DOGTOWN & Z-BOYS
監督:ステイシー・ペラルタ
DOGTOWN & Z-BOYS [ 2001年 アメリカ ]
スケートボードに何の思い入れもないが、この映画はおもしろい。1970年代、退廃したビーチに集まるサーファー達が結成したスケーターチーム、Z-BOYSのドキュメント。彼らは波乗りの要領を活かして過激にダイナミックなスケートボードの革新的なスタイルを確立し、他人の家に不法侵入して干上がったプールでスケボー三昧の日々から一躍名声を得たのだった。成功と引き換えにチームは解散し、バラバラになった個々の未来が平等に輝いていたわけではない現実。遊びのパイオニア達のプロジェクトXに中島みゆきが似合うはずもなく、彼らにとってのスケーターミュージック、ジミ・ヘン、ツェッペリン、T-REX、ストゥージズからバズコックス、DEVOにいたるまで、ギンギンと呼ぶにふさわしい最高のロックンロールが全編にわたって流れている。この音楽編集能力が大変素晴らしく、これだけでも十分楽しめるほどだ。ナレーションは田口トモロヲに負けじと『ミスティック・リバー』が大評判な俳優ショーン・ペンが引き受けております。
8人の女たち
監督:フランソワ・オゾン
8 FEMMES [ 2002年 フランス ]
8人8様、カラフルで艶やかなフランス代表クラスの名女優による演技合戦ということで、さすがに魅せる魅せる。オシャレにキメキメなビジュアルと彼女たちの魅力でカモフラージュしつつも、時代設定が古いので映画としてはユルい方向でまとまってますが、オゾン監督特有のブラックな毒も微量ながら盛り込まれております。エマニュエル・ベアールのメイド姿は思いっきり反則な気もしながら、案の定、旦那様と関係していてお見事としか言いようがない。若手組ヴィルジニー・ルドワイヤンと『焼け石に水』に引き続いてのオゾン作品出演となるリュディヴィーヌ・サニエは思わず目で追ってしまうほど魅力的。アメリカのトップ女優を8人並べてもこの映画は作れないと思わせる、フランス女優の素晴らしさに見入ってしまった。
バトル・オブ・シリコンバレー
監督:マーティン・バーグ
PIRATES OF SILICON VALLEY [ 1999年 アメリカ ]
アップルのスティーブ・ジョブズとマイクロソフトのビル・ゲイツ。現代のコンピューター社会を築いた有名すぎるこの二人を学生時代から遡った半生を描いたこの作品は、ノア・ワイリーとアンソニー・マイケル・ホールのなりきり演技も良く、あくまで人物像を中心に描いているので誰でも楽しめる内容ではあるが、ちょっとでもパソコンに興味があるならかなりおもしろく観れるはずだ。常に理想を追い求め、業界をリードしてきたジョブズに対し、ハッタリと商売人的嗅覚が天才的に冴えまくって成功したゲイツ。成功と失敗、パクりパクられのコンピューター業界。彼らの創世記におけるIBMとゼロックスのバカっぷりを見るに、大企業ってつくづく哀れだなぁと思う。世の中を激変させてしまったのが強烈にヘンな人達というのは、なんとなく誇らしい。映画ではフォローしてないが、ジョブズはアップルだけではなく、いまをときめくPIXERも作ったのだから凄いよなぁ。
テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる
監督:ナム・ギウン
TEENAGE HOOKER BECAME KILLING MACHINE IN DAEHAKROH [ 2000年 韓国 ]
こいつは久々な金返せ!作品。1時間しかない映画の割に、トロくさく5分くらい引っ張った最初のタイトルロールの時点でダメな気がしたものですが、本当にヒドかったです。いわゆるエロ・グロ・ナンセンスといっても同人誌レベルの特別目新しいワケでもなく、これが韓国インディーズ映画として喝采を浴びたなんて、面白がって観てる人がいるとは何ともオメデタイ。長いタイトル同様の衝撃があるとしたら、それは凄まじい失望ということか。
岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説 番長足球
監督:宮坂武志
[ 2003年 日本 ]
竹内力、史上最高の壊れ役、カオルちゃんがここに再び! 定時制高校を舞台に少林サッカーとくっつけてみましたという安易な企画も、カオルちゃんという圧倒的にオリジナルなキャラによって、超B級へとスケールアップしてしまうところがすごい。また超B級にふさわしくゲストも船木誠勝、ムルアカというビデオ映画のフットワークの軽さを感じさせるワンダーな人選も見逃せない!
