おいしい生活
監督:ウディ・アレン
SMALL TIME CROOKS [ 2000年 アメリカ ]
監督第31作目はドリームワークスの配給を受けたものの、全然大作という趣ではなく、中身はそのまんまの古いジャズのレコードが流れて始まるアレン映画。全く頭のキレない庶民レベルのコソ泥とその妻の中年夫婦漫才チックなやりとりが楽しいコメディで、貧乏人も成金もバカもインテリもまとめて風刺されているのが巧い。はははと笑えても、誰が良くて誰が悪いだなんて一概には言えないものですよね。物事の良し悪しも同じで、気分の持ちようでどうにでもなるもんだと、どちらかと言うと楽観的になれる、そんな面白味に満ちた映画でした。
TOKYO No.1 SOUL SET [ 2002.09.23. 西麻布YELLOW ]
99年以来という随分長い間があいてた割には特別な思いや懐かしさとかはなくて、よくわからない水のイベントにひょっこりとあらわれたソウルセットでしたが、これが物凄く盛りあがってしまいまして、本当に楽しくてしょうがなかった! クラブという密室での密接な距離で感じ合う密度の濃いライブパフォーマンスコミュニケーション。フットワークも軽く、ノリノリで踊って気持ちのいい汗を久しぶりにかいた気がします。
DUBNOBASSWITHMYHEADMAN / UNDERWORLD
先ほど新作がリリースされましたが、軽く試聴した限りだと普通にいいのかも。ラジオでかかりまくっている新曲はあまりいいとは思えなかったけどね。ファンの多くは「REZ」や「BORN SLIPPY NUXX」のようなアッパーに盛りあがれるものを求めているのだろうから、あれはあれでいいのだろう。まあしかし、アンダーワールドのこの三人体制ファーストアルバムは本当に素晴らしかった。その後のアルバムと比べても聴いてる量が圧倒的に違うほど好きだ。中でも「DIRTY EPIC」はメロディアスなボーカルが絡んで本当にセクシーでカッコ良くて、その流れで「COWGIRL」に突入するハイライトはいま聴いてもシビれます!
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
監督:ウェス・アンダーソン
THE ROYAL TENENBAUMS [ 2001年 アメリカ ]
コメディの要素がふんだんにあって笑えますが、ホームドラマとしての見応えがすごくあって、とても洗練された映画だと思いました。ファッションや音楽、インテリアなどの雰囲気作りも巧いです。少し寒かったのでたまたまアディダスのジャージ(水色)を上に着て行ったのですが、劇中ベン・スティラー&息子たちが着てるジャージにも注目。ほんと細かいところまで凝っていて飽きることなく楽しめました。ジーン・ハックマンの達者すぎる演技にも脱帽。可笑しくて哀しい、変で気持ち悪いクセ者だらけだけど、とても元気になれる素敵で大好きな映画です。
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
HEDWIG AND THE ANGRY INCH [ 2001年 アメリカ ]
オカマちゃん映画として笑い飛ばして楽しめる一方、そのオカマちゃんによってデフォルメされた哀しきロックンロール・スイサイド・ストーリーに我々ロック愛好生活者は激しく共感してしまうという痛快作。元は監督・脚本・主演のジョン・キャメロン・ミッチェルによる舞台劇らしいが、ときおり挿入されるアニメーションもステキでした。
ルード・ボーイ
監督:ジャック・ハザン、デヴィッド・ミンゲイ
RUDE BOY [ 1980年 イギリス ]
パンクの思想を最もリアルに体現し続けたバンド、ザ・クラッシュのライブ・ドキュメントをふんだんに盛り込みつつ、ひとりのやり場のない若者を通して当時のイギリス社会の姿を映し出した映像は見応え十分。国も人々も経済もとにかく社会全体が行き詰まっていた状況下でのクラッシュの叫び。対訳つきで彼らのライブシーンを観ると、尚のこと気持ちが高ぶってしまうような感覚になってしまいます。
THREE / ARCHER PREWITT
これは素晴らしい。聴くものを納得させるだけの音楽と歌が詰まった、渋かれど明快なる本当に素敵なアルバムだと思う。正直言って、シー・アンド・ケークでリード・ヴォーカルを取るサム・プレコップより、アーチャーの歌声が好きだったりするわけで、それが堪能できるだけで嬉しい。言うまでもなく、ギターも絶品でございますよ!
