モーニング娘。 [ 2003.05.04. さいたまスーパーアリーナ ]
LIVE

モーニング娘。 [ 2003.05.04. さいたまスーパーアリーナ ]

guest:ココナッツ娘。、カントリー娘。
なんだか凄いことになっているのだろうなぁという予想はあったものの、予想は一見に如かず。凄い。迷ってる人は行ってスッキリしてきなさい。ステージ真裏の席だったにせよ、驚くほど間近で観れた娘。たちのアイドルとしての完璧なパフォーマンスと圧倒的な可愛さには男として心底ドキドキ幸せな気分にさせられたものだし、目と目が合ったという妄想ミラクルを起こす気持ちもよおくわかった。はちきれんばかりの躁状態で野生のジャンプと本能の叫びを繰り返す25000の熱きファンの群れ。会場の外までをもガラっと雰囲気を変えてしまう彼らのことは確かに気持ち悪いかもしれないが、そんな彼らの異常なエネルギーによって生まれるライブにおける一体感は普段のロックコンサートの比ではなく、それはそれは爽快で面白く、衝撃的感動的なるものなのだった。オーディエンスが主役の時代と言われてもう結構な年月が経ったわけだが、勘違いしてる客が増えてないか? ここまで熱心にライブに情熱を賭けるモーニング娘。のファンはそういう意味で物凄く立派だ。アンコール最後の曲では藤本美貴を含む新規メンバー4人も登場。保田圭卒業前日、彼女たちにまだ涙はなく、溢れんばかりの笑顔だけが脳裏に残っている。

set list
1.AS FOR ONE DAY 2.TOP! 3.「すっごい仲間」 4.モーニング娘。のひょっこりひょうたん島 5.恋愛レボリューション21 6.強気で行こうぜ! 7.ズルイ女/ココナッツ娘。 8.初めてのハッピーバースディ!/カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。) 9.シェルブールの雨傘/飯田圭織 10.WOW WOW WOW/プッチモニ 11.ロックンロール県庁所在地/ミニモニ。 12.LOVEマシーン 13.「すごく好きなのに…ね」 14.Yes!POCKY GIRLS 15.女神〜Mousseな優しさ〜 16.そうだ!We're ALIVE 17.I WISH 18.ザ☆ピ〜ス! 19.ここにいるぜぇ!
encore
20.卒業旅行〜モーニング娘。旅立つ人に贈る唄〜 21.Do it! Now
posted on 2003/05/07
ノー・マンズ・ランド
CINEMA

ノー・マンズ・ランド

監督:ダニス・タノヴィッチ
NO MAN’S LAND [ 2001年 フランス・イタリア・ベルギー・イギリス・スロベニア ]
ボスニアとセルビア間の紛争における前線の中間地帯でめぐり会った両軍兵士。美しすぎる自然を背景に一色即発と相互理解のギリギリの境界線上で揺れ動くお互いの葛藤は日常の口ゲンカと何ら変わらないもので興味深く見たり笑ったり、けれども戦争状態という意味の無さがちゃんちゃら可笑しく思えてしまう。責任回避で結局は何もできない国連。当事者達をさらし続けて自己満足の競争に執念を燃やすメディア。皮肉な現実だとわかっていながらも、こうなってしまうというリアルな無力感を抱かせる。

posted on 2003/05/03
アメリカン・パイ
CINEMA

アメリカン・パイ

監督:ポール・ウェイツ
AMERICAN PIE [ 1999年 アメリカ ]
陰気な高校生活の現実逃避として、アメリカの青春モノには特に刺激を受けていたように思える。『旅立ちのとき』を観てはリバー・フェニックスに涙し、『恋しくて』を観てはリー・トンプソンにときめき、自分とほぼ変わらぬ年齢設定で進行していた「ビバリーヒルズ高校白書」には強い憧れを持っていた。クルマで高校に通うって凄いことだと思ったし、基本的なクライマックスとして間違いなくやってくる卒業パーティ(プロム)の存在は他国民ながら物凄く気になっていたものだ。『アメリカン・パイ』はそんなアメリカで青春を謳歌するエロい好奇心に満ち満ちた高校生達を描いた傑作コメディ。アダム・サンドラー似の主人公と親父のやりとりが最高なんだが、アップルパイでやってるところ見られたら一生立ち直れないよなぁ。インターネット生放送で全校生徒にモロ見られの中、大失態やっちゃったりして、大笑いして観ながらも、コイツ強いなぁ、なんて感心してしまった。いろんなキャラがいながら最後はそれぞれうまく成立させたところがよかったなぁ〜と、憧れ再びということで続きはまた今度観てみたいと思います。

