MARKO HAAVISTO & POUTAHAUKAT [ 2003.05.10. 恵比寿ガーデンプレイス・センター広場 ]
アキ・カウリスマキの映画『過去のない男』に救世軍バンドとして出演したマルコ・ハーヴィスト&ポルタハウカの無料コンサートを観た。フィンランドから遠路はるばる、この大都会村東京恵比寿をどう思ったことだろう。映画でも演奏していた曲も含め、約1時間。カントリーロックの懐かしい響きを屋外の広場で真っ昼間に聴くというのは、ある意味なんとも贅沢な恵比寿的な心地よい時間だった。
GREAT3 [ 2003.05.09. 渋谷AX ]
開演前、今日のライブはDVDとCDになって作品化されるというアナウンスがされて、盛り上がる。さすがに物凄く真剣な、幾分緊張もあったかもしれないけれど、テンションの高いパフォーマンスは素晴らしいものだった。今回ギターとして参加のシュガー吉永がガンガンに男勝りなプレイを見せつけたのも印象深い。あとライブに足りないものというか、無理を言って求めたいものとして、意表を突いた選曲で畳み掛ける展開がどこかにあればなぁ、とつくづく思う。そんなわけで「GOLF」(シングルにすればよかった、と今更ながら思ったらしい名曲)と「UP TIGHT」(ライブでやるのは初めてだったらしい名曲)には思わず泣きそうになってしまった常連客のひとりとして、放ったらかしにされている名曲の数々をライブで蘇らして欲しいと思うのであります。
1.想い出のアートロック 2.Devil's Organ 悪魔のオルガン 3.腰抜けマシーン 4.Red Wind America 5.Bee 6.HAIKU 熊穴に入る 7.Golf 8.Ladeira 9.Caravan 10.Honey 恋人よ 11.DAN DAN DAN ダン・ダン・ダン 12.Charm Against Evil 渦巻いた世界 13.影 14.METAL LUNCHBOX 15.Volvox ボルボックス 16.Soul Glow 17.Dummy Oscar 誰かの唇
encore 1
18.Up Tight 19.Thorn
encore 2
20.Oh Baby 21.嫉妬
encore 3
22.I.Y.O.B.S.O.S.
モーニング娘。 [ 2003.05.04. さいたまスーパーアリーナ ]
guest:ココナッツ娘。、カントリー娘。
なんだか凄いことになっているのだろうなぁという予想はあったものの、予想は一見に如かず。凄い。迷ってる人は行ってスッキリしてきなさい。ステージ真裏の席だったにせよ、驚くほど間近で観れた娘。たちのアイドルとしての完璧なパフォーマンスと圧倒的な可愛さには男として心底ドキドキ幸せな気分にさせられたものだし、目と目が合ったという妄想ミラクルを起こす気持ちもよおくわかった。はちきれんばかりの躁状態で野生のジャンプと本能の叫びを繰り返す25000の熱きファンの群れ。会場の外までをもガラっと雰囲気を変えてしまう彼らのことは確かに気持ち悪いかもしれないが、そんな彼らの異常なエネルギーによって生まれるライブにおける一体感は普段のロックコンサートの比ではなく、それはそれは爽快で面白く、衝撃的感動的なるものなのだった。オーディエンスが主役の時代と言われてもう結構な年月が経ったわけだが、勘違いしてる客が増えてないか? ここまで熱心にライブに情熱を賭けるモーニング娘。のファンはそういう意味で物凄く立派だ。アンコール最後の曲では藤本美貴を含む新規メンバー4人も登場。保田圭卒業前日、彼女たちにまだ涙はなく、溢れんばかりの笑顔だけが脳裏に残っている。
1.AS FOR ONE DAY 2.TOP! 3.「すっごい仲間」 4.モーニング娘。のひょっこりひょうたん島 5.恋愛レボリューション21 6.強気で行こうぜ! 7.ズルイ女/ココナッツ娘。 8.初めてのハッピーバースディ!/カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。) 9.シェルブールの雨傘/飯田圭織 10.WOW WOW WOW/プッチモニ 11.ロックンロール県庁所在地/ミニモニ。 12.LOVEマシーン 13.「すごく好きなのに…ね」 14.Yes!POCKY GIRLS 15.女神〜Mousseな優しさ〜 16.そうだ!We're ALIVE 17.I WISH 18.ザ☆ピ〜ス! 19.ここにいるぜぇ!