ムーラン・ルージュ
監督:バズ・ラーマン
MOULIN ROUGE! [ 2001年 アメリカ ]
観てる間は「わー」って感じで楽しめるけど、終わってから何も残らないという、今までのバズ・ラーマン作品と比べちゃうと薄味でありましたが、これはこれでいいのかも。新旧ロックの名曲がミュージカルメドレーのスコアにリアレンジされ、ハイテンションできらびやかな映像で駆け抜けるエンターテインメント。ユアンはいつもの調子だけど、ニコール・キッドマンは随分と芸達者なんですね。そういえば散々に酷評されたポール・バーホーベンの『ショーガール』を思い出したのですが、僕はあの映画、意外とよかったと思うんだけどな。
SUMMER SONIC 2002(第2日) [ 2002.08.18. 千葉マリンスタジアム&幕張メッセ ]
過去2年、メンツを見るなり即決してたサマーソニックも今年はなんだかなあとイマイチ気乗りできず、それでもモリッシーという男だけはどうしても観ないと済まない個人的な事情のため行ってしまいました。そんなわけで、東京2日目のみで、スタジアムには一度も足を運ぶことがなかったという(雨降り日曜だったので、幕張メッセという屋内施設が会場で助かりましたが)、フェスティバル気分なんてあったもんじゃなかったけど、気になるバンドは一通り律義にフルで観てまいりましたよ。
★Múm – indoor stage
アイスランドの気鋭グループとして注目だったムームを体育座りで静観。音と声で幻想的なメルヘンの世界を展開。奥深い森から聞こえてきそうな魅惑のどんよりサウンドに室内にいるためか真っ昼間であることを忘れてしまいそうでした。
★The Reindeer Section – indoor stage
ステージが増えた分、飲食施設付近のスペースが減って少し気が滅入るも、ひとまず腹ごしらえを済まして、グラスゴー編成音楽隊、レインディア・セクションへ。それこそイベントのフィナーレであってもいいようなメンツが一同に会しているだけに、それぞれの単体からライブを観ていきたいようにも思えてしまうわけですが、いきなりフィナーレでも十分楽しかったです。ユージン・ケリーはかまやつひろしみたいな存在なのかも。エイダン・モファットのしびれる低音はたった2曲だけだったけど(いい仕事だよな)、やはりステキでしたね。リーダーの盛り上げる姿もグラスゴー的でよかったです。
★The Avalanches – indoor stage
メンバー二人によるDJでしたが、かなりゴキゲンに踊れました。ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリングストーン」やポリスの「キャント・スタンド・ルージング・ユー」が挿入されるなど、サンプリングの技もお見事で思わずニンマリ。楽しかったです。
★Puffy – factory stage
溢れんばかりの観衆が詰め掛け、誰もが知ってるポップソングの連発にオーバーすぎるぐらいの盛り上がりとなったパフィー。僕も『amiyumi』と『JET CD』は大好きでよく聴いたもので(いちおう『FEVER*FEVER』まで持ってます)、踊りながら歌ってましたよ。みんながみんなノリノリでハッスルしてて、よかったです。それにしてもFACTORY STAGEは空気が悪いし汚かったなぁ。
★Siouxsie & The Banshees – indoor stage
ゴスの女番長として君臨してきたスージー・スーの貫禄十分のステージでした。スーツで登場するも、いつのまにやら上半身はキラキラブラ一枚になってるし、寄る年波をさほど感じさせないお姿は立派。ゴス、いま再び!という世間の潮流ではないだけに、集客に寂しいものがあったけど、20年前のムードを味わうことができて、ちょっとよかったかも。「香港庭園」演ってくれなかったのが残念。できればバウハウスが観たいぞ。
★Morrissey – indoor stage
わが人生初のモリッシー。後追いながらも僕にとってもスミスは本当に特別な存在で、夢中になってCDやレコードを集めて聴きあさったものでしたが、ここしばらく、スミス〜モリッシーを聴くことがなかったことを思うと、タイミング的にあと5年早ければという思いもするわけで、実際のゆるゆるに進行していくステージを目の当たりにして、非常に痛みました。一発目のスミスナンバーにもノリきれず、その後もゆっくり目の曲が多い上、普通の曲もそれなりにテンポが落ちてしまっているという・・・。モリッシー自身とともに側近のバックバンドも一様に老けてしまっていて、サウンド的にどうにもパワー不足だったし、モリッシーの歌唱力はさすがに衰えはなかったものの、全体から感じられる現役感がなかったのがつらかった。かつてはトレント・レズナー以上に緊張感に満ちていた男であったはずなのに、丸くなったといっても先日観たコステロは感動するほど楽しめたというのに、モリッシーに限ってなんという・・・。ただ、本編が終わってアンコールに歌った一曲はビクビク!っと電流が走ったんですよね。エルビス・プレスリーに賛辞を発して始まったザ・スミス屈指の大名曲「THERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUT」。僕をどこかに連れてって、というみじめな哀願。この曲を最後に歌うネタフリと思えば、本編のライブは完璧だったということか。モリッシーは今も変わらずモリッシーであり、弱者という立場に変わりはなかったことに、最後の最後でガツンとやられたようなそんな気持ちでした。2年前のフジロックをキャンセルし、今年のサマーソニックで7年振りの来日を果たしたスティーブン・パトリック・モリッシー、43歳。何もないだだっ広い展示場の密室という空間がとても似合っていました。
1.海へと 2.とくするからだ 3.渚にまつわるエトセトラ 4.Your love is a drug 5.赤いブランコ 6.ブギウギNo.5 7.人にやさしく 8.アジアの純真 9.STRAY CATS FEVER 10.ジェット警察 11.サーキットの娘
Morrissey set list
1.I WANT THE ONE I CAN'T HAVE 2.SUEDEHEAD 3.HAIRDRESSER ON FIRE 4.THE FIRST OF THE GANG TO DIE 5.JACK THE RIPPER 6.LATE NIGHT, MAUDLIN STREET 7.I LIKE YOU 8.MEXICO 9.SISTER I'M A POET 10.ALSATIAN COUSIN 11.LITTLE MAN, WHAT NOW? 12.EVERYDAY IS LIKE SUNDAY 13.THE WORLD IS FULL OF CRASHING BORES 14.MEAT IS MURDER 15.SPEEDWAY 16.NOVEMBER SPAWNED A MONSTER
encore
17.THERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUT
EVIL HEAT / PRIMAL SCREAM
スクリーマデリカから、かれこれ10年以上経ってるわけですが、老いてますます上がりっぱなしのせいか一向に老けないのがすごい。決して早過ぎず、またオシャレ過ぎないフューチャー・サウンドをリスナーに提示してきた絶妙なポジショニングは今作でも健在。ケビン・シールズがいようが、ジム・リードが歌ってようが、トゥー・ローン・スウォーズメンと仕事しようが、そんなのホントは関係ないんじゃないかと思えてしまうプライマル・スクリームという存在って、つくづくロックだよなぁ。昔のLPを彷彿とさせるストゥージズみたいなジャケットのコロンビアのロゴがニクい。