モンスターズ・インク
監督:ピート・ドクター
MONSTERS, INC. [ 2001年 アメリカ ]
次々と傑作を送り出しているPIXERのアニメは僕も大好き。子供部屋に通じるクローゼットの扉から忍び込んでは子供たちを恐がらせ、その悲鳴をエネルギーに成り立っているモンスターの世界。この豊かなイマジネーションの世界に刺激いっぱい引き込まれていってしまうこと必至! 物凄くミクロな部分から積み重なった映画全体から感じられるスケールの大きさは本当に圧倒的だ。何かとイヤミなランドールでしたが、声はスティーブ・ブシェーミだったようです。アニメにも拘らず、ジャッキー映画じゃないのに、最後のスタッフロールでNG集まで見せてくれる粋な計らいも嬉しい第一級エンターテインメント。
ONE BEDROOM / THE SEA AND CAKE
2003年、ひとり暮しをしていると特に何の変化もなくだらだらと正月を過ごしがちなので、新しい年を迎えるにあたって元日の今日は新しく買ったタオルをおろしてお風呂に入りました。それからもうひとつ、このシー・アンド・ケイクの新譜をプレイ。まさに新しい気持ちにさせてくれる澄んだ音色が美しい。デビッド・ボウイ「SOUND & VISION」のカバーも冴えまくる、またひとつ進化したシー・アンド・ケイクの究極形。
爆裂都市 BURST CITY
監督:石井聰亙
[ 1982年 日本 ]
考えるな、感じろ、と言うしかないような、ストーリー訳なしの徹頭徹尾イッちゃってる最高にムチャクチャな暴動フィルム。マッドマックスのような世界でスラムの連中、ロックバンド、ヤクザに警察とごっちゃごちゃに入り乱れての大乱闘が繰り広げられるエネルギーの過剰放出が凄まじい。触るもの皆傷つけまくりというか、暴れまくり。まさにすこぶる狂って候。当時ザ・ロッカーズだった陣内孝則率いるロッカーズとルースターズの混合バンド=バトルロッカーズと遠藤ミチロウ率いるスターリンの過激パフォーマンス合戦。リーダーの登場が爆笑を誘うコント赤信号。妖しいヤバさが滲み出てたヤクザ役の泉谷しげる。そして、さらにヤバかった町田町蔵! 「ヤバい」の本当の意味を知るには持ってこいの一本。
パコダテ人
監督:前田哲
[ 2001年 日本 ]
北海道函館市内で銭湯を営む一家の二女に突然しっぽが生えてしまったことで巻き起こる大騒動ファンタジック・コメディ。子供っぽいという当たり前な感想も否定しないが、素直に好感の持てる面白い作品だと思う。「しっぷ」と「しっぽ」のダジャレから、ここまでの映画ができてしまう爽快な感じがステキだ。寅さん亡き後、こうした地方の庶民的な雰囲気がふんだんにあるだけでもニコニコほんわかしてしまいますよね。
K-19
監督:キャスリン・ビグロー
K-19:THE WIDOWMAKER [ 2002年 アメリカ ]
密室的緊張感のおかげでついつい見入ってしまいがちな潜水艦映画。今作は実話を元にした冷戦時代のソビエトを舞台に現代にも通じる原子力の恐怖を描いている。敵対するアメリカに武力を誇示するため突貫工事で完成させてしまった原子力潜水艦「K-19」の原子炉が故障したことから、乗組員たちの死を覚悟した放射能を大量に浴びながらの修理が行なわれるのだが、あまりに悲惨で本当にもう原子力発電所はシンプソンズのアニメの中だけで十分だと思えてしまう。原子力の問題は実体がよくわからないだけに恐ろしい。「安全だ、と言われている」という言葉の保証が一瞬で吹き飛んでしまうエネルギーに頼るしかないのだろうか。艦長をめぐるハリソン・フォードとリーアム・ニーソンの関係はどうでもよかったりしたわけだが、そんなことを考えさせる映画ではあったと思う。
スコルピオンの恋まじない
監督:ウディ・アレン
THE CURSE OF THE JADE SCORPION [ 2001年 アメリカ ]
今年もしっかり一本仕上げたウディ・アレンの最新作。1940年代を舞台にマスター・キートンみたいな腕の立つ保険調査員をいつものように一言も二言も多いながらもスーツ姿でカッコ良くアレンが演じているのだが、催眠術にかかったときの寝ぼけた表情が最高に可笑しい。意外にも犯罪沙汰へと展開する巧みなストーリーで面白味は増大。職場のライバルを対等の口数で演じきったヘレン・ハントも良かったが、セクシー美女まんまの役柄だったシャーリーズ・セロンにうっとり。