posted on 2003/05/02
THE ESSENTIAL / SLY & THE FAMILY STONE
ALBUM

THE ESSENTIAL / SLY & THE FAMILY STONE

自分が持ってないものに対する憧れという意味のカッコ良さ。このアフロな髪からモミアゲへと続く曲線が見事なジャケット写真からして秀逸だ。そんなスライ・ストーンの黒人のイメージが強いけど、実は黒人と白人、男性と女性が入り混じった人種混合男女混合バンドという非常に特徴的なスタイルで活動していたスライ&ザ・ファミリー・ストーンのリマスター2枚組ベスト。完全燃焼し尽くしたのか70年代半ばにしてシーンから姿を消したものの、残された音楽はかくも偉大な否定しようのない生身のダンス・ミュージックであり、今更ながら熱くなっても何ら不思議でない強力な魔力が宿っている。

posted on 2003/04/29
CLIMAX / GREAT3
ALBUM

CLIMAX / GREAT3

例えば映画の場合、演じる俳優たちよりも映画監督の名前で作品を選ぶということはよくあることかもしれない。しかし、音楽をシンガーやバンドよりプロデューサーの名前で選ぶというのはあまり感心しない。やはり、松浦亜弥あってのつんく♂であり、レッチリあってのリック・ルービンであり、レディオヘッドあってのナイジェル・ゴドリッチやジョン・レッキーであると思うのだ。というか、売り文句としてプロデューサーの名前を全面に出してるのが嫌いだし、レーベルだとか出身地だとか書き連ねているのもよくわからないから嫌いだ。GREAT3の新作はズバリ言って歌謡ポップスである。ソウルだったり、ディスコだったりファンキーな洋の要素を取り込んでも、あくまで和のメロディを貫いたわびさびポップスの世界。なんとなくアングラチックな香りもするのはGREAT3らしいところかもしれないが、YMOチックな気もするのはスカパラみたいに歌う人が歌えば大ヒットしたりして。それもちょっと哀しいけど、大好きな片寄明人の声が局地的にしか聴かれていないのはどうにも残念なわけで、まんまGSな雰囲気の「DAN DAN DAN ダン・ダン・ダン」でジュリーとでもデュエットしてればなぁ、なんてことも思ってしまう逸品。

posted on 2003/04/22
SUMMER SUN / YO LA TENGO
ALBUM

SUMMER SUN / YO LA TENGO

映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のカバーアルバムに参加して、あの天然の奇声シンガー、オノ・ヨーコと共演するらしいが、映画のアートワークやアニメーションを手掛けたのがジョージアの姉(エミリー・ハブリー)だったようで、ちょっと「へぇ〜」とか思ってしまった。前作『THE SOUNDS OF THE SOUNDS OF SCIENCE』が海洋生物ドキュメントに音をつけた企画物のインストアルバムだったため彼らのレーベルのみの発売で広く流通することはなかったが、今回のアルバムもヴォーカルが入っているにせよ、非常にサウンドトラック的なトータルスコアの印象を受ける。ウェス・アンダーソン監督あたりが、このアルバムを元に青春映画でも作ってくれたら号泣だろうなぁ。

posted on 2003/04/16
FOSSIL FUEL : THE XTC SINGLES 1977-92 / XTC
ALBUM

FOSSIL FUEL : THE XTC SINGLES 1977-92 / XTC

過少セールスという言葉があるとしたら、その意味において世界一のバンドかもしれない。絶大と言っても過言ではない評価を得ながら思うようなセールスがなかったがため、レーベルのヴァージンとは最悪な関係となり、その憎しみの果てに契約解消へと至ったのがデビュー20周年のときだったという、ポップとひねくれのふたつの才能を与えられたアンディ・パートリッジなら致し方ないこの皮肉。本作はヴァージン在籍時に発表されたシングルを集めた2枚組コンピレーションであり、いわゆるお互いの関係を成敗するがための企画物という意味合いも確かにあるのだが、やはりそれはそれとして珠玉のシングル集であり、初めてCD化される音源もあって初心者からマニアまでOKの強くオススメしたいアルバムである。僕自身XTCのアルバムいくつかに加え、元々あった1枚モノのシングル集も持っていたのだけど、去年これを買ってからたまにXTCを聴くときはこればかりになってしまった。せめていやいやでもライブ活動していればそれなりに売れてたと思うんだけどなぁ、と言ったところで頑固一徹、一生ライブはやらない=観れないと思われ(涙)。

