ロスエンジェルス / ザ・ブリリアントグリーン
今年、民生とともに何度となく聴いているブリリアントグリーン通算3枚目の最新作。歌詞がすべて日本語詞となり、UKロック直系のハモンドを巧く効かせたギター・バンド・サウンドと日本人好みな甘くポップなメロディは、さらに深みと強度を増している。普遍的なロックのツボを押さえた曲のよさが今作も際立っていて、とても好きです。歌が多少下手だろうが、川瀬智子の声には独特の存在感があって、これもまた魅力的です。日本のポップシーンの代表格にまで成長したことをさらに決定付ける一枚。
ギャラクシー・クエスト
監督:ディーン・パリソット
GALAXIE QUEST
2000年 アメリカ
「スタートレック」のパロディを下敷きにしながら、話は妙な方向へでっかく展開。旬を過ぎた営業で食いつないでいる元ギャラクシー・クエストの役者たちが、いま一度、一致団結し、捨て身の大冒険を決行する。「NEVER GIVE UP ! NEVER SURRENDER !」という決めゼリフは、あまりに陳腐すぎて失笑されるのが普通だろうけど、これが劇中で猛烈な感動を呼びおこす。本気で戦っている人は、本気で楽しませて感動させてくれる。思いっきり笑ったり泣いたりしたい僕たちにとって、シガニー・ウィーバーのお色気も許せてしまうかけがえのない一本。
ロザリー・ゴーズ・ショッピング
監督:パーシー・アドロン
ROSALIE GOES SHOPPING
1989年 西ドイツ
あまりにも有名すぎる『バグダッド・カフェ』に比べると、こちらの方がカルト映画と呼ぶにはふさわしいように思えるパーシー・アドロン監督作品。アーカンソーの田舎で暮らすドイツ系子沢山変わり者一家の妻ロザリーを同じく『バグダッド・カフェ』のマリアンネ・ゼーゲブレヒトが演じている。一家のやりくりのため、ロザリーは犯罪的なまでにお金に執着。自ら犯した罪や悪事を全部カソリック神父に懺悔しつつも、クレジットカードや小切手に細工を加え、ドイツから旅行で来た両親の帰りの航空券をだまって売却し、しまいにはコンピューター・ハッキングを堂々かまして一財を築いてしまう。まさにカルトなヘンチクリンな映画。
US AND US ONLY / THE CHARLATANS
シャーラタンズはストーンズに最も近いバンドだと僕は前々から思っている。マンチェスター・ムーヴメントの括りで全英No.1デビュー。ギタリストの交代、ベーシストの鬱病。最愛のメンバー、ロブ・コリンズの逮捕劇、そして衝撃的な死。年月と音楽シーンの激しい移り変わりの中、バンド内の様々な致命的出来事を乗り越え、しっかりと存在感のある作品を発表し続けてきた彼らの不動の人気は揺るごうともしない。リリース当初、地味な印象のため諸手を挙げて絶賛する声は少なかったものの、こうして1年以上が経過し聴きなおしてみると、こうもいいアルバムだったのか!と今作の素晴らしさを再発見してしまう。作品の熟成具合からしてもストーンズだなぁ、と僕はまた思うのであります。
SO ALIVE / ザ・イエロー・モンキー
先頃の1月8日東京ドームでのライブを最後に活動を休止したザ・イエロー・モンキー。活動を一旦休止するという事実のみで、あとは全くの白紙状態。吉井和哉は「力を付けて帰ってくることを約束する」と大阪ドームで宣言し、「普通の野良犬に戻ります」と言って東京ドームのステージを去ったらしい。彼らはなにかにつけ不細工でカッコ悪く、垢抜けないもどかしさを引き摺りながらも、真っ直ぐなロックバンドとして、誰よりも熱く、ファンを感動させ、そして愛され、巨大化していった。バンドのひとつの極みを見せた「SO YOUNG」以降、再びもどかしい格闘に突入し、ついには未来図の見えぬ形でいまを迎えたザ・イエロー・モンキー。1998/99年のパンチドランカー・ツアーを収録したこのライブ・アルバムが僕はとても好きだ。
EUREKA
監督:青山真治
2000年 日本
