THE VERY BEST OF ELTON JOHN / ELTON JOHN
コアなロックファンにとってエルトン・ジョンはおおよそ無視された存在なのかもしれない。『ライオン・キング』の音楽をやったことで、なおさら評価対象から外されることに拍車がかかったことだろう。しかしながら、彼の音楽、とりわけ70年〜80年代の音楽を聴くに、どこも否定しようのない素晴らしい音楽であることは間違いなく、この2枚組のベスト盤は本当に愛聴してきているものだ。今でこそ誠実そうないいおじさんでも、ハチャメチャな私生活を送ってきた変人ロックンローラーであること。普遍的なメロディーをあんなにも生み出す才能があっても詩が書けず、作詩家のバニー・トウピンとコンビを組んで大成功したこと。カツラには億単位とウワサされているほど金が注ぎ込まれていること。音楽的な接点が全くないようなビースティ・ボーイズが「BENNIE AND THE JETS」(かなり好きな名曲です)をカバーしていたり、グラミーのステージでエミネムと共演したりしたこと。何かと逸話が多いのも、凄みを感じてしまうが、とにかく「サー」の称号を持つエルトン・ジョンの名曲はいつ聴いても素晴らしいということだ。
みうらじゅんin東京ドーム 郷土LOVE 2004 [ 2004.06.06. 東京ドーム ]
我らがじゅんちゃんがついに東京ドームで2DAYSイベント開催! これは目出度いということで、2日目の日曜日に行ってきました。昼間は物産ピックなる催しで、日本全国47都道府県から集まった100を超えるブースでの郷土名産品の大試食販売会。加えて日本全国47都道府県から集まったゆるキャラたちとの素敵なふれあいが!! 場内、到る所にほぼ放し飼い状態のゆるキャラが点在するパラダイス空間となっていたのだった。どれもこれも凄まじい脱力オーラを放つゆるキャラたちを見つけては写真を撮って大喜び。これは楽しすぎる。わが故郷、宮崎から出店の愛す栗夢ソフトクリームは結構な盛況で列が途切れることはなかったような。栗のやつではなくミルクソフトでしたが、さすがに美味かった。で、そのブースの近くにいた宮崎のゆるキャラは「みるるん」というテレビ宮崎がいつの間にか作ってたキャラで、不気味すぎて忘れられないルックスが強烈だった。その後のみうらじゅんショーのとき、横にいた女の子二人組が携帯で撮った写真を見返していて、「みるるん」に爆笑しまくっていたのが、また可笑しい。夕方からのみうらじゅんショーはこちらもゆるく、物産ピックで歩き回って疲れていただけに少し眠気もあったりして。勝手に観光協会では安斎肇のオカリナが微妙に下手クソで面白かった。閉会式では「ゆるキャラ音頭」でゆるキャラ全員集合。壮観。前日のゲストだったという山田五郎も出て来て、最後は「ゆるキャラDEサンバ」で爽快に閉幕。ゆるキャランドの理想に強く共感した、素晴らしいイベントだった。
アモーレス・ペロス
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
AMORES PERROS
1999年 メキシコ
新作『21グラム』も気になるアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督のデビュー作。『赤い薔薇ソースの伝説』や、もっと昔のアレハンドロ・ホドロフスキ監督作品など、カルトな名作はいくつかあったが、現在、かつてないほどメキシコ映画に注目が集まっている切っ掛けは、この作品の成功と、ガエル・ガルシア・ベルナルという若きスターを生み出したことによるところが大きい。荒々しくパワフルでエネルギッシュに見せつけながらも、緻密なカット割りテクニックと3つの物語が交錯する巧みに計算された構成は本当に見事だ。胸を抉られそうなほど直情に訴えかける痛みや喜び、悲しみ。残されたほんの小さな希望を持って生きる人間の生の奥深さ。この映画の凄みを強烈に感じながら見入ってしまう。闘犬がいろいろ絡んでくるだけに、犬好きは注意が必要かもしれません。
永遠のモータウン
監督:ポール・ジャストマン
STANDING IN THE SHADOWS OF MOTOWN
2002年 アメリカ
音楽好きじゃなくても知っているような数々の名曲をヒットチャートに送りこんだモータウンレコード。スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、スプリームス、フォー・トップス、テンプテーションズなどなどファンク〜ソウルミュージックの象徴的存在を生んだ影には、彼らのバックバンド、スタジオ・ミュージシャンを務めたファンク・ブラザーズという最高のミュージシャン達がいたことを語ったドキュメンタリー。現役のファンク・ブラザーズの証言と、再結成された彼らと彼らをリスペクトするシンガー達との共演ライブを中心に構成された最高に楽しめる内容になっている。ほとばしる熱い感動。チャカ・カーンが歌う反戦メッセージの込められたマーヴィン・ゲイの代表曲「WHAT’S GOING ON」に自然と胸が震えた。ファンク・ブラザーズの素晴らしさよ。サントラを買って帰ったほど、ファンクミュージックがますます好きになってしまった。美しく楽しい音楽がここにある。
ウォーカー
監督:アレックス・コックス
WALKER
1987年 アメリカ