モロ・ノ・ブラジル
監督:ミカ・カウリスマキ
MORO NO BRASIL [ 2002年 ドイツ・フィンランド・ブラジル ]
カウリスマキの兄の方、ミカ・カウリスマキによるブラジル音楽大好き追っかけドキュメント。ブラジルインディオ現住民族の儀式的な歴史の根本を感じさせる祭囃子としてひたすら打ち鳴らされるリズムに始まり、サンバはサンバであれど現代までサンバなりに移り変わっていった様々なスタイルのブラジルミュージシャンたちがめまぐるしく登場する。ライ・クーダとヴェンダースが追っかけした『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の面々がそれなりのオーラや説得力があったのに比べると、ブラジルの彼らは皆、一様にどこか素人臭いというか垢抜けない雰囲気があって面白い。ミュージシャンに限らずとも音楽と身近に暮らしていることが素敵に思えます。
小島麻由美 [ 2003.12.17. 新宿リキッドルーム ]
なんと今年3回目! それだけ彼女が活動的だったというのが驚きであり、嬉しいことでもあった小島麻由美イヤー2003年。ミニアルバム『面影』のリリース記念を兼ねての冬公演は、そうした1年間の余裕からか、珍しくおしゃべりの口数も多かったりして、混みすぎのリキッドルームに安堵の空気をもたらしてくれるのだった。彼女によると、この日の髪のセットはASA-CHANGにやってもらったらしい。ASA-CHANGは元ヘアメイクだったんですよ〜、とのこと。芸風は一貫しているものの、楽曲のクオリティがますます研ぎ澄まされてきているのが痛快でたまらないものがある。
1.おしゃべり!おしゃべり! 2.恋はサイケデリック 3.エースのスペード 4.砂漠の向こう 5.面影 6.ポルターガイスト 7.眩暈 8.赤と青のブルース 9.黒い革のブルース 10.黒猫 11.蜜蜂 12.セシルのブルース 13.結婚相談所 14.結婚行進曲 15.パレード 16.ひまわり 17.恋の極楽特急 18.皆殺しのブルース 19.人間ぎらい
マッドマックス
『マッドマックス』 監督:ジョージ・ミラー
MAD MAX [ 1979年 オーストラリア ]
『マッドマックス2』 監督:ジョージ・ミラー
MAD MAX 2 [ 1981年 オーストラリア ]
『マッドマックス/サンダードーム』 監督:ジョージ・ミラー、ジョージ・オギルヴィー
MAD MAX BEYOND THUNDERDOME [ 1985年 オーストラリア ]
マッドマックスシリーズ全3作をまとめて観なおす。まずはパート1。メル・ギブソンがとにかく若く、短髪のハンサムボーイぶりは今となってはすごく新鮮かも。当時は無名で演劇学校に通っていたという話だけに、メル・ギブソン主演と言えど、超低予算映画だったということは映画を観れば一目瞭然だ。しかし低予算だからこその斬新なアイデアが見事に冴えまくっている。登場するマシンへのこだわり、速い車はカッコイイと単純に思わせるスピード感溢れる映像と復讐の鬼となったマックスのキャラクターが強烈な印象を残すのだった。傑作。パート2は現代劇だったパート1からいきなり時代が飛んで核戦争後の未来が舞台。子供の頃に観た記憶があったのは、どうやら「2」だったようだ。パート1とのつながりは特になく、未来なのか原始なのか何だかエラいことになっているアナーキー加減がいかにもマッドマックスでおもしろい。問題はパート3だ。いちばん金がかかってはいるが、なんだこれ!? メル・ギブソンもよく出演したなぁと思えるほどガッカリの出来。敵の女ボスがティナ・ターナーというのも謎びっくりだが、最後の最後でマックスを追い詰めたかと思ったら高笑いして去って行くという物凄いオチをやってくれている。これ以上、続編が作られなかったのも納得と言ったところで、なんとパート4製作中とのニュースが! メル・ギブソン&ジョージ・ミラーのタッグはそのままとのことだが、期待していいのやら。インターセプターは復活するのか?!
YO LA TENGO [ 2003.12.04. 渋谷クラブクアトロ ]
満足!ものすごく満足! フジロック行って不満だった人も、行ってなくて不満だった人も皆満足して帰ったことだろう。「SUGARCUBE」の号砲で弾け飛んだら最後までわくわくドキドキ極楽特急で駆け抜けた2時間30分。寄せては返す轟音と静寂の波。今夜は最高てな気分でジョークのファンシーダンス決めまくり「NOTHING BUT YOU AND ME」にまたも衝撃が! パパイヤ鈴木然り、ホンジャマカ石塚然り、極楽とんぼ山本然り、やはりデブはダンスが特技なのか。アンコールではサンタの衣装に身を包んでの登場に会場大喜び。ダンプさんにも合うサイズがちゃんとあってよかったよかった。ステージから撒いてたプレゼントのお菓子は取れなかったけど、今日のライブが一番のプレゼントですよ。リクエストの「DEMONS」の後にアイラがそっと歌い始めたまさかの「SPEEDING MOTORCYCLE」は本当に嬉しかったなぁ。最後の「BIG DAY COMING」はアコースティックでしっとりと夫婦で微笑み返しの幸せデュエット。まさにトドメってやつですね。あぁ〜本当に良かった。
1.SUGARCUBE 2.EVERYDAY 3.WE'RE AN AMERICAN BAND 4.OUR WAY TO FALL 5.SEASON OF THE SHARK 6.TODAY IS THE DAY 7.LITTLE EYES 8.DOUBLE DARE 9.GEORGIA VS YO LA TENGO 10.TINY BIRDS 11.DON'T HAVE TO BE SO SAD 12.NOTHING BUT YOU AND ME 13.DEEPER INTO MOVIES 14.MOONROCK MAMBO 15.TOM COURTENAY 16.BLUE LINE SWINGER 17.NUCLEAR WAR
encore 1
18.ROCK'N'ROLL SANTA
encore 2
19.DEMONS 20.SPEEDING MOTORCYCLE 21.LITTLE HONDA 22.WE ARE THE CHAMPIONS
encore 3
23.I AM JUST A MOPS 24.PRISONERS OF ROCK'N'ROLL 25.BIG DAY COMING
セッション9
監督:ブラッド・アンダーソン
SESSION 9 [ 2001年 アメリカ ]
夜中に観ても全然眠くならない、久々に手応えのある強烈な心理サスペンスだった。ストーリーに関しては半分以上が実際の筋とは関係ないことだったりするのだが、閉鎖された精神病院という舞台がとにかく怖い! 宮崎にはコツコツトンネルと呼ばれる恐怖スポットがあるのだが、そのトンネルの先には廃病院がある。そこも外見からして相当恐ろしいオーラを放っているところだったのだが、何を思ったか若かりし頃に中を覗いたことがある。物が異常に散乱してて、真っ昼間でもそれはそれは不気味でさすがに本気で怖かったものです。そんな思い出もありつつで、この映画の雰囲気だけで十分スリリングでありました。