encore
20.卒業旅行〜モーニング娘。旅立つ人に贈る唄〜 21.Do it! Now
ノー・マンズ・ランド
監督:ダニス・タノヴィッチ
NO MAN’S LAND
2001年 フランス・イタリア・ベルギー・イギリス・スロベニア
ボスニアとセルビア間の紛争における前線の中間地帯でめぐり会った両軍兵士。美しすぎる自然を背景に一色即発と相互理解のギリギリの境界線上で揺れ動くお互いの葛藤は日常の口ゲンカと何ら変わらないもので興味深く見たり笑ったり、けれども戦争状態という意味の無さがちゃんちゃら可笑しく思えてしまう。責任回避で結局は何もできない国連。当事者達をさらし続けて自己満足の競争に執念を燃やすメディア。皮肉な現実だとわかっていながらも、こうなってしまうというリアルな無力感を抱かせる。
アメリカン・パイ
監督:ポール・ウェイツ
AMERICAN PIE
1999年 アメリカ
陰気な高校生活の現実逃避として、アメリカの青春モノには特に刺激を受けていたように思える。『旅立ちのとき』を観てはリバー・フェニックスに涙し、『恋しくて』を観てはリー・トンプソンにときめき、自分とほぼ変わらぬ年齢設定で進行していた「ビバリーヒルズ高校白書」には強い憧れを持っていた。クルマで高校に通うって凄いことだと思ったし、基本的なクライマックスとして間違いなくやってくる卒業パーティ(プロム)の存在は他国民ながら物凄く気になっていたものだ。『アメリカン・パイ』はそんなアメリカで青春を謳歌するエロい好奇心に満ち満ちた高校生達を描いた傑作コメディ。アダム・サンドラー似の主人公と親父のやりとりが最高なんだが、アップルパイでやってるところ見られたら一生立ち直れないよなぁ。インターネット生放送で全校生徒にモロ見られの中、大失態やっちゃったりして、大笑いして観ながらも、コイツ強いなぁ、なんて感心してしまった。いろんなキャラがいながら最後はそれぞれうまく成立させたところがよかったなぁ〜と、憧れ再びということで続きはまた今度観てみたいと思います。
THE ESSENTIAL / SLY & THE FAMILY STONE
自分が持ってないものに対する憧れという意味のカッコ良さ。このアフロな髪からモミアゲへと続く曲線が見事なジャケット写真からして秀逸だ。そんなスライ・ストーンの黒人のイメージが強いけど、実は黒人と白人、男性と女性が入り混じった人種混合男女混合バンドという非常に特徴的なスタイルで活動していたスライ&ザ・ファミリー・ストーンのリマスター2枚組ベスト。完全燃焼し尽くしたのか70年代半ばにしてシーンから姿を消したものの、残された音楽はかくも偉大な否定しようのない生身のダンス・ミュージックであり、今更ながら熱くなっても何ら不思議でない強力な魔力が宿っている。
CLIMAX / GREAT3
例えば映画の場合、演じる俳優たちよりも映画監督の名前で作品を選ぶということはよくあることかもしれない。しかし、音楽をシンガーやバンドよりプロデューサーの名前で選ぶというのはあまり感心しない。やはり、松浦亜弥あってのつんく♂であり、レッチリあってのリック・ルービンであり、レディオヘッドあってのナイジェル・ゴドリッチやジョン・レッキーであると思うのだ。というか、売り文句としてプロデューサーの名前を全面に出してるのが嫌いだし、レーベルだとか出身地だとか書き連ねているのもよくわからないから嫌いだ。GREAT3の新作はズバリ言って歌謡ポップスである。ソウルだったり、ディスコだったりファンキーな洋の要素を取り込んでも、あくまで和のメロディを貫いたわびさびポップスの世界。なんとなくアングラチックな香りもするのはGREAT3らしいところかもしれないが、YMOチックな気もするのはスカパラみたいに歌う人が歌えば大ヒットしたりして。それもちょっと哀しいけど、大好きな片寄明人の声が局地的にしか聴かれていないのはどうにも残念なわけで、まんまGSな雰囲気の「DAN DAN DAN ダン・ダン・ダン」でジュリーとでもデュエットしてればなぁ、なんてことも思ってしまう逸品。