民主主義の大義名分を都合良くこじつけて、軍事力でもって支配し、政治的・経済的覇権を奪うアメリカ合衆国に対する痛烈な批判。この映画で描かれる実在したウィリアム・ウォーカー(エド・ハリスが熱演!)は中米ニカラグアに出征して全土を制圧後、デタラメな選挙で大統領となり、無茶苦茶にやりたいようにやった挙句、追放され処刑された人物である。そんな彼が生きた時代は19世紀半ばでありながら、現在のイラクなどにおけるアメリカの政治外交姿勢と比較しても、何ら変わっていないということで、いまこの映画を観ておいて、損はないだろう。制作当時は「強いアメリカ」を標榜したレーガン政権がニカラグアへ介入しており、その映像や19世紀にはあり得ないTIME誌やヘリコプターまで登場させるなど、昔も今も同じであることを皮肉っている。ニカラグアはサンディニスタ革命ということで、音楽はコックス監督なじみのジョー・ストラマー。マイケル・ムーア以前にアメリカへの反抗を堂々とやってのけたアレックス・コックスの傑作。
UA [ 2004.05.21. 渋谷公会堂 ]
前作『泥棒』で行くとこまで行ってしまったような感覚があったが、そこからの反動のように解放感で溢れた新しい境地の新作『SUN』を引っさげた今回のツアー。真っ白なステージ、超絶ツアーバンド(ギター:内橋和久、ベース:鈴木正人、ドラム:外山明、サックス:菊池成孔、トランペット:佐々木史朗、キーボード/クラリネット:清水一登)、そしてUA。これ以上、何が必要というのか。生楽器中心の演奏は迫力満点でありながら、あまりに気持ち良く、UAの歌うたいとしての資質がより際立ち、座って聴きながらもゾクゾクすることしきり。新作の世界を維持しつつ、過去の名曲がこのバンドでのアレンジで歌われるのも大きな見所だったと思う。楽しかった。
1.そんな空には踊る馬 2.忘我 3.情熱 4.閃光 5.世界 6.ファティマとセミラ 7.ブエノスアイレス 8.スカートの砂 9.ミルクティー 10.TORO 11.ロマンス 12.踊る鳥と金の雨 13.LIGHTNING
encore
14.UA UA RAI RAI 15.太陽ぬ落てぃまぐれ節 16.雲がちぎれるとき
不思議惑星 キン・ザ・ザ
監督:ゲオルギー・ダネリヤ
KIN-DZA-DZA!
1986年 ソビエト連邦
クー。これを観たら「クー」としか言いようがない、おもしろすぎる怪作。最近、不思議という言葉に無意識に警戒してしまいがちですが、この不思議さは本物です! うっかり地球に迷い込んだ宇宙人(といっても靴下をはいてないだけの人間)の瞬間移動装置をポチっと押してしまったため、キン・ザ・ザ星雲にワープしてしまった地球人ふたりが、なんとか地球に戻ろうとするのだけど、なかなかのん気な展開でシリアスさが微塵もないSF物語。星に出てくるキャラクターといい、釣鐘みたいな宇宙船といい、上下関係のヘンなルールやら、抜けまくったユルい雰囲気がたまらなく好きになってしまう。『サボテン・ブラザーズ』の決めポーズとこの映画の「クー」のおじぎで通じ合えたら楽しいだろうなぁ。
ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
監督:ピーター・ジャクソン
THE LORD OF THE RINGS: THE RETURN OF THE KING
2003年 ニュージランド・アメリカ
終わった。映画作品として、究極の3部作だったと思う。上映期間が終わりそうだったけど、劇場へ観に行って本当に良かった。過去2作のストーリーを思い出しながらの鑑賞ではあったけど、いざ映画が展開していくと心が打ち震えるシーンの連続で、スクリーンに全て飲み込まれてしまう感覚で圧倒されっぱなし。戦闘シーンの迫力と映像美の素晴らしさと言ったら、それだけで泣けてしまうほど。徹底的にやり抜いた表現者の情熱とロマンと勇気に惜しみない拍手を。未公開シーンをたっぷり加えて再編集した完全版がそのうち出るだろうから、細かいところはそっちでまた堪能したい。
スクール・オブ・ロック
監督:リチャード・リンクレイター
SCHOOL OF ROCK
2003年 アメリカ
ジャック・ブラック、アッチョンブリケー!な最高傑作。ガチガチに規律厳しい私立学校の子供たち(現場では音楽コンサルタントを担当したジム・オルーク直伝の教育を受けた精鋭子供バンド!)にロックのすべてを情熱たっぷりに闘魂注入しまくるという、ジャック・ニコルソンばりの怪演でひたすら楽しませてくれる完璧なハマリ役。ロック好きにはたまらないのは当たり前で、観る人を問わない普遍的な面白さが詰まったこの映画をカルトなもので終わらせるのはあまりに勿体無い。頼りない友人役でもあったマイク・ホワイトの脚本も素晴らしく、散々笑わしてくれるものの、ジャック・ブラック先生が放つセリフはストレートに心を打ち抜くものばかりだ。さらばハリー・ポッター。熱血感動、血行促進。大人も子供もロックにトキメくこと間違いなし。エンドロールまで必見です。
トーク・トゥ・ハー
監督:ペドロ・アルモドバル
HABLE CON ELLA
2002年 スペイン
変態開放路線とでもいうか、そんな独自のスタイルを確立してきたアルモドバルも、近年はだんだんとシリアス路線の作品を発表している。前作『オール・アバウト・マイ・マザー』と今作で連続してアカデミー賞を獲得するなど、評価と知名度も世界的なレベルに達した巨匠といってもいいかもしれない。個人的には『オール・アバウト・マイ・マザー』があまりフィットしなかったのだが(『ライブ・フレッシュ』も素晴らしかったけど、やはり『キカ』あたりまでの作品が好きだ)、今作はグッと見入ってしまいました。アルモドバルらしい異常性愛を描いてはいれど、変態性というより、人間の性そのものを深く見つめた傑作。