THE WINTER ALBUM / THE BRILLIANT GREEN
耳に残るはトミーの歌声、と言わんばかりに今年は何月だろうがトミー・フェブラリーを聴きまくっていたもので、2002年度ベストアルバムだったと思うのですが、そんな大成功はひとまず置いといて再始動させたブリリアントグリーンにとっての2002年集大成といえるこのアルバムも相変わらず好盤です。打ち込みの曲とかも入ってるけど大崩れせず、どのUKギターバンドよりUKらしい彼らの個性は立派だ。
ソウル・フラワー・ユニオン [ 2002.12.17. 新宿リキッドルーム ]
opening act:ズボンズ
年末ソウルフラワー祭のチケットプレゼントが当たったので、行ってきました。終演後「中川敬語録」という本を買った人へのサイン会もあるという、何やら楽しげな雰囲気。結局、サイン会の様子は見ずに帰ったものの、とても楽しいまさに祭なイベントでした。まず登場のズボンズ。彼らを観るのはいつだったか代々木公園でのフリーライブ以来だけど、相変わらず凄まじいテンションのドン松尾でしたが、彼の異様に痩せた体に思わず「細っ!」と発してしまいました。昔の体型の記憶はないけど、かなり細かったです。まぁ、そんなことは置いといて前座としては盛り上げすぎだろうと思えるほど激しく熱く楽しいライブでした。「Mo’ Funky」で踊りまくり。ズボンズのライブのノリは大好き。中川敬も「ズボンズに入りたい」というほど、ライブバンドとして本当に魅力があるなぁと感じました。その後のソウルフラワーは往年のキャリアの余裕を見せてるような見せてないような姿勢でとてもフレンドリーに楽しませつつも、いわゆる浪花節のコブシの効いた独特のロックで次第に場もお祭状態になってましたね。アンコールではニューエスト・モデル時代の「EMPTY NOTION」もプレイ(わー!)。さらに二度目のアンコールではズボンズを迎えてストーンズの名曲「悪魔を憐れむ歌」をドン松尾のボーカルでプレイ(わーわー!)。ステージもフロアも激しくエネルギッシュに燃えて気持ち良く終演。いい祭だったなぁ。
1.サヴァイヴァーズ・バンケット 2.リキサからの贈りもの 3.ターキッシュ・ソング 4.神だのみより安上がり 5.クレイジー・ラヴ 6.夕立とかくれんぼ 7.ビッグ・アップル〜戦火のかなた 8.満月の夕 9.風の市 10.荒れ地にて 11.PEOPLE GET READY 12.パンチドランカーの夢 13.ノー・リグレッツ 14.こたつ内紛争 15.殺人狂ルーレット 16.海行かば山行かば踊るかばね
encore 1
17.乳母車と棺桶 18.エンプティ・ノーション
encore 2
19.悪魔を憐れむ歌(with ズボンズ)
SLANTED AND ENCHANTED : LUXE & REDUXE / PAVEMENT
1992年のデビューアルバム『SLANTED AND ENCHANTED』にEPの「WATERY, DOMESTIC」、JOHN PEEL SESSIONの音源、レコーディング・セッションのアウトテイク、ブリクストン・アカデミーでのライブ音源、これらを一気にブチ込んだ2枚組スペシャル盤。こういうのが出るとPAVEMENTもいなくなっちゃったんだなぁ、という思いが現実味を帯びて感じてしまいます。テクニックのないバンドの中でも極めて天然な感性でものすごく真剣に産み落とされた彼らの音楽にどんなに魅せられたものか。最後に観た赤坂ブリッツでのライブは「SUMMER BABE」や「IN THE MOUSE A DESERT」も聴けて、本当に素晴らしかったのを思い出す。僕にとってのBEST OF 90’s US BAND。
フォロウィング
監督:クリストファー・ノーラン
FOLLOWING [ 1998年 イギリス ]
『メメント』の成功により、その名を世界へ知らしめたクリストファー・ノーランのデビュー作がコレ。時間を何度も前後させながら、ひと癖あるサスペンスストーリーの謎解きが施されていく編集テクニックに限らず、誰しもが否定しきれない田代まさしレベルのちょっと異常な趣味や心理といった好奇心を煽る人間描写も巧い。