SUMMER SUN / YO LA TENGO
映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のカバーアルバムに参加して、あの天然の奇声シンガー、オノ・ヨーコと共演するらしいが、映画のアートワークやアニメーションを手掛けたのがジョージアの姉(エミリー・ハブリー)だったようで、ちょっと「へぇ〜」とか思ってしまった。前作『THE SOUNDS OF THE SOUNDS OF SCIENCE』が海洋生物ドキュメントに音をつけた企画物のインストアルバムだったため彼らのレーベルのみの発売で広く流通することはなかったが、今回のアルバムもヴォーカルが入っているにせよ、非常にサウンドトラック的なトータルスコアの印象を受ける。ウェス・アンダーソン監督あたりが、このアルバムを元に青春映画でも作ってくれたら号泣だろうなぁ。
FOSSIL FUEL : THE XTC SINGLES 1977-92 / XTC
過少セールスという言葉があるとしたら、その意味において世界一のバンドかもしれない。絶大と言っても過言ではない評価を得ながら思うようなセールスがなかったがため、レーベルのヴァージンとは最悪な関係となり、その憎しみの果てに契約解消へと至ったのがデビュー20周年のときだったという、ポップとひねくれのふたつの才能を与えられたアンディ・パートリッジなら致し方ないこの皮肉。本作はヴァージン在籍時に発表されたシングルを集めた2枚組コンピレーションであり、いわゆるお互いの関係を成敗するがための企画物という意味合いも確かにあるのだが、やはりそれはそれとして珠玉のシングル集であり、初めてCD化される音源もあって初心者からマニアまでOKの強くオススメしたいアルバムである。僕自身XTCのアルバムいくつかに加え、元々あった1枚モノのシングル集も持っていたのだけど、去年これを買ってからたまにXTCを聴くときはこればかりになってしまった。せめていやいやでもライブ活動していればそれなりに売れてたと思うんだけどなぁ、と言ったところで頑固一徹、一生ライブはやらない=観れないと思われ(涙)。
戦場のピアニスト
監督:ロマン・ポランスキー
THE PIANIST
2002年 ポーランド・フランス
ポランスキー自身が体験したことでもある彼のホロコースト映画というだけで、物凄い説得力がある。ポーランド人映画監督としての宿命めいた入魂の度合いが凄まじくて、それに応えるかのように真剣にスクリーンを凝視してしまう。体を張って演じたエイドリアン・ブロディが物語る緊張と恐怖。ナチスドイツ軍が侵攻したときワルシャワにいた36万人のユダヤ人が終戦時にはたった20人しかいなかった史実には戦慄をおぼえるとともに驚愕するしかないのだが、そういう部分の残酷なシーンが遂行されていくとともに、人種間における敵味方の関係、強者弱者の関係だけでなく、ドイツ人将校が主人公を生かせてあげたり、逆にユダヤ人がナチの下の警察として力を奮ったりする人種的な立場を超越した関係があったことを伝えたことは大きい。