台詞の言葉数こそ少ないが、だからこそ発せられる言葉のひとつひとつが重く、鮮明に心に響く。セピアな色調(クロマチックB&W)でプリントされた目にやさしい見事な映像は、主人公達を、映画を繊細なまでに深く深くさらけ出す。変わらない日常を生き続ける僕たちも、傷を負った主人公達の共同生活や旅姿を追いながら、ただ逃げているだけの日々を送っているのか、漠然とでも何かを始めようとしながら生きているのか、自らの存在意義、探し求めているものは何なのか、自らの哲学を問い考える。物語終盤、ジム・オルークの「ユリイカ」が流れる特別で秀逸なシーンを思い出しながら、また考える。変わらない日常でありつづけようが、行きようと意志を持った瞬間にすべてが色づきはじめるマジック。3時間37分の長尺を気にしてはいけない。静かな感動が波打つ、2000年代を代表する傑作。九州人として、九州が素敵に懐かしく思えた映画でもあった。
リアル・ブロンド
監督:トム・ディチロ
THE REAL BLONDE
1997年 アメリカ
ブラボー!! マジでブラボーですよ!! この映画が公開されたときはウディ・アレンの後継者とかいわれて気にしてはいたんだけど、今日になって観て、いやはや素晴らしかったです。ウディ・アレン狂な僕からしても、まんまウディ・アレンな映画でしたが、故意的にマネようという意図であったとしても(ニューヨークが舞台の恋愛群像劇で精神科医もちゃっかり出てくる)、この巧さと完成度では認めざるを得ないでしょう。トム・ディチロ、スゲーよ!と思っていたら、調べたところ『ジョニー・スウェード』(ブラピ主演の空からブーツが降ってくるニック・ケイヴもヘンな人で出てくる奇妙な映画)をデビュー作として撮ってた人でした。な〜るほどねぇ〜。
PLACEBO [ 2001.01.15. 渋谷 ON AIR EAST ]
21世紀ライブ一発目。きっかり1時間で終わってしまった物足りなさを除いては、期待通りのステージだったと思う。婦女子の大歓声に後押しされ、ブライアン・モルコ以下男子3名のタイトな演奏で一気に突き抜けた感じ。ヴォーカルが弱いだろうと思っていたのでステージ下手PA脇に陣取り、割と近くでモルコを見れましたが、髪を短く刈っておでこ全開でしたね。セットのほとんどを最新作が占める中、「EVERY YOU EVERY ME」が聴けたのはすごく嬉しかった。アンコールでの「TASTE IN MEN」と「PURE MORNING」は、やっぱむっちゃカッコ良かったっす。でもほんとあと5曲多ければ、大満足だったのにな。「YOU DON’T CARE ABOUT US」「BRICK SHITHOUSE」「NANCY BOY」「TEENAGE ANGST」、そして「20th CENTURY BOY」。この5曲があれば! あ、「WITHOUT YOU I’M NOTHING」もやってなかったよ〜。ワン・モア・ターイム!!
1.BLACK EYED 2.DAYS BEFORE YOU CAME 3.ALLERGIC (TO THOUGHTS OF MOTHER EARTH) 4.HEAMOGLOBIN 5.BIONIC 6.36 DEGREES 7.PASSIVE AGRESSIVE 8.EVERY YOU EVERY ME 9.SPECIAL K 10.SLAVE TO THE WAGE
encore
11.TASTE IN MEN 12.PURE MORNING
黒猫白猫
監督:エミール・クストリッツア
CHAT NOIR, CHAT BLANC
1999年 フランス・ドイツ・ユーゴスラビア
なにかとせわしない東欧の田舎町。老若男女、ヘンな人がたくさんでとにかく楽しい映画だった。その生のエネルギーと躍動感はなにゆえに?と思ってしまうけど、そんな疑問が頭に浮かんだ時点で僕らは負けているのだろう。生活とはそもそもこの映画のようにエネルギーに満ち溢れているものなのだ。正にも負にも振れ幅が少ない生活はつまらない。思いっきり笑ったあとで、そんなことをひとり思う。それにしてもじいちゃんサイコーだったな。
CAR SONGS OF THE YEARS / 奥田民生
早速聴きまくり状態の民生のカー・ソング・ベスト。2年前のキャノンボール・ツアーの流れでこういうのがリリースされていてもおかしくなかったが、この新録8曲、うち新曲4曲(すばらしい!)を含む今作がなんの抵抗もなく聴きいれられるのは、やはり入魂の大傑作『GOLDBLEND』を前年にリリースしているからだと思う。今作に深い意味はなにもない。一曲一曲がまさにパーツとしてあって、ちょいちょいと寄せ集めたモノに過ぎない。しかし、そんな適当な感じが垣間見えるにつれ、奥田民生の凄さがこれまたビンビンに感じられる恐るべき一枚でもあるのだ。やることなすことカッコいい民生にいさん。女は惚れろ!