posted on 2003/04/12
戦場のピアニスト
CINEMA

戦場のピアニスト

監督:ロマン・ポランスキー
THE PIANIST [ 2002年 ポーランド・フランス ]
ポランスキー自身が体験したことでもある彼のホロコースト映画というだけで、物凄い説得力がある。ポーランド人映画監督としての宿命めいた入魂の度合いが凄まじくて、それに応えるかのように真剣にスクリーンを凝視してしまう。体を張って演じたエイドリアン・ブロディが物語る緊張と恐怖。ナチスドイツ軍が侵攻したときワルシャワにいた36万人のユダヤ人が終戦時にはたった20人しかいなかった史実には戦慄をおぼえるとともに驚愕するしかないのだが、そういう部分の残酷なシーンが遂行されていくとともに、人種間における敵味方の関係、強者弱者の関係だけでなく、ドイツ人将校が主人公を生かせてあげたり、逆にユダヤ人がナチの下の警察として力を奮ったりする人種的な立場を超越した関係があったことを伝えたことは大きい。

posted on 2003/04/09
MASSIVE ATTACK [ 2003.03.25. 東京ベイNKホール ]
LIVE

MASSIVE ATTACK [ 2003.03.25. 東京ベイNKホール ]

special guest:DJ SHADOW
意表を突いて丁寧な自己紹介のあいさつを行なってスタートしたDJ SHADOW。ターンテーブルとCDJが2台ずつとサンプラーでやりますよー、なんて機材紹介までして、飾らないナイスガイっぷりもカッコ良く、本日のプレイはDJというより自身のライブというモードでサンプラーのボタンを随分と押しまくるという、その妙技も素晴らしく楽しませてくれました。サンプラーとVJの映像がシンクロするのが凄いと思った。あれは面白い。楽しい1時間を満喫して、舞台は闇に変わり、いよいよマッシブ・アタック。イラク攻撃で犠牲になった罪の無い市民のために1分間の黙祷が行なわれ、ショーがスタート。今回のツアーの目玉となっているインターネットで彼らのサイトから打ち込んだメッセージが反映されるという、インタラクティブLEDスクリーン(電光掲示板)が起動したときのワクワク感たるや! スペシャリスト揃いのミュージシャンによる演奏で、闇を切り裂く圧倒的なテンションのマッシブ・アタック協奏曲が全身に響く音圧で迫ってくる興奮。ホレス・アンディ、ドット・アリソン、デボラ・ミラーといったゲストボーカルのパフォーマンスも印象的だった。DJだったマッシュルームが脱退してしまったため、当の本人達はボーカルを取る曲以外はステージ上にいないという、DADDY Gに至っては2回ほどしか出番がなかったわけだが、あの巨大スクリーンによって彼らのライブにおける表現はスケール感を増し、メッセージもより強固なものとして感じられたと思う。猪木「小泉は甘っちょろい」、って出たときは大笑いしたけど、「戦争」「反対」「平和」とデカデカと出たときのインパクトは凄かったなぁ。かつてバンド名からアタックを伏せられた彼らの世界ツアー攻撃を僕は支持したいと思う。

set list
1.FUTURE PROOF 2.EVERYWHEN 3.RISINGSON 4.BLACK MILK 5.ANGEL 6.SPECIAL CASES 7.BUTTERFLY CAUGHT 8.FADE AWAY 9.TEARDROP 10.MEZZANINE 11.HYMN OF THE BIG WHEEL 12.SAFE FROM HARM 13.INERTIA CREEPS
encore 1
14.ANTISTAR 15.UNFINISHED SYMPATHY
encore 2
16.GROUP FOUR
posted on 2003/03/28
過去のない男
CINEMA

過去のない男

監督:アキ・カウリスマキ
MIES VAILLA MENNEISYYTTÄ [ 2002年 フィンランド ]
カンヌがグランプリという太鼓判を押してくれたことで、ここ日本でもカウリスマキの映画が大ヒットしてくれればと思う。モノクロ・サイレントという究極の手法で最高のものを見せつけてくれた前作『白い花びら』から一転、カラーとなった今作は『浮き雲』に近いテイストで描かれたまさにカウリスマキな作品だった。暴漢に頭を殴られ過去の記憶を失った男が人生を再出発させるストーリーによって、非常にシビアなフィンランドの経済状況を映し出してはいるものの、登場人物たちがユニークで、誰一人として悲しみに暮れた泣きの芝居をしていないところが凄くいい。悲観的になりすぎず、人生は前にしか進まないということを肝に命じて、生きていこうじゃないか。いろいろあるけど、世の中捨てたものじゃあないはずだ。

posted on 2003/03/24

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