1998年 ブラジル
ほのぼのレイクのCMが懐かしい、今となってはサッカー日本代表監督を務めるジーコのほのぼの主演映画。しかもジーコの一人二役! かたやマジメで論理的なジーコ本人「オリジナル」、そしてもう一方は陽気で無邪気なジーコ複製人間「ジーコピー」を熱演しています。ブラジル全国から選抜されたちびっこたちがジーコサッカースクールに招待され、ジーコから直接指導を受けながら、サッカーを学び楽しみ成長していく過程で、ジーコピーが作られる珍事件があったりという、楽しんで観るにはもってこいの映画です。ツッコミどころ満載ながら、こういう仕事も気取らずやってしまうジーコって、やっぱ素敵ですよ。代表監督でなんやかんや言われながらもなぜか結果を残しているように、この映画もブラジルでは大ヒットしたらしい。運も実力のうちと言うけれど、ジーコの強運は本物なのだろう。
太陽を盗んだ男
監督:長谷川和彦
1979年 日本
ジュリーこと沢田研二といえば、塚本晋也監督の『妖怪ハンター ヒルコ』での怪演がなかなか微笑ましかったものですが、やはりジュリーにとって銀幕のカルトスターの地位を決定付けたのは、この作品となるのだろう。U2が『How to Dismantle an Atomic Bomb(原子爆弾を解除する方法)』というアムバムを先ほどリリースしたばかりではあるけれど、この作品でジュリーが演じた中学理科教師は、東海村の原発からプルトニウムを盗み、なんと自らマンションの自室で原子爆弾を作り上げてしまう。伝説の日本映画とも呼ばれているだけの、異様な空気に満ちたエネルギーに翻弄されながら、最後の菅原文太との対決シーンは『DEAD OR ALIVE』の哀川翔VS竹内力のときのように興奮してしまいました。国家レベルのパワーを核によって手に入れたものの、野球のナイター中継を試合終了まで見せろ、ということ以外、自分が何がしたいのかわからない、と告白した主人公にグッとくるものがあった。